多肉植物とは
多肉植物は、肉厚な葉や茎などに水分を多く蓄える植物全般を指し、中央アメリカやアフリカ大陸を中心に世界各地に分布しています。その多くが雨の少ない地域に自生し、過酷な環境を生き抜くために進化したと考えられています。大きいものから小さいものまで、世界中で数千種類以上あるといわれ、珍しい改良種もあり、コレクション性が非常に高いです。
生育型について
多肉植物はほとんどが常緑性の植物ですが、1年のなかで「生育期」と呼ばれる活発に成長する時期と、「休眠期」と呼ばれる成長が止まる時期があります。日本での成長する時期によって、主に3つの生育型に分けられます。生育型の性質に合わせて栽培することが、多肉植物をうまく育てるポイントです。
春秋型
3つのタイプのなかで多いのが、春と秋の穏やかな気候時に生育するタイプです。夏は生育が緩慢か半休眠状態になります。春秋型は15~25℃が生育適温です。生育が緩慢になる真冬や真夏は水やりを減らして管理しましょう。
夏型
夏型は春から秋にかけて生育しますが、特に20~35℃と暖かい時期に活発に成長します。ただし、真夏の暑すぎる時期は生育が少し緩慢になります。暖かい環境が好きなので、冬場は室内の窓辺や温室などで管理しましょう。
冬型
冬から春の5~20℃くらいが生育適温ですが、5℃を下回る環境は苦手です。夏の休眠期は水やりを控えて、風通しのよい場所で管理しましょう。リトープスやコノフィツムなど少し変わった見た目の種類が多いのも特徴です。
多肉植物の種類:エケベリア
エケベリアは多肉植物のなかでも特に品種の数が多く、人気のあるグループです。色鮮やかな葉が重なってロゼットを形成し、きれいな花が咲くものや紅葉するものも多いです。もともとは、やや標高が高い場所に自生しており、ほとんどが冬でも霜よけをする程度でも育てられます。しかし、夏場は遮光などの対策が必要です。
エケベリアの基本情報
科名 | ベンケイソウ科 |
原産地 | 中央アメリカ |
生育型 | 春秋型 |
耐暑性 | やや強い |
耐寒性 | やや強い |
増やし方 | 葉挿し、実生、株分け |
①七福神
日本でも古くから栽培されている品種で、家の軒先で群生しているのもよく見られます。やや幅が広い葉で大きいものでは15cmほどに成長し、関東地方以西であれば屋外でも越冬できる強健種です。子株をよく付け、そのまま群生させたり、株分けをして増やしたりすることも簡単にできます。
②桃太郎
コロラータと呼ばれる原種を改良して作出された品種で、10cmほどに成長する中型種です。淡い緑色の葉で、爪先は1年を通してピンク色に染まり、そのかわいい見た目から人気があります。葉挿しや株分けで容易に増やせ、初心者の方にもおすすめの品種です。
③トップシータービー
ルンヨニーと呼ばれる種類の変異個体で、葉っぱが逆さまになったように、葉のふちが外側にまくのが特徴です。容易に育てられ、群生しやすい性質も持っているため、変わったエケベリアの仲間を育ててみたい方にぴったりです。
多肉植物の種類:セダム
世界中に広く分布し、多肉植物のなかでは種類がとても多いグループです。小さく、プクプクしたかわいい姿から女性から高い人気を集めています。可憐で小さい見た目とは裏腹に、非常に丈夫で寒さに強く、関東以西であれば通年屋外で管理ができます。寄せ植えにも向き、初心者の方にもおすすめのグループです。
セダムの基本情報
科名 | ベンケイソウ科 |
原産地 | 世界各地 |
生育型 | 春秋型 |
耐暑性 | 強い |
耐寒性 | 強い |
増やし方 | 株分け、挿し木 |
④虹の玉
とても丈夫な品種で、屋外での栽培が容易な入門種です。入門種といえど、低温期にみられる紅葉は美しく、プチプチとしたかわいい見た目と相まって人気があります。単独ではもちろん、寄せ植えのよいアクセントにもなります。挿し木や葉挿しで簡単に増やすことが可能です。
⑤ブロンズ姫
正確にはセダム属とグラプトペタラム属の交配種で、紅葉すると名前の通りブロンズ色に輝くような葉色に変化します。非常に丈夫で、挿し木や葉挿しで容易に増やすことが可能です。まだ数が少なく珍しいですが、本種の斑入りの品種は「ピーチ姫」と呼ばれ、人気があります。
⑥ダシフィルム
ブルーグレーの小さい葉を密集させて群生するのが特徴です。暑さ、寒さのどちらにも強く、通年屋外でも栽培できます。ダシフィルムは複数の品種が流通しており、コレクションをしてそれぞれの違いを楽しむのもよいでしょう。どの品種もかわいい見た目で、女性からの人気が高いです。
多肉植物の種類:ハオルチア
ハオルチアは南アフリカのみに自生しています。葉の形が多様で、先端部に「窓」と呼ばれる透明な部分があるタイプと、硬い葉をもつタイプがあります。他の種類と違い、やや湿度を保ちながら育てるのがポイントです。中国を中心に世界中でブームが起き、珍しいものは数百万円で取引されるほどです。
ハオルチアの基本情報
科名 | ツルボラン科 |
原産地 | 南アフリカ |
生育型 | 春秋型 |
耐暑性 | 普通 |
耐寒性 | やや弱い |
増やし方 | 実生、葉挿し、株分け |
⑦オブツーサ
「雫石」とも呼ばれるハオルチアの代表的な品種です。丈夫で子吹きが旺盛な性質で、長く育てていると群生します。湿度を高めに管理をすると、より透明感の高い状態を維持できます。地味ですが、春から夏にかけて花を咲かせます。
⑧カナ
シンビフォルミスと呼ばれる品種の改良種で、緑色が多いハオルチアのなかで通年ピンク色に染まる珍しい品種です。男性人気が強いハオルチアですが、かわいい見た目から女性にも人気があります。成長はそれほど早くありませんが、葉挿しや株分けで増やせます。
⑨十二の巻き
窓のない硬い葉を持つタイプの代表的な品種です。葉の外側に白色の縞模様が入るのが特徴で、丈夫で育てやすくおすすめです。変わった縞模様が入った種類も複数あり、コレクション性もあります。
出典:写真AC