リラの花ってどんな植物?
リラの花は、明治中期に海外から渡ってきたとても美しい落葉樹です。暑さが苦手なのであまり暖地では見られませんが、涼しい気候の北海道では、公園や民家の庭などでよく見かけられます。また、花には芳香があり、リラの花の香りをイメージした香水も数多く調香されています。
基本情報
学名 | Syringa vulgaris |
別名・和名 | ライラック・ムラサキハシドイ(紫丁香花) |
園芸部類 | 庭木、花木 |
科・属名 | モクセイ科ハシドイ属 |
形態 | 落葉小高木~高木 |
樹高 | 1.5~6m |
花の色 | 白、ピンク、赤、紫、青 |
耐寒性 | 強い |
耐暑性 | やや弱い |
栽培難易度 | ★★★☆☆ |
名前の由来
リラ
リラはフランス語名です。英語名のライラック(Lilac)はこのリラ(Lilas)が変化したもので、その語源をさかのぼっていくとスペイン語の(Lilac)、アラビア語やペルシャ語の(Lilak)から、サンスクリット語の(nila)につながります。これは青色を意味する言葉で、薄紫の花をイメージしているといわれています。
ライラック
ライラックは英語名です。語源は前述のとおりですが、そのほかにも学名として「Syringa vulgaris」という名前もあります。この「Syringa」はギリシャ語の「syrinx」という笛やパイプを意味する言葉が由来となっており、リラの枝を使って羊飼いが笛を作っていたという説につながります。
ムラサキハシドイ(紫丁香花)
和名であるムラサキハシドイは、リラの花が日本在来種であるハシドイ(丁香花)の近縁種であり、紫の花を咲かせるところから、紫丁香花(ムラサキハシドイ)と名付けられました。この「ハシドイ」とは木曽の方言である「端集い」からきており、「花が端の方に集まる」を意味しています。
リラの花の特徴
歌のタイトルや色の名称にもなっているリラの花は、身近な花木としてとても人気のある植物です。冷涼な気候を好む性質から、暖地で大きく育てるのは難しいですが、比較的暑さに強い品種を鉢植えなどで楽しめます。暖地で育てる場合は、カミキリムシの幼虫に狙われやすいので注意してくださいね。
特徴①花
リラの花の咲き方は、円錐状に小花が集まって咲く、円錐花序(えんすいかじょ)とよばれるものです。花の形は筒状花で、通常は花冠の先が4つに裂けて開きます。ひとつの花序の長さは10~20cmほどで、若木のうちからよく開花します。
特徴②葉
リラの葉の形はハート形で、革のような質感とつやがあります。また、リラは落葉樹なので葉は秋に紅葉します。気温が高い地域ではきれいな紅葉の色は出ませんが、寒冷地では黄色や銅色のほか、葉色が黒っぽく変化する品種も見られます。
特徴③香り
リラの香りを使った香水は多数あり、有名ブランドの商品などにも使われています。調香するに当たっては、天然の香料を自然と同じような香りのまま抽出するのは難しいため、合成香料で近い香りを作り出しています。リラの花の香りはジャスミン、沈丁花、ラベンダーなどに近く、甘さの強い香りではなく、爽やかな軽い香りといわれています。
特徴④エピソード
ラッキーライラック(ハッピーライラック)
リラの花冠は通常は4つに分かれていますが、まれに「ラッキーライラック」と呼ばれる花冠が5つに分かれた花が咲くことがあります。これには「四葉のクローバー」と同様に縁起を担ぐおまじないの意味があり、ラッキーライラックを見つけたら、誰にも内緒でその花を飲み込むと、愛する人とずっと一緒にいられるといわれています。上の画像のなかの「ラッキーライラック」を見つけられたでしょうか?
色の名前
リラの花色は白~紫系ですが、「ラベンダー」が薄青紫色をイメージする言葉になっているのと同様に、リラも別名の「ライラック」のネーミングで、薄紫色を表す色の名前になっています。色味は「ラベンダー」よりも明るい紫色で、この「ライラック」「ラベンダー」ともに、日本工業規格でもJIS慣用色名として定義されています。
「リラ冷え」と「リラの咲くころ」
リラの花となじみ深い北海道には「リラ冷え」という言葉があります。これはリラの開花する5月~6月ごろに、急激に気温が下がる状態のことを意味します。また、フランスでは一番よい気候の時期を「リラの咲くころ」と表現しています。リラの花が人々に愛され、生活に身近な存在だということがわかる言葉ですね。
ボタニ子
次のページでは、リラの花の種類と花言葉をご紹介します。
出典:写真AC