コウヤボウキとは?
コウヤボウキはキク科の落葉低木で、日当たりのよい乾いた林や山岳地によく見られます。ハイキングなどで見かけたことはありませんか?もしかしたら、出会っていても気づかずに通り過ぎてしまっているかもしれません。コウヤボウキは、夏から秋に小さな白い花をつけ、秋から冬は綿毛になります。そして2年目の秋には花を付けず枯れてしまいます。そんなコウヤボウキの特徴や花言葉、育て方まで詳しくお伝えします。
コウヤボウキの特徴
コウヤボウキは一見草のように見えますが、木本に分類されていて、根本から多くの細い枝を伸ばして茂ります。その枝は1年目と2年目では葉の付き方が異なります。同じ植物ですが、年数が違うだけで見た目も違います。ここがコウヤボウキの大きな特徴です。
和名 | こうやぼうき(高野箒) |
英名 | Pertya scandens |
分類 | キク科 コウヤボウキ属 |
分布 | 関東~九州の山地や林 |
樹高 | 60cm~1m |
形態 | 落葉小低木 |
花 | 9月~10月頃、1年目の枝先に花をつける |
コウヤボウキの育て方
コウヤボウキは良く日当たりのよい場所を好みます。寒さにも暑さにも強いですが、乾燥と加湿は苦手です。夏は明るい日陰がよいです。地植えの場合は、雨が降らない日が続くとき以外は水はあげなくて大丈夫です。鉢植えの場合は夏場の水切れに注意してください。施肥時期は3月~4月。剪定時期は12月~2月頃です。特別な剪定は必要ありません。コウヤボウキは比較的丈夫で、育て方はむずかしくありません。
日照 | 日向・半日陰 |
施肥時期 | 3月~4月 |
剪定時期 | 12月~2月 |
特徴①:1年枝と2年枝とは?
1年枝(1年目の枝)
コウヤボウキの1年目の枝には、2~3cmの卵型の葉が1枚ずつ互い違いに葉が付きます。枝には短毛がはえていて、葉にも伏毛があります。葉のふちには浅いギザギザがまばらにあります。9月~10月頃、枝の先端に1つずつ白い花を付けます。コウヤボウキは花を付けたあと、タンポポのような綿毛になります。
2年枝(2年目の枝)
前年に落ちた葉の付け根のところから新しい芽がはえ、葉がつきます。2年目のコウヤボウキの枝につく葉は細長い形で、3~4枚ずつ束のようにつきます。2年枝には、花は咲かず秋には枯れてしまいます。コウヤボウキの寿命は2年とはかないのです。1年枝と2年枝が同時に見れるところもあります。もし見かけたら、是非たくさん観察してみて下さい。
特徴②:コウヤボウキの花
コウヤボウキの花は9月~10月頃に、1年枝の先に1つ、直径1cmほどの白い花を咲かせます。花は13個ほどの筒状の小さな花が集ってできていて、花びらの先端が深く5つに裂けてそり返っています。コウヤボウキの花はくるくるとカールしたリボン状の花で、花の形にはキク科の特徴も現れています。魅力的なお花です。
コウヤボウキの仲間
コウヤボウキの花によく似ているのは「カシワババグマ」(柏葉白熊)の花。コウヤボウキの仲間です。キク科のコウヤボウキ属で、花はコウヤボウキにそっくりです。花のあとは綿毛もつけます。花は似ていますが、カシワババグマは一枝からたくさんの花を付け、多年草です。葉はカシワの葉に似ています。他にはコウヤボウキとカシワバッバグマの雑種「カコマハグマ」(かこ間白熊)も仲間です。
特徴③:コウヤボウキの種と綿毛
コウヤボウキの花が咲いたあとは、色が白やピンクのタンポポのような綿毛がつきます。長さは1.5cmほどの綿毛で、その下に種がついています。種は密に毛がはえ、冠毛は細く、長さが不揃いです。手触りはざらざらしています。綿毛は風に飛ばされますが、年を越しても綿毛が多く残っているとこともあります。コウヤボウキの種はゆっくりと時間をかけて風に飛ばされます。綿毛が飛んだあとのガクの部分もお花のような形をしていてドライフラワーのように綺麗です。
コウヤボウキの名前の由来
昔、高野山では利用価値の高い果実や竹などが修行の妨げとなると考えられ、栽培が禁じられていました。そこで竹ぼうきの代わりになりそうな、コウヤボウキの枝を束ねてほうきを作ったことが名前の由来です。正倉院御物の「子日目利箒」(ねのひのめどきほうき)とは、コウヤボウキの枝を束ねて、真珠やガラス玉やなどをつけた玉箒のことです。正月初子の日の儀式で使われ、蚕室を玉箒で掃き、清めて蚕神を祀っていました。
コヤボウキの花言葉
コウヤボウキの花言葉は「清掃」「働き者」です。今はほうきとしての役目はありませんが、由来からくるイメージ通りの花言葉です。コウヤボウキの花を家に飾ったら、きっと掃除にも、精がでるはずですね。そして掃除を頑張れば、自然と「働き者」という勲章がつくことでしょう。
まとめ
1年目の枝にしか花を付けない貴重なコウヤボウキの花、見つけれたら嬉しいですね。2年で枯れてしまうコウヤボウキですから、出会えただけでラッキーですね。山歩きのときは、ぜひ探してみて下さい。また、コウヤボウキに似た仲間も発見できるかもしれませんね。そして季節折々の植物を楽しんで下さい。
出典:写真AC