蚊連草(カレンソウ)とは?
蚊連草の概要
蚊連草はハーブの一種
「蚊連草(カレンソウ)」はフウロソウ科ペラルゴニウム属で、遺伝学者デック・ファンリーニ氏が、ローズ系の香りをもつローズゼラニウムと柑橘系の香りのシトロネラ草(チャイナグラス)を異種交配させたハーブの園芸品種といわれます。5月頃にピンク色の可愛い花をつけ、葉とともに観賞価値が高い植物です。
蚊連草(カレンソウ)の特徴と効果
蚊連草の特徴
蚊は「蚊連草」が嫌い?
蚊連草は別名を「蚊嫌草」や「蚊取り草」、「蚊遣り草」、「蚊逃げ草」などと呼ばれます。その名前が表すとおり、蚊連草のもつ香り成分「シトロネラール」を蚊が嫌い、蚊よけの効果があると考えられています。蚊は人の汗や呼吸の二酸化炭素に反応して寄ってきますが、「シトロネラール」は蚊の二酸化炭素を察知するセンサーを鈍らせるといわれます。
ローズゼラニウムとの違い
ボタニ子
葉や花がよく似ている「ローズゼラニウム」。園芸店やホームセンターでも見かけるけれど、ローズゼラニウムと蚊連草との違いは?
「ローズゼラニウム」はセンテッドゼラニウム(匂いゼラニウム)の一種で、ローズの香りがあり、ピンク色の花を咲かせます。蚊連草はローズゼラニウムとシトロネラ草のかけ合わせなので、ローズゼラニウムとは近種です。ローズゼラニウムは香りを楽しめるほか、ハーブティーやデザートの飾りなど食用としても用いられますが、蚊連草は観賞用とされます。
厳密には蚊連草はローズゼラニウムと同じではないけれど、「ローズゼラニウム=蚊連草」として商品が出回っていることもありますね。
蚊連草の効果
蚊よけ効果があるというけれど……
ボタニ子
ベランダや庭先に少し蚊連草を置いたくらいじゃ、蚊には効かないんじゃないかなぁ?
蚊連草は蚊に「効かない」という声もあるようです。薬剤などと違い、即効性がなく、蚊をまったく寄せ付けないとはいえませんが、「天然の蚊よけ」としてベランダや庭に置いてみるとよいかもしれません。蚊連草はただ置いてあるときよりも、水やりや葉に触れたときに香りが増します。また、新芽は他の葉に比べ香りが強めです。
ボタニ子
一鉢だけよりも、ある程度まとまった数の蚊連草を置けば、蚊よけ効果は向上するかしら。切り戻しをして、どんどん新芽を出させてあげると、香り成分もより強く蚊に働きかけてくれそう。
猫も蚊連草が嫌い?
のら猫が庭で糞をしたり土を掘り返したりして困るとき、蚊連草を植えると寄り付かなくなるケースもあるようです。猫は柑橘系の香りを苦手とし、ハーブを分解する酵素を持たないといわれます。蚊連草はゼラニウムとシトロネラ草から作られているので、猫にとっては苦手な香りなのでしょう。
ボタニ子
ハーブを触った手でうちの猫をなでようとしたら、嫌そうにそっぽ向かれちゃったことがあるけれど、猫にはだめな香りだったのかぁ!
蚊連草(カレンソウ)基本情報
- 属性:フウロソウ科ペラルゴニウム属
- 分類:半耐寒性低木性多年草
- 開花期:5月頃
- 樹高:15cm~1m
- 特徴:蚊が嫌いなローズ系ゼラニウムと、「シトロネラール」を含むシトロネラ草(チャイナグラス)を交配させて出来た、ローズゼラニウムの近種。
- 別名:「蚊嫌草」、「蚊取り草」、「蚊遣り草」、「蚊逃げ草」など
蚊連草の育て方
蚊連草の育て方、3つのポイント
ボタニ子
蚊連草はハーブの一種で育てやすい植物です。はじめに、育てるポイントを3つご紹介します!
