トサミズキの概要
トサミズキ(土佐水木)は四国地方原産の落葉小高木です。名前が示すように、四国のなかでも特に高知県に多く自生しています。春の季節、3月下旬~4月にかけて、黄白色の小さな花が房状に連なるという、個性的な花を咲かせます。葉が展開するよりも先に咲くため、とてもよく目立つのも特徴です。
名前の由来
トサミズキの「トサ(土佐)」は、高知県に多く自生していることに由来しています。土佐は高知県の旧名です。ミズキという名前の由来は諸説ありますが、有力視されているのはトサミズキがマンサク科の植物であることに由来する説です。マンサクは豊年満作を意味する「ミタスキ(満木)」とも呼ばれていました。このミタスキがなまって「ミズキ」になったとしています。
トサミズキの基本データ
学名 | Corylopsis spicata |
科名 | マンサク科 |
属名 | トサミズキ属 |
原産地 | 日本(四国地方) |
樹高・草丈 | 2m~4m |
開花時期 | 3月下旬~4月 |
花色 | 黄、黄白色 |
トサミズキの特徴
特徴①過酷な環境で自生している
高知県でトサミズキの野生種が自生している場所は、山地にある蛇紋岩地帯です。蛇紋岩地帯は植物の生育に必要な栄養素が少なく、ひどく乾燥しています。しかも蛇紋岩はとても硬い岩石です。このような場所に自生していることからも、トサミズキが丈夫な植物であることが理解できますね。
トサミズキは丈夫で、全国で栽培可能な植物だけど寒さには弱いんだ。寒冷地で栽培する場合は、鉢植えがおすすめだよ。
寒冷地は冬の季節に入る前に、トサミズキの鉢植えを室内に移動させておきましょうね。
特徴②葉よりも先に花がつく
前にも触れましたが、トサミズキの花は葉が展開するよりも先に開花します。季節的に他に花をつける植物が少ないことや、独特の花形と明るい花色もあって、とてもよく目立つ花です。このため満開期を迎えると、メジロなどの花の蜜を好む小鳥が、蜜を求めてやってきます。
特徴③葉に毛が生えている
トサミズキは花だけでなく、葉も個性的です。丸みがあるかわいい形の葉ですが、シワがよっています。葉の表には散毛(バラゲ)、裏には軟毛が生えているのが大きな特徴です。このため葉の裏は、まるで粉をふったような白っぽい色をしています。
特徴④生け花や切り花の材料
トサミズキは成長すると樹高2m~4mにもなる小高木です。しかし枝がまばらに分岐し、ひこばえがよく出るため、弓なりに折れ曲がる枝が多く、野趣に富んだ株立ち状の樹形になりやすいという特徴を持っています。この特徴を活かして、昔から生け花や切り花、庭木や盆栽として親しまれてきました。
次のページでは、ヒュウガミズキとの違いや花言葉について解説します。
「ミズキ」という名前がついていますが、ミズキ科の植物ではありません。間違えないように気をつけましょう。