アロエとは
アロエは、緑色の肉厚な葉にするどいとげが生えているのが特徴的な多肉植物です。その品種は300種類以上あり、紀元前から薬として利用されているものや観賞用として鉢植えや露地栽培されているものなどがあります。本記事では、食用と観賞用のアロエに分けて、特徴や見分け方などについてご紹介します。
アロエの基本情報
学名 | Aloe |
属名 | ススキノキ科ツルボラン亜科アロエ属 |
分類 | 多肉植物 |
原産地 | 南アフリカ・地中海沿岸・マダガスカル カナリア諸島など |
花色 | 赤・だいだい色・黄色 |
開花時期 | 11月~12月 |
草丈 | 20cm~10m |
利用方法 | 観賞用・食用・薬用 |
花言葉 | 健康・信頼・万能 |
食べられる種類のアロエ
アロエには胃や腸に効く成分が多く含まれており、昔から薬や健康食品として食べられてきました。近年では食材としてスーパーに並んでいたりアロエの缶詰などが市販されていたりして、子どもから大人まで気軽に食べられます。しかし、実際にどのアロエが食べられるものなのか、どのような効能があるのかなど詳しく知らない方も少なくないでしょう。ここでは食用として代表的なアロエの「キダチアロエ」と「アロエベラ」の特徴や食べ方などについてご紹介します。
キダチアロエ
医者いらずの呼び名が有名
キダチアロエは、主に薬用として利用されています。日本では「医者いらず」とも呼ばれ、昔から胃腸薬や貼り薬として使用されてきました。味は、表面の皮の近くは苦みが強く、なかの透明な部分はあまり苦みがありません。
寒さに強い
剣状の葉が木の枝のように茎から伸びているのが特徴的なアロエで、葉のふちには三角のとげがはえています。南アフリカなどが原産地の植物ですが、比較的寒さに強く日本の広い範囲で栽培できます。株が大きくなるとつぼみの付いた茎が1本長く伸びて11月~2月に細長い筒状の赤い花をたくさん咲かせます。
アロエベラ
食用のアロエ
アロエベラは、主に食用として利用されています。キダチアロエに比べて葉が大きく肉厚で、皮をむいた透明なゼリー状のものが食べられる部分です。苦みが少なくくせもないため、そのまま食べたりヨーグルトに混ぜたりして食べるのが一般的です。
寒さに弱い
アロエベラは、葉が茎から伸びず根元から葉が地面に広がるように伸びるのが特徴で、夏には黄色い筒状の花を咲かせます。寒さにとても弱く、日本では主に温暖な沖縄県で栽培されていて、家庭で育てる場合も露地栽培では冬を越すことが難しいとされています。
キダチアロエとアロエベラの見分け方
キダチアロエとアロエベラを見分けるポイントは次のような部分です。
- 葉の生え方:キダチアロエは茎から生えていて、アロエベラは根元から生えている
- 葉の形:キダチアロエは剣状で薄く、アロエベラは大きくて肉厚である
- 花色と咲く時期:キダチアロエは冬に赤い花が咲き、アロエベラは夏に黄色い花が咲く
このように、かなりはっきりとした違いがあるため、キダチアロエとアロエベラは簡単に見分けられます。
食用アロエの食べ方
アロエには苦みがあるため、食べる前には必ず下処理が必要です。葉の皮をむき、透明な葉肉の部分を食べやすい大きさにカットします。熱湯で1~2分茹でれば下処理の完了です。刺身のようにしょうゆや酢味噌をつけて食べたり、サラダに混ぜたりするとアロエそのものの食感が楽しめておすすめです。また、すりおろしたアロエをしぼってジュースにしたりヨーグルトに混ぜて他の野菜や果物と一緒にスムージーにしたりすると、アロエの食感が苦手な人でも美味しく食べられます。
食用アロエの薬効
アロエには特有の成分が含まれていて、それぞれ違う薬効があります。ここでは代表的な3つの薬効と成分についてご紹介します。
便秘に効く種類の成分
