木瓜の花の概要
木瓜(ぼけ)の花は古くから親しまれている落葉低木です。渡来したのは平安時代初期ですが、園芸植物として広まったのは、明治時代以降と言われています。しかし園芸植物としての用途は幅広く、庭木、盆栽、生垣、切り花と、さまざまな楽しみ方が可能です。また、果実は酒やジャムに加工できますし、乾燥させたものは漢方薬として用いられていました。
名前の由来
名前の由来は不明です。果実が瓜に似ていることから、木になる瓜で「木瓜」と書いて「もけ」と読んでいたのが、訛って「ぼけ」になった説、「ぼっくわ」と呼んでいたのが、訛って「ぼけ」になった説など、諸説あります。
木瓜の基本データ
学名 | Chaenomeles speciosa |
科名 | バラ科 |
属名 | ボケ属 |
英名 | japanese quince |
草丈・樹高 | 2m~3m |
原産地 | 中国 |
開花時期 | 3月~5月 |
花色 | 赤、白、ピンク、オレンジ |
木瓜の花の特徴
特徴①3種類からなる植物
ボケ属の落葉低木類には、日本原産のクサボケ(Chaenomeles japonica)、中国のマボケ(C. cathayensis)、中国原産のボケ(Chaenomeles speciosa)の3種類があります。このうち、一般に「木瓜の花」と呼ばれているのは、中国原産のボケ(Chaenomeles speciosa)です。日本へは平安時代初期、もしくはそれ以前に日本に渡来して帰化植物となったと言われています。
特徴②トゲのあるものとないものがある
種類・品種によって、トゲのあるものとないものがあります。トゲのある品種は生垣に植えると、不審者除けにもなりますよ。剪定の際には必ず長袖・皮手袋を着用し、トゲがささらないように注意して作業しましょう。
特徴③果実が収穫できる
木瓜は秋になると果実を収穫することができます。果実は瓜に似ており、よい香りがしますが、酸味や渋みが強いので生食向きではありません。果実酒やジャムなどに加工するのが主だった利用法です。木瓜の果実には疲労回復や利尿効果、けいれんを鎮める作用があるため、乾燥させて漢方薬として用いることもありました。
木瓜の果実を乾燥させた漢方薬は「木瓜実(モッカジツ)」と呼ばれています。
木瓜の花の種類・品種
東洋錦(トウヨウニシキ)
木瓜の園芸品種で、一重咲きの大輪花を咲かせます。赤い花、白い花、そして白地に赤の絞りという風に咲き分けるという、不思議な花色が大きな特徴です。木瓜は古くから親しまれてきましたが、明治時代までは園芸品種が発達していませんでした。それが大正時代に入ると、新潟県や埼玉県で木瓜の花がブームとなり、たくさんの園芸品種が作出されます。東洋錦もこのときに作出されました。
木瓜の園芸品種は、昭和40年代にもたくさん発表されているよ。このときも木瓜の花が大人気だったんだ。
この人気を受けて次々と木瓜の園芸品種が作出された結果、現在では200を超える品種があります。庭木や生垣、盆栽など幅広く利用されているのも、この品種の多さが関係しています。
白寿(ハクジュ)
新潟県で作出された、木瓜の白花品種の代表格です。八重咲きの大輪花なので、満開になると非常に見事な姿を見せてくれます。枝にトゲが少なくて扱いやすいのも、この品種の魅力でしょう。
黒獅子(クロジシ)
大輪の八重咲き品種です。「黒獅子」という名前から、黒っぽい色を連想してしまいますが、実際は赤色、または朱色の鮮やかな花色をしています。豪華な花に加えて、トゲがなくて扱いやすいことから人気が高い品種です。
木瓜の花言葉
木瓜の花言葉は「先駆者」「指導者」「平凡」「退屈」「早熟」「熱情」「魅惑的な恋」「妖精の輝き」です。それぞれの花言葉の由来と意味については諸説ありますが、はっきりしておりません。「平凡」「退屈」は小さな庭に植えられることが多い植物だったから、という説があります。そして「先駆者」「指導者」については、少し変わった説があるので紹介しましょう。
花言葉の由来は戦国大名?
「先駆者」「指導者」の花言葉の由来は、戦国大名の織田信長にあるという説があります。織田信長といえば、革新的なやり方で乱世を切り開いた先駆者・指導者というイメージが強いため、それにちなんだのではないか、ということです。また、織田信長と木瓜の花のつながりとしては、織田家の家紋に木瓜の花が用いられていたことがあげられます。
木瓜紋自体は、多くの家で使用されている有名な家紋だよ。八坂神社の神紋としても用いられているんだ。
木瓜の花言葉まとめ
- 全般の花言葉:「先駆者」「指導者」「平凡」「退屈」「早熟」「熱情」「魅惑的な恋」「妖精の輝き」
- 種類別・色別の花言葉はなし
出典:写真AC