トウネズミモチとは?
名前 | トウネズミモチ |
和名 | 唐鼠黐 |
学名 | Ligustrum lucidum |
分類 | モクセイ科:イボタノキ属 |
原産地 | 中国 |
高さ | 5m~15m |
開花時期 | 6月~7月 |
中国原産で一年中葉をつける樹木
トウネズミモチは中国を原産とします。成長すると高さが5m~15mになり、秋に完熟する紫色の実をつける常緑高木。トウネズミモチは「キンモクセイ」や「ヒイラギ」「オリーブ」などの樹木と同じ双子葉植物のモクセイ科で、属性のイボタノキ属の同類には「イボタノキ」「オオバイボタ」などがあります。
トウネズミモチの生息地は?
暖かい地域を好むトウネズミモチは、宮城県から西日本に多く生息し、市街の公園や道路沿いの樹木として植えられています。
トウネズミモチの特徴1:木
樹皮の色や枝のようす
若木の樹皮は白いまだら模様がある灰色でイボ状の木肌をもち、成長すると色が褐灰色に変わり縦に亀裂が入ります。老木になると樹皮が剥がれ落ちるトウネズミモチの木ですが、枝分かれが多く、秋の完熟期には実の重みで枝垂れることもあります。
トウネズミモチの特徴2:葉
葉柄のつき方や葉のようす
葉の付け根部分から葉先までの長さは約6cm~12cmほどです。葉の色は濃い緑色でツヤがあり、形は長めの楕円形で縁にはでこぼこがなく、葉先は細くなっています。葉は厚みのある革のような質感です。
葉の裏から透ける葉脈
葉裏は白みを帯びた緑色で、葉脈は表面ほど見えませんが、光にかざすと葉が透けて、葉裏からでも葉脈がはっきり見えるようになります。
トウネズミモチの特徴3:花
色や大きさ
新しく生えた枝の先に花がつきます。枝先から円錐形に配列するの花序の長さは10cm~20cmほどで、約2.5mmほどの小さな白い花を無数に咲かせます。花の中央部分から花柱がわずかに突きだし、花柱の両脇に長い雄しべが生え、4枚の花びらはカールするように外側へ反り返ります。
花の見ごろは?
開花時期は6月~7月で、見ごろになると樹木全体が白い花に覆われて華やかになります。
トウネズミモチの特徴4:果実
果実と種の色や大きさ
花後に果実をつけます。実の大きさは約8mm~10mmで、直径が約5mm~6mm、形は楕円形です。黒味を帯びた緑色の種が果実の中あり、種の大きさは5mm~6mmで、深い縦シワが1本と小さなシワがたくさん入っています。
完熟の時期は?
果実が完熟する時期は10月~12月ころで、若い実は緑色ですが、完熟すると紫色に変わります。
実は食べることができる
紫色の果実はわずかな甘さと苦味があり、野鳥や動物が好んで食べるほか、人も食べることができます。
トウネズミモチの実を干したものは、「女貞子(ジョテイシ)」と呼ばれる漢方薬になっています
ボタニ子
女貞子は、強心や滋養、視力低下やめまいに効果があります
トウネズミモチは外来植物
中国からの外来植物
明治の初めころに中国から日本へ入ってきた外来植物のトウネズミモチは、現在では在来種より数が増え帰化植物として認定されています。公園や街路樹として植樹されたものが野生化し、各地に急激な速さで増えたことから「要注意外来生物リスト」にも載っています。
トウネズミモチに似た植物1:ネズミモチ
名前 | ネズミモチ |
和名 | 鼠黐 |
学名 | Ligustrum japonicum |
分類 | モクセイ科:イボタノキ属 |
原産地 | 日本 |
高さ | 2m~6m |
開花時期 | 6月ころ |
ネズミモチの特徴
明るい場所を好むネズミモチは、森の開けたところで多く見られます。樹木の色は灰褐色で樹皮には粒状のでこぼこがあり、葉は緑色で楕円形をしています。花色は白で大きさは5mm~6mm、果実の色は紫色で大きさは1cm~1.1cmほど、今年の枝の先に無数につきます。
トウネズミモチとネズミモチの違い
トウネズミモチとネズミモチの違いは、以下の3つのポイントで見分けます。
- トウネズミモチは中国が原産、ネズミモチは日本が原産国。
- ネズミモチの葉は小さい。
- ネズミモチの葉は、光にかざしても葉裏から葉脈が透けて見えない。
トウネズミモチに似た植物2:イボタノキ
名前 | イボタノキ |
和名 | 水蝋樹:疣取木 |
学名 | Ligustrum obtusifolium |
分類 | モクセイ科:イボタノキ属 |
原産地 | 日本:中国:朝鮮半島 |
高さ | 2m~5m |
開花時期 | 6月~7月 |
イボタノキの特徴
日本各地に生息し、森林の端近くに多く自生するイボタノキは半落葉樹です。樹木の色は灰色で樹皮には点々と粒状のでこぼこがあり、枯れた枝が落ちると落ちた部分がとげのように残ります。枝に対し葉柄は対で生え、葉色は緑で形は長めの楕円です。花色は白で大きさは8mm~9mm、果実の色は黒っぽい紫色で大きさは9mmほど、果実の中に種が2個向かい合うように入っています。
トウネズミモチとイボタノキの違い
トウネズミモチとイボタノキの違いは、下記のポイントで見分けます。
- イボタノキの葉先は丸い。
- イボタノキの花は大きい。
- 果実はイボタノキのほうが黒い。
まとめ
繁殖力や環境への適応力などいくつか注目すべき点がある樹木ですが、初夏に木を覆いつくすほど無数に咲く花の香りは強く、秋に完熟する実は動物たちのご馳走になっています。もちろん人も食べることができる実は滋養強壮の漢方薬にもなり、たくさんの魅力をもった木です。散歩中に見つけたら、ちょっとだけ意識して、季節ごとの変化を観察するのも楽しいですよ!
出典:写真AC