木瓜の花の育て方
ここからは木瓜の育て方について紹介します。中国原産で、古くから庭木として親しまれてきた歴史を持つ木瓜は、比較的育てやすい植物です。水やりや施肥、剪定などの基本的な手入れや、季節ごとの管理方法など、重要なポイントをしっかり抑えて、より美しく健やかに育て上げましょう。
育て方のポイント①栽培環境
鉢植えも地植えも、日当たりの良い場所で栽培するのが絶対条件です。ただし、乾燥し過ぎると葉が枯れたり、つぼみが落ちたりするので、土壌がひどく乾燥する夏の高温期は注意しましょう。鉢植えの場合は半日陰の涼しい場所に移動させればOKです。地植えの場合は水切れしないように管理しましょう。
土・用土
水もちと水はけのよい土壌を好みます。鉢植えの場合は赤玉土(小粒)5:鹿沼土もしくは軽石(小粒)3:腐葉土またはピートモス2で配合した土を使いましょう。植え付ける際に、鉢底に軽石を敷くのもおすすめです。地植えの場合は、掘り上げた土に腐葉土や川砂を混ぜ込みます。
育て方のポイント②植え付け・植え替え
挿し木苗から育てるのが一般的
木瓜の栽培は、挿し木から育てた苗を鉢植えや地植えにするのが一般的です。木瓜の野生種の場合は、種から育てることも可能ですが、木が生長するのに時間がかかるので、あまりおすすめできません。
植え付けの適期は?
苗の植え付けの適期は季節でいえば秋、9月~11月です。鉢植えの場合は赤玉土(小粒)5:腐葉土3:川砂2の配合で作った土を使い、苗よりも一回り大きな鉢に植え付けます。その後は室内で管理しましょう。日当たりのよい窓際がおすすめです。地植えの場合は、根鉢の2倍の大きさの植穴を掘り上げ、土に腐葉土や堆肥を混ぜ込んでおきましょう。その後、苗を植え付けていきます。
植え替えの適期は?
鉢植えの植え替えは、2年~3年に1回のペースで行います。適期は植え付けと同じく9月~11月です。鉢から株を取り出したら根鉢を崩し、根を1/3ほど切り詰めます。その後、新しい土を使って、前よりも一回り大きい新しい鉢に植え替えましょう。なお、植え替え作業は株に負担がかかるので、植え替え直後は日陰で管理します。
植え替えした翌年の木瓜は、花をつけないことがあるので注意しましょう。
育て方のポイント③水やり
鉢植えの場合は、土の表面が乾いたら水やりするのが基本です。木瓜は乾き過ぎると葉が枯れたり、つぼみが落ちたりします。特に葉が落ちている冬は、水やりを忘れやすいので注意が必要です。地植えの場合は、植え付け直後から根付くまでの間は、土が乾いたら水やりします。根付いた後は、真夏や冬などの乾燥がひどい時期にだけ、水やりしましょう。
育て方のポイント④肥料
鉢植えの木瓜には、開花後のお礼肥として4月~5月、そして株が充実する9月下旬に緩効性肥料を与えます。地植えの場合は2月に寒肥として緩効性肥料、または固形の油粕を与えましょう。果実を採取する場合は、9月~10月にも緩効性肥料を施します。
育て方のポイント⑤剪定
剪定の適期は年2回
木瓜の剪定の適期は花後の4月~5月、そして葉が落ちる10月~11月です。4月~5月の剪定は新芽を出やすくするために、長く伸びた枝を1cm程度にまで切り詰めます。このとき花がら摘みも一緒に行いましょう。10月~11月の剪定は、つぼみの生育をよくするために行います。つぼみのついていない枝は1cmほどの長さまで切り詰め、つぼみが下部についている枝は、10cmほどの長さを残して剪定しましょう。
育て方のポイント⑥収穫
木瓜の果実の収穫時期は9月下旬~10月です。果実の色が黄色くなり、よい香りがしてきたら収穫します。ただし、実をつけ過ぎると株が弱ってしまい、翌年の花数が減少してしまいます。収穫時期までに何度か摘果して、必要な分だけ収穫するようにしましょう。
育て方のポイント⑦病気・害虫対策
注意すべき病気
木瓜で注意する病気は、赤星病と根頭がん種病の2種類があります。赤星病は葉にオレンジ色の斑点が出る特徴を持つ病気です。次第に範囲を広げ葉を枯らしていきます。早急に病気にかかった葉を除去し、殺菌剤を散布しましょう。根頭がん種病は根にコブができる病気です。土壌の細菌が原因で起こる病気なので、発生したら株を周囲の土ごと処分します。
注意すべき害虫
アブラムシ、カイガラムシ、グンバイムシに注意が必要です。これらの害虫は風通しが悪いと発生しやすいので、剪定をきちんと行って風通しをよくしましょう。オルトラン液剤などの浸透移行性剤も防除に有効です。薬剤が効きにくいカイガラムシは、発見次第歯ブラシなどでこすり落としましょう。
木瓜の花の増やし方
木瓜は一般的には挿し木で増やします。9月上旬~10月下旬が木瓜の挿し木の適期です。まずは今年伸びた枝を10cmほど切ったものを用意します。
- 挿す方の切り口を清潔で鋭利なナイフで斜めに切り戻し、水の入ったコップに浸けて吸水させる。水に浸ける時間は2時間ほどでOKです。
- 十分に吸水させた挿し枝を、赤玉土(小粒)か鹿沼土(小粒)、または挿し木用土に挿す。その後は風の当たらない日陰で、乾燥させないように管理する。
まとめ
庭木や生垣、盆栽として親しまれている木瓜には、早春の風情を楽しむ花としてもふさわしい、優しい美しさがあります。秋には果実を収穫する楽しみがあるのも素敵ですね。木瓜をお庭で健やかに育てて、早春には花を楽しみ、秋にはお酒やジャムにして、季節ごとの楽しみをたっぷりと味わいましょう。
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出典:写真AC