苦みのもとになっている成分のアロインやアロエエモジンは、アロエの葉の皮部分に多く含まれています。アロインには胃腸の動きを活発にさせるはたらきがあり、便秘改善の効能が期待できます。ただし、アロインは医薬品として扱われるほど作用が強く、多く取り過ぎると腹痛や下痢を起こすかもしれません。摂取する場合は、キダチアロエは大人で1日15g、アロエベラは大人で1日60gまでが目安です。また、アロインは子宮を圧迫し充血させるはたらきもあり、妊娠中は控えましょう。
殺菌効果のある種類の成分
アロエチンやアロエニンは、殺菌作用が強く細菌が出した毒素を和らげる作用も併せ持つ栄養素です。気管支や鼻などの粘膜の炎症を抑える作用や、肝臓の解毒作用を促したり炎症を鎮めたりする作用があります。食べることで風邪や喘息の予防、二日酔いを軽くする効果が期待できるでしょう。また、優れた殺菌作用から塗り薬や貼り薬として、やけどや切り傷・すり傷などの化膿止めや虫刺され・いぼ・うおのめなどにも使用されます。
胃潰瘍に効く種類の成分
アロエウルシンは、キダチアロエにだけ含まれている成分で、主にアロエの葉肉のぬるぬるとしとした部分に多く含まれています。アロエウルシンには抗潰瘍作用や血液凝固作用があり、食べることで胃潰瘍や胃炎の症状を軽くする効能が得られます。また、細胞の再結成を促す作用もあるため、やけどや切り傷・すり傷などのぬり薬としても効果的です。
観賞用とされている種類のアロエ
アロエは薬用や食用としてだけでなく、観賞用としても人気の高い植物です。近年の多肉植物ブームや手間のかからない育てやすさから、観葉植物として栽培する若い女性も増えてきています。そこで、人気の高い観賞用のアロエをご紹介します。
シャボンアロエ
「シャボンアロエ」の名前は園芸名で、学名は「アロエ・サポリア」、和名は「明麟錦(めいりんにしき)」といいます。葉をすりつぶして水を加えると泡立つことから「シャボンアロエ」と呼ばれるようになりました。写真で見られるように葉に白い斑点があり、葉のふちのとげも短く、比較的寒さに強い品種です。観賞用として育てられることが多いですが、やけどの薬や食用としても利用されています。花が咲く時期は春で、長く伸びた花茎の先にだいだい色の筒状の花をたくさん咲かせます。
アロエブリザード
アロエブリザードは、人工的に交配された交配種とよばれる種類のアロエです。画像で見られるように、名前の由来にもなった吹雪のような白い斑点や、人工交配のため葉の形が個体によって少しずつ違うことなどから希少種としても人気の高い品種です。同じ交配種のアロエには、葉にたくさんの赤い突起が出てくるフラミンゴや白い模様のあるハイブリットなどがあります。
不夜城
不夜城は、学名「アロエ・ノビリス」という観賞用のアロエです。バラの花のように重なり合った小ぶりな緑色の葉と、葉のふちに生える黄色味をおびた白いとげが特徴的な品種です。寒さに強い種類で、室内だけでなく屋外でも育てられます。花が咲く時期は6月~7月ごろで、濃いだいだい色の花を咲かせます。
アロエの風水的な置き方
アロエは、風水としても利用されている植物です。葉のふちに付いているとげに魔除けや厄除けの意味があり、少ない水でも元気に育つことから健康運がアップの意味もあるとされています。風水的には、外から悪い気が入ってくることを防ぐために、玄関や各部屋の出入り口に置くと効果があるようです。アロエの種類はとくに決まっていないため、お好きなアロエを選んでください。
まとめ
紀元前という大昔から薬として重宝されてきたアロエは、食用や観賞用としても楽しめる万能の植物です。しかし、一度にたくさん食べてしまうとお腹をこわしてしまうため、食べる量には注意が必要です。胃腸や気管支、肝臓などに効能があるため、便秘や風邪の予防、二日酔い防止などに利用しましょう。また、観賞用や風水としても楽しんでみてください。
出典:写真AC