①日当たりの良い場所で育てる
蚊連草は夏の暑さに強く冬の寒さに弱い植物です。夏の日差しの下でも元気に育つので、日当たりの良い場所で育てましょう。暖地であれば冬をそのまま越せますが、暖地以外は室内にとりこめるよう鉢植えがおすすめです。
②水をやりすぎない
蚊連草は乾燥を好み、過湿を嫌います。土の表面が乾いたらたっぷりと水やりをしましょう。水をやりすぎて根腐れをおこさないように注意が必要です。
③花がらや枯れた葉は摘みとる
花がらや枯れた葉はそのままにせず摘みとりましょう。摘みとったところから新芽が出て、大きく育ちます。新芽は蚊の嫌いな香り成分「シトロネラ―ル」をより多く放つので、蚊除け効果が向上します。
蚊連草を育ててみる!
①苗の入手
蚊連草はポット苗が園芸店やホームセンター、ネットショップで販売されています。「蚊嫌草」、「蚊取り草」、「蚊遣り草」、「蚊逃げ草」などの別名で販売されていることもあります。
②土の用意
市販の培養土を用意します。水はけを向上させたいときは、培養土に赤玉土とパーライトを多めに混ぜます。
③置く場所・植え付け場所
プランターや鉢は日当たりの良い場所に置きましょう。夏場の直射日光にも多少は耐えますが、高温多湿の状態に弱いので、地植えの場合は夏場は半日陰になる場所が安心です。
蚊連草は丈夫なハーブなので、環境が合えばすくすく育ちます。地植えの場合、まわりの花を枯れさせてしまうくらい大きく育つことも。プランターや鉢のほうが管理は簡単かもしれませんね。
④水と肥料の与え方
乾燥に強く、2~3日くらいなら水やりを忘れても枯れないでしょう。表面の土が乾燥していたらたっぷりと水をあげます。夏場の高温多湿には気をつけましょう。根腐れの原因になります。肥料は、真夏と真冬以外の時期に2週間に1回くらい液肥を与えると良いです。
蚊連草はうっかり水やりを忘れても、たっぷり水をあげればまた元気を取り戻すくらい丈夫です。
⑤切り戻し
葉や花が枯れたら切り戻しをします。切り戻したところから新芽が出てきます。新芽には蚊の嫌う香り成分「シトロネラ―ル」がより多く含まれるため、蚊除け効果を高めたい場合も切り戻しを行いましょう。
⑥冬越し
暖地であれば露地でもそのまま冬越しできます。霜にあたると枯れてしまうので、露地の場合は霜に当たらないように注意します。プランターや鉢の場合、暖地以外は室内で育てましょう。
⑦増やし方
蚊連草は株分けと挿し木で増やすことができます。挿し木する場合は、新芽で伸びた茎を5cmほどカットして土に挿し木します。うまく根がでないときは、あらかじめ水に挿して根が出るのを待って土に挿すと良いでしょう。
蚊連草の楽しみ方
飾りとして楽しむ
蚊連草の葉や茎を摘みとって器に入れ、玄関などに置きます。開花期であれば花を楽しむこともできます。葉や茎は乾燥してもしばらく香りが残ります。劇的な蚊除け効果は期待できませんが、ほのかな香りを楽しむのはいかがでしょうか。
お風呂に浮かべて
生の葉や茎をお風呂に浮かべると、ローズ系の香りが楽しめます。湯舟にお湯をはり始めるときから葉や茎を入れておけば、お湯がたまる頃に香りが漂います。葉や茎をネットに入れておけば、後始末もより簡単です。
まとめ
夏が近づくと、園芸店やホームセンターに蚊連草のポット苗が並んでいます。ローズゼラニウムも”蚊に効く”とうたってあり、「蚊連草はローズゼラニウムと同じかな?違いは?」、「効かないんじゃないかな?」と手にとって迷うこともあるのではないでしょうか。「蚊嫌草」や「蚊取り草」、「蚊遣り草」、「蚊逃げ草」など別名で並んでいるのも見かけます。育て方も簡単なので、「効かないかもしれないけど、観賞用でもいいか」くらいの気持ちで、お試しに一鉢いかがですか?
もともと蚊除け効果があるといわれるローズゼラニウムと「シトロネラ―ル」成分をもつシトロネラ草(チャイナグラス)から生まれた蚊連草は、さらに蚊除けの香りが強いとされます。