トキワツユクサ(常磐露草)とは?その特徴や花言葉などをご紹介!

トキワツユクサ(常磐露草)とは?その特徴や花言葉などをご紹介!

トキワツユクサはツユクサ科ムラサキツユクサ属の草花です。白く小さな花が可憐ですが、その見た目以外にもさまざまな特徴を持ちます。この記事ではトキワツユクサの特徴や花言葉、ほかのムラサキツユクサ属との違いなどを見ていきましょう。

記事の目次

  1. 1.トキワツユクサとは
  2. 2.トキワツユクサの特徴
  3. 3.トキワツユクサの花言葉
  4. 4.トキワツユクサとほかのツユクサの見分け方
  5. 5.責任をもってトキワツユクサの美しさを楽しもう

トキワツユクサとは

Photo by NakaoSodanshitsu

トキワツユクサ(常盤露草)は、ツユクサ科ムラサキツユクサ属に分類される常緑多年草です。神奈川県をはじめとした、北海道・東北を除く関東以南の地域で広く繁殖が確認されています。別名はノハカタカラクサ(野博多唐草)です。開花時期は6月~8月ごろまでの暖かい時期で、白い小さな花を観察できます。石垣、林の中、水辺といったやや湿った日陰が主な成育場所です。

トキワツユクサの基本情報

植物名 トキワツユクサ(常盤露草)
別名 ノハカタカラクサ(野博多唐草)
学名 Tradescantia fluminensis
植物分類 ツユクサ科ムラサキツユクサ属
原産地 南アメリカ
形態 多年草
開花時期 6月~8月
日本における分布 北海道・東北などをのぞく関東以南

名前の由来

トキワツユクサの名前の由来は、「常緑」「ツユクサに似ていること」です。ツユクサと花の形が似ており、温暖な地域では冬も緑が褪せないことから「常盤露草」とつけられました。別名のノハカタカラクサ(野博多唐草)は、ハカタカラクサ(博多唐草)に似ていたことが名前の由来です。ただし、ノハカタカラクサとハカタカラクサは種も異なり、ハカタカラクサはツユクサの仲間ではありません。

唐草は家紋にもなる生命力の象徴

トキワツユクサの別名であるノハカタカラクサ(野博多唐草)の「唐草」は、葛植物などが長い茎を絡ませ合う様子を表した言葉です。唐草は家紋として図案化されているほどで、どこまでもたくましく伸びていく姿に一族の繁栄の願いを込めたのでしょう。唐草を表した家紋には、花とあわせた花唐草などもあります。

ボタニ子

ボタニ子

青い花をつけるツユクサは日本に古くから自生し、奈良時代の歌集「万葉集」にも登場します。

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トキワツユクサの特徴

トキワツユクサは白くはかなげな花が印象的ですが、美しい花を持つという特徴のほかにも特筆すべき点があります。花の形態や自然界とのかかわりについて特徴を見ていきましょう。

特徴①三角形の白い花と6本のめしべ

トキワツユクサの花は、上から見ると三角形のような姿で、花の直径は1.5cmほどです。中央には1本の白いめしべがあり、それを黄色の6本のおしべが取り囲みます。白い複数の細かい毛のようなものはおしべではありません。トキワツユクサの花は、開花時期である6月~8月に沢など日のあまり当たらない湿度が高い場所で見つかります。

特徴②強い繁殖力

トキワツユクサの繁殖力は非常に高いものです。茎は地面を這うように広がる匍匐性(ほふくせい)の性質を持ち、「唐草」をイメージさせる高い生命力を持ちます。また、気候的に結実しない環境であったとしても、1本の茎さえあれば増殖を続けます。その繁殖力は周りの草花を駆逐してしまうほどです。節から旺盛に新しい根を出し、あっという間に地面を覆うほど広がります。

切り花でも強い生命力を発揮

トキワツユクサをはじめとしたツユクサ科の植物は、どれも生命力が強いといわれています。ツユクサを切り花にして活けておくと、花は一晩で枯れてしまいますが、すぐに新しい花を咲かせます。また、節からの発根率も高いのも特徴です。切り花や駆除したトキワツユクサの茎を知らずに地面に落とせば、そこから根を出して根付くことすらあるほどの繁殖力です。

特徴③南アメリカ原産の帰化植物

トキワツユクサは、青い花をつけるツユクサのように昔から日本に自生していたわけではありません。昭和初期に園芸品種として南アメリカから導入されたシロフハカタカラクサが自然界に漏れ出し、日本の環境に根付いた帰化植物です。北海道や東北といった寒冷地ではトキワツユクサの発見例はありませんが、温暖な地域では随所で確認されています。

