アジサイについて
アジサイは梅雨時期に咲く代表的な花です。雨のなかで見るアジサイはひときわ美しく、うっとうしい雰囲気をさわやかに変えてくれます。日陰にも強く、どのような場所でも簡単に育てられ、うまく剪定すれば翌年もまた美しい花を咲かせてくれます。剪定の方法について説明する前に、まずはアジサイがどのような植物なのか、詳しくご紹介しましょう。
アジサイの基本情報
学名 | Hydrangea macrophylla |
属名 | アジサイ科アジサイ属 |
分類 | 庭木・花木 |
樹高 | 50~200cm |
花色 | 青・紫・ピンク・白・赤 |
開花時期 | 6月~9月 |
アジサイは毎年花を咲かせる多年性の花木です。樹高は低いものでは50cmほどのものから、どんどん伸ばせば2mほどにまで伸びるものもあります。開花は梅雨時期の6月頃ですが、気温が低い山間部などでは、夏が過ぎて初秋の頃にもアジサイの花を見ることができます。
花のように見えるのは実はガク
アジサイのきれいな花びらは、実はガクが変形して花のように見えるもので、本当の花は中心のしべのように見える部分です。またアジサイの花は枯れて散ることはありません。そのまま放っておくとドライフラワーのようになります。これも花びらではなくてガクだからです。美しく咲いている花はもちろん素敵ですが、枯れてしまった花もまた違った趣を感じられるでしょう。
土が酸性かアルカリ性かで花の色が変わる
アジサイの花の色は青や紫が代表的な色ですが、そのほかにはピンクや白もあり、近年では品種改良で赤い花を咲かせる種類も出てきています。またアジサイの花の色は土のphによって微妙に変わります。酸性の土壌では青っぽく、またアルカリ性の土壌では赤っぽくなるのです。植えたときには青いアジサイでも、土がアルカリ性であれば、翌年は紫色の花が咲くことも多いようです。
アジサイの種類
アジサイは世界中に2000種類以上の品種があるとされています。年々品種改良でどんどん種類が増えているアジサイは、花の容姿で大きく2つの種類に分けられます。
ガクアジサイ
ガクアジサイは縁だけに円を描くように花が並んで咲いてます。山などで自然に咲いているような場合が多く、素朴でおとなしい印象を与えます。近年ではこのガクアジサイも人気が出てきて、一重や八重、フリルが入っているものなどさまざまな形の花が見られるようになりました。
手まり咲きアジサイ
手まりアジサイは一般的によく見る園芸種で、鉢植えで店頭にたくさん並べられているのを見かけるでしょう。手まりのように全体的に丸い球状をしていて、花がびっしり詰まって愛らしい雰囲気を漂わせています。
アジサイの剪定時期と方法
「アジサイの花後に切り戻しをしたために、翌年全く花が咲かなくなってしまった」ということもたまにあり、アジサイの剪定は難しいと思われがちです。確かに、そのまま切り戻しをしないで放っておくと、次の年は必ず花が咲きます。しかし、それではどんどん背丈が伸びてしまって、全体が間延びしたような株になり、あまり美しいとはいえません。実は、剪定にはタイミングと切り戻しする箇所の選び方にコツがあります。ここでは、剪定のポイントについて説明します。
アジサイの剪定時期
剪定時期は7月~9月、または11月
アジサイの剪定時期は、花後の7月~9月にかけて、または11月頃が最適のタイミングです。どちらも花芽を残すように切り戻しするのがポイントですが、7月~9月よりも11月に行うと、新芽が大きくなっているため分かりやすく簡単です。また切り戻しをする際に、枯れた枝や飛び出して邪魔になるような枝があれば、一緒に切り落として整理すると全体がすっきりまとまります。
翌年も花を咲かせるための剪定方法
アジサイを剪定する場合、翌年も花を咲かせるための剪定と、花は諦めて全体の高さをコンパクトにしたい場合の剪定の2つの方法があります。まず、翌年も花を咲かせるためにはどのようにすればよいか、詳しく説明します。
新芽ができる場所は?
アジサイは花を切り落とさない限り、枯れたままでも花びらはそのまま残ります。あまり見栄えがよくないため、咲き終わった後すぐに切ってしまいたい場合は少し注意が必要です。なぜなら翌年に花になる新芽を残しておかないと開花しないからです。花後はまだこの新芽が小さくてわかりにくく、剪定は少し難しいかもしれません。秋に剪定する場合は、しっかりと大きな新芽ができているため、とてもわかりやすいです。
花芽と葉芽の見分け方
アジサイの新芽は葉の付け根にできます。新芽には、翌年花になる花芽と、葉になる葉芽の2種類があります。花芽は比較的大きくて丸く、葉芽は小さくてとがっているといわれますが、見た目で判断するのは少し難しいかもしれません。
翌年も花が咲くように剪定する場合
花芽は新しく伸びた茎の先端に付きやすいという特徴があるため、翌年も花を咲かせたい場合はあまり短く切り戻さないことがポイントです。花の下から2節目ぐらいで軽く剪定しておくと安心です。
翌年の花は諦めて低く剪定する場合
毎年花を咲かせるために軽めの剪定をし続けると、どんどん背丈が伸びてしまって、下の方に花が咲かなくなってしまいます。全体的に間延びしたように見える場合は、思い切って低い位置で剪定しましょう。その場合も、必ず新芽ができている場所で剪定するようにしてください。短く剪定した場合、翌年の花は期待できないかもしれませんが、そのままにしておけばその次の年にはたくさんの花を咲かせます。
アジサイを剪定した後の利用について
アジサイはとても簡単に挿し木で増やせます。剪定で切り落とした枝も捨てないで挿し芽にすると、また新しい株を作れます。お気に入りのアジサイをこの方法でどんどん増やせるのです。アジサイの挿し木はどのようにすればよいのか、図解でご紹介します。
挿し木の方法
枝を斜めに切る
剪定した枝を10~15cmぐらいの長さに切ります。その場合、水を吸い上げる面積を増やすために、切り口は斜めにカットしましょう。その後はしばらく水挿しにして、十分水を吸った状態にしておきます。
葉は数枚残して、大きな葉は半分に切る
光合成のために、葉は数枚残しておきましょう。大きな葉がある場合は、水の蒸発を抑えるために半分程度の大きさに切っておきます。挿し木用の新鮮な土を用意して、先端が傷まないように、あらかじめ棒などで穴をあけてから枝を挿すようにしましょう。
挿し木をした後の管理
根が出るまでは、水切れしないように気をつけてください。直射日光は避けて、明るい半日陰に置くとよいでしょう。茎を持って動かしてもぐらつかないようになれば、しっかりと根が張っている証拠です。植木鉢に植え替えて、大きく育つのを楽しみにしましょう。
まとめ
アジサイの剪定について、図解を含めて詳しくご紹介しました。花が咲かなくなりそうで怖くて剪定できなかったという方も、剪定する場所とタイミングを間違えないようにすれば大丈夫です。今回ご紹介した方法を参考にして、お気に入りのアジサイが毎年きれいな花を咲かせるように、うまく剪定してあげてくださいね!
出典:筆者撮影