ハダニの予防方法
一度発生すると爆発的に繁殖してしまう生態が、ハダニ対応の難しい点です。ハダニはクモと同様に、巣を作るのと同じ糸で風に乗って飛んできます。そのため、完全に根絶するのは困難です。発生しやすい条件を知り、外部から飛んでくるハダニが生活しにくい環境をととのえましょう。日常的な予防が、ハダニの早期発見と、発生した場合の被害拡大防止にもつながります。
ハダニが発生しやすい条件
黄緑色のハダニの場合、卵またはオスが休眠して越冬し、赤いハダニの場合は一年中活動が可能です。暖かくなるとそれらが活発に活動し始め、20℃〜30℃の暖かくて乾燥した条件で大量に発生します。25℃を超えると卵は10日程度で成虫になるため、日当たりのよいベランダや、黒マルチシートで保温した畑などはとくに注意が必要です。3月〜10月にかけて発生しやすく、なかでも梅雨明けから夏がピークです。
無農薬で予防する
ハダニは乾燥を好み、水を嫌う生態をもつため、毎日葉の裏に水をかけましょう。株数が少なければ、霧吹きを使うと簡単で丁寧にできます。プランターの場合は、雨が当たる場所に設置しましょう。ハダニの発生源となる、作物付近の雑草を除去することも大事です。また無農薬栽培を行うこと自体も、ハダニの天敵となるほかの虫を殺さないという意味で、効果が期待できるハダニ対策です。
薬剤で予防する
予防の段階で薬剤を使う場合は、卵に効果を発揮するものを選びましょう。コロマイト乳剤、スターマイトフロアブル、ダニサラバ、コテツフロアブル、ダニ太郎などが有効です。ハウス栽培の場合は、天敵となる虫を放飼するのも効果的です。市販されている商品としては、スパイデックス、ミヤコトップなどがあります。
作物ごとの予防と駆除
ここでは、作物ごとの予防方法と駆除方法をご紹介します。どの植物でも乾燥を避け、周辺の除草につとめることが基本的な予防法ですが、植物ごとの世話の仕方をチェックしておくとさらに効率的な予防ができます。また、自分の育てている作物に合った薬剤を選び、発生した場合の駆除に役立てていきましょう。
トマト
トマトにつきやすいのは赤い色をしたハダニです。トマト栽培では、甘みを増したり実割れを防いだりするために水やりを少なくすることがありますが、ハダニはこの乾燥を好むため、繁殖の原因となってしまいます。水やりを控える場合には、葉の裏を中心にしっかり葉水をしましょう。脇芽かきで風通しをよくすることも効果的です。薬剤では、カダンセーフやコロマイト乳剤が有効です。
茄子
茄子につきやすいのは赤い色と黄緑色のハダニです。苗の時点で一度薬剤を使って駆除しておくと、畑に持ち込まずにすみます。ボタニガードESなどが有効です。定植するときには株間を詰めすぎないようにしてください。葉の色が抜けてきたと感じたら、まず葉裏を確認しましょう。小さな虫が動いているのが確認できたら、ほかの病気の対策ではなくハダニ対策をする必要があります。ダニトロンフロアブルやアファーム乳剤が使用できます。
バラ
バラにつきやすいのは、黄緑色と赤い色のハダニです。花が咲かなくなったり株ごと処分せざるを得なくなったりする前に、早期に発見したいところです。株の下の葉からつき始めることが多いため、葉裏のチェックは下の葉を重点的に行いましょう。ベランダ栽培の場合はエアコン室外機の前を避け、過剰な乾燥を予防してください。薬剤では、ダニダウン水和剤やハッパ乳剤などでの対処が効果的です。
まとめ
ハダニが大量に発生して駆除が追いつかなくなってしまうと、生育不良や開花時期の短縮、枯れる原因ともなるので、継続して予防と対処を行いましょう。根絶は難しいですが、1匹ごとで考えれば駆除の容易な害虫です。発生しても早めに対応をとり始めれば、牛乳・木酢液といった無農薬や有機JAS認証の薬剤でも十分に駆除可能です。まずは予防から始め、根気強く対策していきましょう。
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出典:写真AC