クロモジ(黒文字)とは?樹木としての特徴や利用方法をご紹介!

クロモジ(黒文字)とは?樹木としての特徴や利用方法をご紹介!

クロモジは日本の固有種で、樹形と木肌が美しく、庭木としても近年人気が出ています。そんなクロモジが多くの用途に利用され、古くから私たち日本人の生活に溶け込んでいることをご存知でしょうか。この記事ではクロモジの木としての特徴や用途、名前の由来などをご紹介します。

記事の目次

  1. 1.クロモジとは
  2. 2.クロモジの特徴
  3. 3.クロモジの用途
  4. 4.クロモジ体験ができる場所
  5. 5.まとめ

クロモジとは

出典:写真AC

クロモジとは、クスノキ科に属する落葉低木の一つで日本固有種です。美しい黄葉(おうよう)と上品な木肌で目を楽しませてくれます。里山にひっそりと自生している木の一つですが、近年の雑木ブームを受けて、庭木としても人気を集めています。香りも素晴らしく、香木としても名高い木です。古くは高級爪楊枝やクロモジ茶に加工されてきた歴史があります。

クロモジの分布と種類

クロモジは日本固有種とご紹介しました。現在、2種4変種に分類されていますが、北海道と本州に自生する「オオバクロモジ」が最初のクロモジであると推察されています。木に含まれる香り成分の解析により、この北海道にも自生しているオオバクロモジから九州地方のクロモジ、四国地方のクロモジが誕生していったと考えられているのです。いくつかある種の中ではウスゲクロモジが最も最近固定された種であることまでわかっています。

クロモジの仲間「シロモジ」

庭木に興味のある方であれば、クロモジに対して「シロモジ」と呼ばれる木があることをご存知の方もいるでしょう。シロモジも同じクスノキ科に分類され、クロモジに似ているところがあるため、シロモジと呼ばれるようになりました。クロモジよりも低い背丈で、葉の形も異なっており、こちらも人気がある木の一つです。

ボタニ子

ボタニ子

クロモジの育て方について詳しく知りたい方は、こちらの記事もご覧ください。

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クロモジの特徴

出典:写真AC

クロモジについての簡単な説明や、分布についてご説明したあとは、クロモジという木の特徴についてお話しすることにします。紐解いていくと、ただの庭木の一つであるクロモジはとても魅力的な木であることがおわかりいただけることでしょう。木、花、葉そして香りの4つの視点に分けて、それぞれの特徴を説明します。

クロモジの特徴①木

木は雌雄異株で、高さは2~6mほどと植える土地の日当たりや条件によって大きく異なります。薄黄緑色のすべすべした滑らかな木肌に、黒い斑点のような模様が付きます。若木の間は黄緑色をしていますが、成長するにつれ、ザラザラとした手触りの茶色から灰色の木肌へと変化していきます。この美しい木肌が庭木としても高い評価を集めています。

名前の由来は木肌から

クロモジの特徴である美しい木肌ですが、このクロモジという名前も木肌が由来となっています。美しい木肌にまるで文字のように黒い斑点が入ることから「黒文字(クロモジ)」と呼ばれるようになりました。ちなみに英語では「spicebush(スパイスブッシュ)」という名前がついており、その香りのよさが名前の由来となったことがうかがえます。

クロモジの特徴②葉

クロモジは落葉樹なので、秋に黄葉(おうよう)し、私たちの目を楽しませてくれます。モミジのように真っ赤に紅葉することはありませんが、それに劣らず美しい黄葉を見ることができます。光が差し込むとまぶしいばかりの美しい黄色い葉が映えます。庭木としての観賞価値を高めてくれる特徴といえるでしょう。

落葉した後の樹形も美しい

大きく広がるようにして成長はせず、まっすぐスリムに上へと伸びていくのがクロモジの一般的な樹形です。落葉したあとは美しい木肌が全面に現れるので、その上品な樹形と木肌で冬の間も庭木として楽しむことができます。

クロモジの特徴③花

クロモジの花は決して派手で目を引くような見た目はしていませんが、春を訪れる花として古くから人々から愛されてきました。早春の3~4月が開花時期になり、小さな黄緑色の花をつけます。特徴としては、葉が芽吹いてくるのと同時に花がつくことでしょう。何も緑がない美しいクロモジの枝から、柔らかな葉と小さな花が吹き出してくる様子からは、生命の息吹を感じさせてくれます。生け花としての価値も高くなっています。

実が熟すのは9月ごろ

花が咲くのは早春ですが、そのあと小さな赤い実をつけ、徐々に大きくなっていきます。クロモジの実が熟すのは9月ごろで、小さな黒く丸い実になります。鳥はついばみますが、人が食べるにはあまりおすすめしない味です。さらに、この実からは「クロモジ油」が採取することができます。雌雄異株なので、実をつけるのは雌の木のみとなります。

クロモジの特徴④香り

枝からは爪楊枝が作られ、実からは油がとれるとご紹介しましたが、そのどれからもクロモジのよい香りがします。クロモジはその香りの強さとよさから「香木」ともいわれています。この香りの正体は「リナロール」をはじめとした精油成分です。先述した2種4変種のクロモジの中でも、特に北海道、本州に自生するオオバクロモジには多くのリナロールが含まれていることがわかっています。

精油には抗菌・鎮静作用がある

リナロールをはじめとしたクロモジの精油成分の中には抗菌・鎮静作用があるといわれています。クロモジの香りにリラックス効果があるとされることは古くから経験則として知られてきました。このクロモジの成分を活かした「クロモジローション(化粧品)」や「クロモジ油」、「クロモジ茶」は私たちに癒しをもたらしてくれるものとして暮らしに溶け込んいます。

ボタニ子

ボタニ子

化粧品やクロモジ油、クロモジ茶などの用途について、さらに詳しく見ていきましょう。

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クロモジの用途

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