竜血樹とは
「竜血樹」とよばれる木は、実は複数存在しています。狭義の竜血樹としては「ドラセナ・ドラコ(Dracaena draco)」のことをさしますが、もう少し広く定義をとる場合「ドラセナ・シナバリ(Dracaena cinnabari)」も含めた合計2種となります。また、さらに定義を広げてドラセナ属すべてを竜血樹とよぶこともあり、ドラセナ属の別名として「リュウケツジュ(竜血樹)属」というよび方も存在しています。
「竜血樹」のよび名の由来
竜血樹の幹を傷つけると、まるで動物が流血しているかのように赤い樹液が流れ出ます。この樹液が固まって赤い固形物質となったものを「竜血」とよび、薬品や染料などとして古来から珍重されてきました。その竜血を産出する木として「竜血樹」とよばれたのが名前の由来とされており、英名でも「dragon’s blood tree(竜の血の木)」の呼び方があります。
竜血樹の特徴
竜血樹とよばれる2種「ドラセナ・ドラコ」と「ドラセナ・シナバリ」は、いずれも陸地から隔絶された島に育つ高木です。太古からの固有種がたくさん見られる島で守られ、時代を重ねてきた竜血樹の特徴をご紹介します。
竜血樹の特徴
ドラセナ・ドラコ (Dracaena draco) |
ドラセナ・シナバリ (Dracaena cinnabari) |
|
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英名/別名など | カナリアアイランド・ドラゴンツリー | ベニイロリュウケツジュ ソコトラ・ドラゴンツリー |
原産地 | マカロネシア・カナリア諸島 (大西洋) |
ソコトラ諸島 (インド洋) |
保全状況 (レッドリスト) |
VU(絶滅危惧/危急) | VU(絶滅危惧/危急) |
形態 | 常緑高木 | 常緑高木 |
樹高 | 10~20m | 10~20m |
耐暑性/耐寒性 | 耐暑性:強 耐寒性:やや弱(5度以上) |
耐暑性:強 耐寒性:やや弱(5度以上) |
水やり | ごく控えめに(乾燥地に自生) | ごく控えめに(乾燥地に自生) |
樹木全体の形 | ブロッコリー型 | キノコ型 |
竜血樹の原産地について
ドラセナ・ドラコの原産地「カナリア諸島(大西洋)」は乾燥した亜熱帯
・スペインのカナリア諸島自治州にある火山島
・亜熱帯、砂漠性気候に属する
・年間降水量は200mm前後
・島内に国立公園が4つあり、うち2つは世界遺産に登録済
・近年は観光地や保養地としても有名
ドラセナ・シナバリの原産地「ソコトラ島(インド洋)」は陸地の75%が世界遺産
・イエメン(中東・アラビア半島南端)ソコトラ県に属する島
・熱帯、砂漠、ステップ気候
・年間降水量は250mm程度
・ソコトラ島の陸地の75%が世界遺産
・「インド洋のガラパゴス」とよばれるほど、固有種が多い
・ヤギの食害により、竜血樹は危機的状況にある
竜血樹の種類
ドラセナ・ドラコ(Dracaena draco)
Dracaena dracoが学名です。ドラセナ(Dracaena)は「雌竜」、ドラコ(draco)は「竜」を意味し、ともに竜血を産することからつけられています。ドラコは高さが10m以上にもなるドラセナですが、非常に成長が遅く強健なため、鉢植えなどに仕立てて楽しむ人も増えています。種や挿し木、伏せ枝など増やし方の種類も多く容易です。
ドラセナ・シナバリ(Dracaena cinnabari)
Dracaena cinnabariが学名です。シナバリ(cinnabari)は「朱色の」という意味を持つラテン語で、赤い樹脂の色から名付けられました。ドラセナ・シナバリは、大きな傘状の葉で霧の水滴を受け止め、自分の根元に滴らせることで水の少ない地域で生き延びてきたとされています。また、自らの影によって水分の蒸発も抑えることができという特徴も備えています。
広義の竜血樹
「ドラセナ・コンシンネンシス」や「ドラセナ・カンボジアーナ(海南龍血樹)」など高木になるドラセナ属をすべて竜血樹とよぶ場合があります。上の画像はドラセナ・カンボジアーナで、ドラセナ・ドラコとよく似た樹形をしています。東南アジアから中国本土南部にかけてが原産地です。