蓮華の花は根の秘密
なぜ、レンゲは肥料として使われたのでしょうか。その理由は根っこにあります。レンゲの根にある根粒には、「根粒菌」がたくさんすんでいます。この「根粒菌」が持つ特別な能力こそ、土を肥やす秘密です。
根っこ窒素分は肥料に
根粒菌によりレンゲの根っこには有益な窒素分が蓄えられます。これが肥料として利用されていました。また、サポニンやフラボノイドなど薬効成分を含んだ根は、乾燥して生薬や漢方薬となり今でも流通しています。
肥料としての働き
田んぼが一面のレンゲ畑になっていた理由は、蓮華の根っこに秘密がありましたね。根粒菌の特別な能力でレンゲの根には空気中の窒素が蓄えられます。レンゲと根粒菌の関係は共生と呼ばれます。レンゲは少しの養分を与えて根粒菌を増やし、根粒菌が窒素を植物の使える形に変えてレンゲの根に蓄えていきます。
時間をかけて肥料になる
窒素を利用するため農家はレンゲの種を蒔きました。花を咲かせた後でレンゲを混ぜ込むように土を耕します。半月から1ヵ月ほど発酵させると、腐葉土のように分解されて土の中の肥料分を増やします。これがレンゲの肥料としての働きです。化学肥料と違い手入れのかかるレンゲの肥料が敬遠されるようになり、レンゲ畑が激減したことは仕方のないことかも知れません。
蓮華の花は人の役に立つ植物
レンゲは古くから人の役に立つ植物として、また手入れのいらない美しい景観としても親しまれていました。
- 蜜源となる花
- 肥料目的
- 古くから漢方薬や生薬になる
開花時期はいつ?
蓮華の花の開花時期は、4月から5月です。葉脈から20cm位の花茎をまっすぐに伸ばして開花します。唱歌「春の小川」では、”岸のすみれやれんげの花に”と歌われています。たんぽぽやすみれ、菜の花など人の手入れを必要としない、春の野花が一斉に咲き始める季節です。
蓮華の花の見頃
蓮華の花の見頃は、4月の中旬から5月の始めです。花の日持ちは4日〜5日と桜などに比べやや短めです。最近では肥料に使うことが減ったレンゲの畑を、町おこしに復活させる地域や自治体も増えています。蓮華の花は痩せ地でも育ち、手入れが楽で広大な面積に開花することから町おこしには最適な花です。
蓮華の育て方
田んぼの肥料ではなくレンゲを鑑賞用に育ててみませんか。プランターや花壇のふち、芝生のアクセントなど手入れも簡単なレンゲですが、濃い緑と紅紫色の花が良く映えます。日当たりが良い場所を選び、種まきは主に9月から11月にプランターや花壇などに直まきします。寒さに強く痩せた土でも育つため、肥料は特に必要ありません。冬に芽を出し、花咲く季節が待ち遠しい蓮華を自宅でも楽しんで下さい。
栽培ポイント
根が弱いので植え替えなど移植を嫌います。冬の間は乾燥しないようにたっぷりと水やりを行って下さい。低温時期は凍結を防ぐため、午前中に水やりを行いましょう。草丈が10cm〜30cm程度と短く横に広がって育つ特徴があるので、仕立ての手間もありません。
難易度は高くないが、アブラムシや連作障害には注意
手入れ自体は難しくありませんが、アブラムシが付きやすいので気を付けて下さい。大量発生した場合はレンゲを枯らしてしまいます。また、連作障害を防ぐため毎年同じ場所での栽培を避けるようにしましょう。一般的な花の種と違い、レンゲの種はホームセンターなどで1㎏の単位で売られています。発芽率も高く、花数を増やすなら、株間を10cmほど間引きしてもいいでしょう。
種の収穫
レンゲは花が咲き終わったらさやのような実がなります。このさやを収獲して、種を採取するとまた来年もレンゲを楽しめます。さやは黒くなった頃が収獲時期です。収獲した種は涼しい場所で保管しておきましょう。
蓮華の花の観光スポット
- 群馬県吾妻郡にある「れんげの里」見頃は5月上旬
- 埼玉県久喜市「れんげ祭り」見頃は4月下旬
- 兵庫県丹波市「野上野(のこの)のれんげ畑」見頃は4月下旬~5月はじめ
- 岡山県総社市「吉備路れんげまつり」見頃は4月下旬~5月上旬
まとめ(蓮華と仏教の関係)
蓮華と仏教は関係はある?
蓮華の花は仏教と関係があるのでしょうか。お経に蓮華経とあることを皆さんはご存知ですか。実はこの「蓮華」の意味はハスとスイレンの総称のことです。蓮華の花のことではありません。ハスと仏教の関わりは深く、泥の中から汚れのない美しい花を咲かせることが仏教の教えに通じると考えられています。
そのため、仏像の台座や、寺院にハスの花や葉がよく施されています。蓮華の花は、ハスの花に似ていることからレンゲと呼ばれるようになりましたが、仏教との関わりはありません。春の野に咲く可憐な蓮華草と、泥の中から神々しく夏に開花するハスの花、どちらも心を癒される存在です。
蓮華と蓮の違い
レンゲとハスの違いとはどこにあるでしょうか。花の見た目で間違えることは少ないです。ハスは仏教において聖なるシンボルとしての意味があり重要な存在です。開花する季節や場所にも違いがあります。花の色もレンゲの花は紅紫色が主で、白色がまれに咲きます。一方でハスの花の色は仏教上は5種に分類されています。この色の違いの特徴は仏教思想です。「パドマ:紅蓮華」「プンダリーカ:白蓮華」「ウトパラ:睡蓮」「クムダ:樟脳」「ニーロートパラ:青蓮華」の5種です。特に紅蓮華は「神の象徴」であり、白蓮華は「インドに幸をもたらす架空の池に咲く花」とされています。
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