記事の目次
- 1.雑草が見分けやすくなる夏~秋
- 2.雑草の見分け方のポイント
- 3.よく見る雑草の種類図鑑①オヒシバ
- 4.よく見る雑草の種類図鑑②メヒシバ
- 5.よく見る雑草の種類図鑑③アメリカスズメノヒエ
- 6.よく見る雑草の種類図鑑④シマスズメノヒエ
- 7.よく見る雑草の種類図鑑⑤ネズミノオ
- 8.よく見る雑草の種類図鑑⑥メリケンカルカヤ
- 9.よく見る雑草の種類図鑑⑦ニワホコリ
- 10.よく見る雑草の種類図鑑⑧セイバンモロコシ
- 11.よく見る雑草の種類図鑑⑨ススキ
- 12.よく見る雑草の種類図鑑⑩オギ
- 13.よく見る雑草の種類図鑑⑪ダンチク
- 14.よく見る雑草の種類図鑑⑫エノコログサ
- 15.よく見る雑草の種類図鑑⑬チカラシバ
- 16.身近な雑草を探してみよう!
よく見る雑草の種類図鑑③アメリカスズメノヒエ
基本情報
学名 | Paspalum notatum |
英名 | Bahiagrass(バヒアグラス) |
分類 | スズメノヒエ属 |
形態 | 多年草 |
開花期 | 6月~10月 |
分布 | 帰化種 南アメリカ原産 |
特徴
アメリカスズメノヒエは、別名オニスズメノヒエとも呼ばれますが、牧草名であるバヒアグラスで取り扱われることも多い雑草です。痩せた土地でも生育でき、芝生のよう横に茎を這わせるため緑化作物として利用できます。公園や河川敷の法面など、公共施設の敷地内でよく見られる雑草です。
見分け方
アメリカスズメノヒエは花茎の先端が二股に枝分かれして、密に並んだ小穂をつけます。Vサインのように見える穂を目印にすれば見つけるのが簡単で、写真のように黒紫色の葯(やく)がついていれば、ほぼ確実に見分けられます。また、地下茎であることと、葉や穂も無毛であることも見分けるときのポイントです。
よく見る雑草の種類図鑑④シマスズメノヒエ
基本情報
学名 | Paspalum dilatatum |
英名 | Dallis grass(ダリスグラス) |
分類 | スズメノヒエ属 |
形態 | 多年草 |
開花期 | 8月~10月 |
分布 | 帰化種 南アメリカ原産 |
特徴
シマスズメノヒエは戦後に帰化した植物で、関東以西の都会周辺の道端や空き地、田の畔で多く生育しています。踏みつけにも強く、気づいたときには庭に入っていることもありますが、繁殖能力は普通のため発見次第抜けば問題ありません。アメリカスズメノヒエと同じ、黒紫色の葯をつけるのが特徴です。
見分け方
シマスズメノヒエは、写真のように花茎から交互に枝をだして小穂が密になって並んでいます。アオムシような穂を段になってつける雑草はシマスズメノヒエと考えてよいでしょう。ほかにも、葉は無毛であること、葉耳や小穂に白い毛があることもポイントです。仲間のスズメノヒエは葉に柔らかい毛が生えており、黄色の葯がでていることで見分けられます。
タチスズメノヒエとの見分け方
シマスズメノヒエには、大きなタチスズメノヒエという仲間がいます。タチスズメノヒエは、花茎につける穂の枝が10~20個と多く、背の高いものは150cmにもなるのが特徴です。また、穂に白い毛が密についているため、小穂全体がふわっとした印象をです。これらの点で、シマスズメノヒエと見分けられます。
よく見る雑草の種類図鑑⑤ネズミノオ
基本情報
学名 | Sporobolus indicus |
英名 | Smutgrass(スマトグラス) |
分類 | ネズミノオ属 |
形態 | 多年草 |
開花期 | 8月~10月 |
分布 | 本州から沖縄 |
特徴
ネズミノオは、道端や空き地でよく見かけられる草丈30~70cmの雑草です。まっすぐ伸びた花茎に細い小穂が密着してつく姿が、ネズミのしっぽのように見えることから名前が付けられています。葉っぱが硬く踏みつけに強いため、道端にはえる力強い植物です。
見分け方
ネズミノオの穂は、花茎に灰色もしくは紫色の小穂が密着してついています。穂には柔らかい毛もなく、よくみると花茎に枝が巻きついているため、ほかの雑草と見分けやすいです。葉や茎にも毛がなく、全体的に乾いた印象を与える雑草です。
よく見る雑草の種類図鑑⑥メリケンカルカヤ
基本情報
学名 | Androp virginicus |
英名 | broomsedge(ブルームセッジ) |
分類 | メリケンカルカヤ属 |
形態 | 多年草 |
開花期 | 9月~10月 |
分布 | 帰化植物 北アメリカ原産 |
