ネジバナ(捩花)とは?
ネジバナはラン科ネジバナ属の多年草です。別名に「ねじりそう」「ネジレバナ」という名前があります。湿っていて日当たりが良い場所に自生します。花序に小さい花がねじれたように螺旋状につくことが特徴で、園芸品種としても人気が高いです。寄せ植えとしての人気も高く、芝などの他の植物と一緒に植えて育てていることもあります。
基本情報
学名 | Spiranthes sinensis var. amoena |
分類 | ラン科ネジリバナ属の多年草 |
分布 | 日本全土、ヨーロッパ東部、熱帯アジア、温帯アジア、オセアニア |
別名 | ねじりそう・ネジリバナ・ネジレバナ |
花期 | 5月~8月 |
ネジバナの学名の由来はギリシャ語で「螺旋」「花」が由来となってます。
葉の特徴
ネジバナの葉は、夏葉と冬葉の2種類があります。
夏葉
夏葉は、濃い緑色で、根元から集まって生えます。冬葉の中心からは生えている細くて大きな葉が夏葉です。夏葉の形は、線状倒披針形で、先はとがります。夏葉は5枚~6枚ほどで、開花時にも葉をつけています。
根元から、出ているのが夏葉です。
冬葉
冬葉は、秋に夏葉の脇から出てくる葉で、楕円形で短くて丸い形をしています。ネジバナは種子が熟した後、一時休眠はしますが、冬葉は寒い季節の冬でも枯れることはありません。冬葉は、1株で3枚~5枚ほどあり、寒い冬の季節はロゼット状になります。
花の特徴
開花時期は5月~8月で、5mmほどの小さな花を1個~3個花茎に密着させてつきます。花弁3個、がく片3個、唇弁は白色で、側弁は淡いピンク色をしています。花序には白い毛があります。花の真ん中には花粉塊があります。ラン科の植物らしく、花は左右対称で、雄しべと雌しべが一体となっています。
ネジバナの螺旋
ネジバナは花茎の周りに花を螺旋状に咲かせます。螺旋は、右螺旋、左螺旋、螺旋の向きが途中から変わっている、初めから螺旋になっていないのもあり、さまざまな螺旋を描いたり、描いてなかったりします。
ネジバナという名前なのに、この写真のネジバナはまったくねじれてないですね!
ネジバナの花の色
ネジバナの花はピンク色をしています。個体によっては、花の色はピンクはピンクでも濃いピンク、薄いピンクと色がさまざまなピンクにわかれています。
ネジバナはラン科の植物なので下向きに花がつきます。
花粉塊とは?
花粉塊とは、ラン科特有の性質です。その名の通り、花粉が塊になっているものです。花粉塊は粘着部分を持っているものも多く、この部分で花の中に入ってきた昆虫に花粉がくっつく仕組みになっています。
果実の特徴
ネジバナの果実はさく果です。果実は、花茎の先端のまだ花が咲いているのに下部の花は果実になってしまいます。この果実の中には、種子がはいっていて、熟すとさく果の脇の裂けめから細かい粉のような種子を飛ばします。果実の殻は、そのまま花茎にくっついたまま茶色くなります。
種子
種子の両端には翼があります。ラン科の種子には、胚乳がありません。ネジバナはラン科なので種子に胚乳がありません。種子を飛ばしたあと、ネジバナは一時的に休眠します。
茎の特徴
花茎は、淡緑色をしていて毛が生ています。また、上部でねじれているのも特徴です。全体的に茎は短く、細いのが特徴です。
根の特徴
根は、太く多肉質で、色は白く、紡鐘状に肥大します。ラン科の植物の根には菌が共生しています。ネジバナもラン科なので、根に菌類が共生していて菌類の手助けのもと発芽します。
菌とは?
ラン科と共生している菌は、どんな菌かといいますとラン菌と呼ばれています。種子に胚乳を持たないラン科の植物に必要なものです。ラン科の植物は菌類から栄養をもらい、発芽します。その代わり、ラン科の植物は菌類に光合成で得た糖分を渡しています。
ネジバナはどんな場所に自生しているのか
ネジバナは、湿っていて日当たりの良い場所に自生しています。それ以外の場所でも、芝生などや他の植物と一緒に自生していることもあります。
ネジバナの名前の由来
ネジバナは漢字だと「捩花」と書きます。別名で「ねじりそう」「ネジリバナ」「ネジレバナ」があり、とにかく、全ての名前がねじれています。ネジバナの名前の由来は、花が花序に螺旋状につくことが由来となっています。そのため、ねじれている花、ねじれている野草なので「ネジバナ」「ねじりそう」と呼ばれています。
花言葉は?
ネジバナの花言葉は誰かを大切に思う「思慕」です。由来は万葉集からとされていて「芝付(しばつき)の御宇良崎(みうらさき)なる根都古草(ねつこぐさ)逢ひ見ずあらば吾(あれ)恋ひめやも」の歌からきています。この歌に出てくる「根都古草」がネジバナだという説があります。この歌には恋しい思いが歌われています。
出典:BOTANICA