サクラチップとは
サクラチップは「スモークチップ」と呼ばれる燻製材の一種です。燻製は乾物料理の一種で、食材を煙で燻(いぶ)して作ります。燻された食材はスモーキーな風味がついて保存性も高まるため、保存食としても重宝されました。保存性を高めるために、食材は燻す前に塩漬けなどの下処理をすることも多いです。
保存技術が発達した現代では、燻製料理は保存食というよりも、独特の風味や食感を楽しむ目的で作ることが多くなっています。
燻製料理は、キャンプなどのアウトドア料理としても人気があるんだよ。
スモークチップとは
スモークチップとは、燻製を作る際に用いる「燻煙材」の一種です。燻製(スモーク)料理に利用することと、木を細かく砕き、チップ状に加工することから「スモークチップ」と名づけられました。燻製には香りのよい煙が必要であるため、原料にはよい香りを持つ木が使われます。スモークチップは原料別に種類があり、サクラチップ(桜チップ)は山桜を原料とするスモークチップです。
スモークチップの種類は、桜チップのほかにもヒッコリー、オーク、ナラ、リンゴなどがあります。
燻煙材の種類としては、スモークウッドが有名だよ。粉状の木材を固めて棒状に加工したものなんだ。
スモークチップは熱燻向きの燻製材
燻製は加工するときの温度で「熱燻」「温燻」「冷燻」の3種類にわけられます。このうち、サクラチップを含むスモークチップに向いているのは「熱燻」です。スモークチップは加熱しないと煙が出ません。さらに燻製作業が完了するまでは、加熱し続ける必要があります。この特徴から、高温かつ短時間で仕上げる「熱燻」が向いているのです。
燻製の種類と特徴
燻製の種類 | 温度 | 燻煙時間と特徴 |
熱燻 | 80℃~130℃ | ・燻煙時間は10分~60分 ・保存性は低いが、やり方は簡単 ・キャンプ料理でよく利用される |
温燻 | 30℃~60℃ | ・燻煙時間は2時間~1日 ・熱燻よりも保存性が高い ・燻製料理の多くは温燻で作る |
冷燻 | 15℃~30℃ | ・燻煙時間は1週間~4週間 ・大がかりな設備と低い気温が必要 ・やり方は困難だが、保存性は高い |
サクラチップの特徴
特徴①香りが強い
サクラチップの大きな特徴は、香りが強いことです。サクラチップは数あるスモークチップのなかでも、特に香りが強い種類として知られています。短時間で食材に香りをつけられるため、初心者向けの燻煙材といえるでしょう。原料の桜が古くから日本人に親しまれていることもあって、日本では特に人気が高いスモークチップとされています。
サクラチップのように香りが強い燻煙材は、クセが強い肉類や魚類におすすめです。
特徴②手軽に使える
サクラチップを含めたスモークチップは、手軽に使える点が魅力の燻煙材です。使用量の調整がしやすく、燻製機の規模や食材の量にあわせた使い方ができます。おつまみや保存用など、用途に応じて好きな量だけ作るのも容易です。さらにサクラチップの香りは、多くの食材にあいます。初心者でも扱いやすい燻煙材といえるでしょう。
特徴③異なる食材を同時に燻せる
サクラチップは、異なる食材を同時に燻すときに問題なく使えます。スモークチップのなかでも香りが強いため、豚肉や羊肉のようにクセのある食材向きとされていますが、それ以外の食材ともケンカしません。燻製は食材の下処理や作業工程など、調理に手間と時間がかかりますが、異なる食材を同時に燻製できれば効率的に作業を進められます。
サクラチップの使い方
手順①道具を準備する
燻製料理を作る際は、サクラチップなどの燻製材のほか、燻製器(スモーカー)が必要です。燻製器はアウトドアメーカーから、いろいろな種類の商品が販売されています。作りたい燻製の種類や量にあわせて選ぶとよいでしょう。底の深いタイプのフライパンや、中華鍋を燻製器の代わりに使うことも可能です。燻製料理は温度を間違うと失敗します。温度計を用意して、きちんと温度を管理しましょう。
燻製料理は種類によって、燻製のやり方や、燻煙材の種類や使い方などが異なっているので注意しましょう。
フライパンで燻製するときは、壊れてもいいものを選ぼう。長時間加熱するから、フライパンが壊れてしまう恐れがあるんだ。
手順②サクラチップを火にかける
サクラチップは必ず不燃性の容器に入れてから、熱源で加熱します。直接火をつけないのが、サクラチップを含めたスモークチップの使い方の基本です。火が強いほど煙も多くなりますが、温度も高くなってしまいます。燻製は種類によって適切な温度や時間が異なります。火加減に注意しましょう。熱源はカセットコンロやキャンプ用のガスバーナーがおすすめです。野外でも使いやすく、火の調整も簡単に行えます。
スモークチップは直接火がつくと、燃えても煙が出ません。だから不燃性の容器に入れて火にかけるんですよ。
スモークチップを入れる容器は鉄製の皿や鍋がおすすめ。鍋を使う場合は焦げつきやにおいを防ぐために、アルミホイルを敷こう。
手順③食材を置いて燻製する
サクラチップから煙が出てきたら、食材を配置して蓋をし、燻製作業を開始します。サクラチップに触れないように足つきの網などを置き、その上に食材を乗せましょう。燻製時間は、そのまま食べられる食材なら5分~15分、しっかり色づけしたいなら30分が目安です。加熱が必要な食材の場合は、1時間~2時間ほど燻製しましょう。
番外:バーベキューでの使い方
サクラチップは、バーベキューの風味づけに利用できます。まず、一掴みぶん(約10g)のサクラチップを水に浸して湿らせます。その後、湿ったサクラチップを炭火に投入し、グリルの蓋をしてバーベキュー食材を燻製状態にするだけです。香りをつけるだけのため、燻製時間は5分~15分で十分でしょう。スモーキーな香りでバーベキューのおいしさが増します。
グリルの蓋がない場合は、アルミホイルで代用してね。
ボタニ子
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出典:写真AC