特徴
メリケンカルカヤは昭和10年代に日本に入ってきたといわれ、アメリカ(メリケン)から侵入してきたカルカヤ(在来種メガルカヤ)というのが名前の由来です。50~120cmほどとやや高い草丈で、葉が線形にまっすぐ伸びて茎に沿うように生えています。小穂から長い芒をつけるのが特徴で、晩秋のほかの雑草が枯れた時期でも、赤褐色のメリケンカルカヤから白い綿のような芒を見ることができます。
見分け方
メリケンカルカヤの見分けるポイントは、特徴的な葉の付け根部分の小穂です。小穂から出ている白い綿のような長い毛の芒は、まだ全体が緑色の時期にも葉と茎の間から出ていることを確認できるため、初心者でも簡単に見分けられます。
よく見る雑草の種類図鑑⑦ニワホコリ
基本情報
学名 | Eragrostis multicaulis |
分類 | スズメガヤ属 |
形態 | 一年草 |
開花期 | 8月~10月 |
分布 | 北海道~沖縄 アジアから全世界に帰化 |
特徴
ニワホコリは庭先や道端で見られる雑草で、か細いホコリのような穂を付けることから「庭埃」と呼ばれています。背が低い雑草で15~30cmほどしかなく、地下茎などもないため害の少ない雑草です。初夏の穂をつける時期になると、赤い円錐状の穂をつけます。
見分け方
ニワホコリの穂は、花茎に極細の枝を円柱状に生やし、写真のようにまばらに小穂をつけます。ニワホコリのような穂の形状の雑草は多いですが、秋時期に背の低い雑草はニワホコリしかないため、見分けるのに苦労しないでしょう。
オオニワホコリとの見分け方
オオニワホコリは、名前のとおり大型のニワホコリであり、日本全土の道路わきや空き地で確認できます。写真のように子穂が落ちてしまい、花茎だけが風になびいて揺れる姿からは秋へ移り変わったことを感じられるでしょう。オオニワホコリは70cmと高い草丈で、葉は細長く毛が生えてないことで見分けられます。
よく見る雑草の種類図鑑⑧セイバンモロコシ
基本情報
学名 | Sorghum halepense |
英名 | Johnson grass(ジョンソングラス) |
分類 | モロコシ属 |
形態 | 多年草 |
開花期 | 8月~9月 |
分布 | 帰化植物 アフリカ原産 |
特徴
セイバンモロコシは、世界的に分布している畑の雑草として有名な植物です。日本には、戦後に帰化したといわれており、土手などに群生し背が高いもので1.5mほどに成長します。地下茎を這わせて広がる雑草のため、一度群生してしまうとなかなか防除が難しいです。一見、牧草として利用ができそうですが、牛が中毒をおこす硝酸を含むため活用は困難です。仲間に、牧草であるソルゴーやスーダングラスがあります。
見分け方
セイバンモロコシの穂は、立体的な円錐状をしています。小穂の大きさは4~6.5mmと大型で、芒があり赤みを帯びた籾のようです。ほかの見分けるポイントは、地下茎である根際の茎が匍匐していることと、葉が平べったくさわり心地が滑らかな点です。
よく見る雑草の種類図鑑⑨ススキ
基本情報
学名 | Miscanthus sinensis |
英名 | Eulalia(ユーラリア) |
分類 | ススキ属 |
形態 | 多年草 |
開花期 | 9月 |
分布 | 北海道から沖縄 中国 |
特徴
ススキは尾花やカヤとも呼ばれる秋の七草の一つです。山野や空き地、土手などで普通に見られる雑草で、かつてはかやぶき屋根の原料に使われるなど、人と共存してきた植物です。ススキはガラス成分であるケイ酸を含んでいるため、葉先がノコギリのようにザラザラしており、誤って触ると手を切ることもあります。暖かい沖縄などでは枯れずに大きくなり、5mほどにもなる背の高い雑草です。
見分け方
ススキはほうきのような穂をしており、花茎の付け根から小穂が付いています。小穂の色が黄色や赤色で、そこから生える芒が灰褐色もしくは白色のため、ススキの穂は遠目にみると薄い茶色に見えます。そのほかの見分けるポイントとしては、ススキは株をつくるため、穂が株から生えているという点です。また、葉の中央に白い主脈があることも特徴です。
赤いススキに似た雑草は?
上の写真の植物は、先ほどのススキと見比べると別の雑草に見えるかもしれません。しかし、同じススキの写真です。ススキはフワフワした穂を付ける前に、写真のような赤い花穂をつけます。姿がよく知られているため雑草のなかでも知名度の高いススキにも、このような判断に困る姿もあります。
画像出典:筆者撮影