ケンポナシとは?特徴や育て方から生薬としての煎じ方までご紹介!

ケンポナシとは?特徴や育て方から生薬としての煎じ方までご紹介!

ケンポナシは二日酔いや美容に効く?秋にユニークな形の実をつけ生薬としても知られるケンポナシ。主に山林などに自生し、その樹高は20mにもなるといわれます。ケンポナシの、特徴や効能・効果、花言葉、育て方のコツ、煎じ方や食べ方まで、幅広くご紹介していきます。

記事の目次

  1. 1.ケンポナシとは?
  2. 2.ケンポナシの特徴
  3. 3.ケンポナシの仲間
  4. 4.ケンポナシの育て方
  5. 5.ケンポナシの花言葉
  6. 6.生薬としてのケンポナシ
  7. 7.身近にあるケンポナシ
  8. 8.まとめ

ケンポナシとは?

ケンポナシという植物をご存知ですか?北海道から九州、中国、朝鮮半島の東アジアに自生するクロウメモドキ科ケンポナシ属の落葉高木です。ケンポナシは生薬としても名高く、主に酒毒に良いとされ、根、幹、樹皮、実、種にいたる全てが効能を持ち、それらを煎じたものやそのエキスは漢方薬やお茶として古くから用いられてきました。

枝の先端が変った形をしていますね。先に小さなまるい実のような物もついているのが見えます。

ケンポナシの特徴

葉のかたち

出典:写真AC

ケンポナシの葉は、コクサギというミカン科の植物と似ており、ひとつの枝に2枚づづ互生し対になって葉をつけるのが特徴です。これらの特徴をコクサギ型葉序とよびます。また葉脈がくっきりと通った広卵形の大きな葉には鋸歯(きょし)がついています。ケンポナシの葉に含まれるホタロシドという成分が、甘みに対する舌の受容部を塞ぐことで、摂取後30分程度、甘みを感じなくなります。

花のかたち

開花時期は7月頃、淡緑色の集散花序をだし、小さく白い星型の花を次々と咲かせます。よくよく観察してみると、星形に見えるのはガク片で、花弁は細く雄しべを囲むように咲いています。ガク弁、花弁、雄しべともに5本で、花は徐々に外側からそり返るのが特徴です。この時期になると蜜を求めてミツバチがたくさん集まります。ケンポナシの蜂蜜は希少とされています。

核果・果柄

出典:写真AC
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秋になるとケンポナシにはとてもユニークな実がつきます。枝の先端の黒褐色のまるい実は核果で直径は7mm程です。核果には種があり可食部はありません。枝先がこぶのように膨らみ肉質化した果柄が可食部となり、褐色に熟した実を齧りわずかな果汁を吸うと、甘く梨のような風味が広がります。知っている場所にケンポナシの木がある方は、結実時期から収穫時期の頃になると果柄の具合を見にお散歩の回数が増えるかもしれませんね。

樹皮

Photo byBluesnap

ケンポナシの魅力は花の時期や収穫時期だけではなく、樹皮も例外ではありません。樹齢の若いケンポナシの樹皮には細かく縦に不規則の縞模様があり、しだいに模様に沿って切れ込みが入りマスクメロンの様な網目模様になります。樹齢を重ね、切れ込みはさらに深まり短冊型の片となり剥がれおちるのが特徴です。また剥がれ落ちた樹皮なども薬効成分を有し、枳椇木皮(きぐぼくひ)と言います。

ケンポナシの仲間

ケンポナシの学名はHovenia dulcis(ホベニア ドゥルチス)といいます。同じクロウメモドキ科ケンポナシ属の植物は2、3種しか確認されておらず、ケンポナシを除く残りの2種は、Hovenia acerba(ホベニア アケルバ)とHovenia tomentella(ホベニア トメンテラ)とされています。どちらもケンポナシの特徴を備えていますが、はっきりとした違いが1つづつあります。

ケンポナシの仲間①

学名をHovenia acerba(ホベニア アケルバ)とし、acerbaとは酸っぱい、苦いといった意味を示しています。学名の通りその実に甘みはなく渋みがあると言われています。ちなみにケンポナシのh.ドゥルチスはラテン語に由来し甘いという意味合いをもちます。アケルバはケンポナシと同種という見方もされており、ケンポナシとは違う種類なのか研究者がたまたま渋い実を齧ってしまったのか、記録は少なく不明瞭のままです。生薬としての効能はケンポナシと同じとされています。

ケンポナシの仲間②

学名をHovenia tomentella(ホベニア トメンテラ)とし、ケケンポナシとよばれます。ケンポナシが無毛なのに対しケケンポナシは有毛で、葉裏や花序、実に赤褐色の毛がみられるのが最大の特徴です。個体差があるのか、白味を帯びた毛に覆われている事もあるようです。葉には鋸歯がみられますがケンポナシよりも浅く不規則です。生薬としての効能はケンポナシと同じとされています。

ボタニ子

ボタニ子

続いて、ケンポナシの育て方をご紹介!

ケンポナシの育て方

出典:写真AC
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ケンポナシはどこでも育てる事が可能です。病害虫の心配もなく、丈夫で育て方はとても簡単です。ただし本来樹高が20mにもおよぶと言われる高木なので、家庭の庭など限られたスペースで育てる場合は、管理をしやすくするため、根域制限や摘心など育て方に工夫が必要です。

植付け 10月から3月に根域制限バックなどを用いて定植
土質 やや湿り気のある土
施肥/時期 やせ地には油かす、有機肥料/3月
病害虫 特になし
剪定/時期 摘心する以外は自然樹形を保つ/3月
増やし方 挿し木

【補足】摘心とは?

摘心とは、心芽を除去する剪定の事をいいます。心芽を除去し成長を抑えることにより、高木化を抑えることができます。また花つきや実つきが良くなる効果もあります。

【補足】根域制限とは?

根が張る範囲を制限する事をいいます。目的としては、土中の水分や養分の影響を管理しやする事、また根域を制限することにより樹高や樹勢をある程度制限することが出来ます。

育て方のポイントは根域制限と摘心。根域制限をして大きくなり過ぎないようにしましょう。育て方を工夫する事で、身近にケンポナシを楽しむ事ができます。

ケンポナシの花言葉

ケンポナシの花言葉として、明確なものは確認されていないようです。科目は違いますが、ウメモドキの花言葉は知恵、明朗です。ウメモドキの種は発芽を抑制する性質があり、動物が種を食べ糞として排出されてはじめて発芽し、より広範囲に繁殖するための仕組みがある事から知恵や明朗という花言葉がついたとされています。ケンポナシも動物による種子散布で繁殖する植物であり、木から直接落下した種よりも動物の糞から採取された種の方が発芽率が高いとされているので、ケンポナシにも知恵にまつわる花言葉が当てはまるかもしれません。

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生薬としてのケンポナシ

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