生態系被害防止外来種に指定

帰化植物のトキワツユクサは、高い繁殖力によって、日本に自生する草花をつぎつぎと淘汰してしまいます。元来、ツユクサの繁殖力や生命力は高いものですが、トキワツユクサはそれを上回るものです。トキワツユクサの繁殖を許すとやがてその場所に自生するツユクサなどを駆逐し、生態系を乱すことになるでしょう。そのため、環境庁から生態系被害防止外来種の指定を受けています。

ボタニ子

ボタニ子

鎌倉などの寺院でそっと咲いているけれど、厄介な帰化植物だったのね…。お寺の雰囲気にもあう花なのにね…。

トキワツユクサを見つけたら?

Photo by NakaoSodanshitsu

日本のさまざまな都道府県で確認されているトキワツユクサですが、導入のきっかけは観賞用であったため、今も苗などの販売が続いています。環境庁によって「栽培にあたっては適切な管理を行うこと」「栽培ができなくなったときは責任をもって処分すること」「在来種競合・駆逐などの恐れがある場合は積極的に防除・抑制を行うこと」と指針が発表されました。

要注意外来生物リスト | 日本の外来種対策 | 外来生物法
ボタニ子

ボタニ子

美しい花なので、切り花にして持ち帰りたくなりますが、扱いには注意が必要なんですね。

ボタ爺

ボタ爺

そうじゃの。とくに、切り花にしたものをトキワツユクサが繁殖していない山林などに持ち込まないようにしないとな。

トキワツユクサの花言葉

トキワツユクサの花言葉は「尊敬」です。トキワツユクサと同じ、ツユクサ科の仲間であるツユクサやムラサキツユクサの花言葉も「尊敬」とつけられていることからも、ツユクサの仲間には共通した花言葉がつけられていることがわかります。

ボタ爺

ボタ爺

トキワツユクサのほかにも白い花をつけるツクユサの仲間がいるんじゃよ。

ボタニ子

ボタニ子

白い花をつけるツユクサのうち、どれがトキワツユクサなのか見分けるポイントをチェックしておきましょう!

トキワツユクサとほかのツユクサの見分け方

ツユクサ科に分類されるツユクサの仲間は多くあり、世界では約40属500種類が存在します。日本に自生するツユクサ科ムラサキツユクサ属のうち、トキワツユクサのように白い花を咲かせる主なものはトキワツユクサ、オオトキワツユクサ、ミドリハカタカラクサの3つです。

①トキワツユクサ

トキワツユクサは、オオトキワツユクサ、ミドリハカタカラクサと比べて葉や茎がやや赤紫色をしているのが特徴です。とくにわかりやすい見分け方は葉の裏の色でしょう。ほかの2つと比べると色の違いがよくわかります。また、花の中央にある白い毛の数はオオトキワツユクサと比べて少なく、花もやや小ぶりです。

②オオトキワツユクサ

オオトキワツユクサは名前のとおり、トキワツユクサよりも大きな花を咲かせます。オオトキワツユクサは葉や茎が明るい緑色をしており、葉の裏も緑色のままです。また、花の中央にある白い毛の数がトキワツユクサと比べて多く、フワフワとした霧のような見た目が特徴に挙げられます。オオトキワツユクサも南アメリカを原産とする帰化植物です。

③ミドリハカタカラクサ

ミドリハカタカラクサはトキワツユクサと非常によく似た見た目をしており、トキワツユクサと混同されることも多々あります。トキワツユクサの葉の裏が赤紫色であるのに対し、ミドリハカタカラクサは緑色です。また、トキワツユクサは結実しますが、ミドリハカタカラクサは結実しません。ミドリハカタカラクサの分布はトキワツユクサと同じく、北海道・東北を除く関東以南の温暖な地域です。

責任をもってトキワツユクサの美しさを楽しもう

トキワツユクサははかなげで、控えめに咲く姿が和を感じさせるかもしれません。しかし、帰化植物であり、その繁殖力は恐るべきものです。日本に奈良時代以前から根付いているといわれるツユクサなど固有の生態系を脅かす存在でもあります。トキワツユクサの美しい花を楽しんだあとは責任をもって処分し、人が広げることのないよう注意しましょう。

ricebridgarden
ライター

ricebridgarden

庭いじり、家庭菜園、DIYが大好きな主婦です。庭にキジがきたり、近くにはムササビもいるような田舎に暮らしています。3歳の娘と一緒に庭づくりを楽しんでいます。

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