ウメバチソウ(梅鉢草)とは?特徴や見分け方をご紹介!

ウメバチソウ(梅鉢草)とは?特徴や見分け方をご紹介!

ウメバチソウ(梅鉢草)は、ウメの花によく似た可憐な花を咲かせます。日本各地にも自生している山野草の一種で、夏から秋にかけて花を咲かせた姿を見られます。今回はウメバチソウの特徴や名前の由来、似た植物との見分け方などをチェックしていきましょう。

記事の目次

  1. 1.ウメバチソウ(梅鉢草)とは?
  2. 2.ウメバチソウの特徴
  3. 3.ウメバチソウに似た花との見分け方
  4. 4.ウメバチソウの育て方
  5. 5.まとめ

ウメバチソウ(梅鉢草)とは?

Photo by yamatsu

ウメバチソウ(梅鉢草)はニシキギ科ウメバチソウ属の山野草です。北半球の温帯から寒帯付近にかけて広範囲に分布している多年草です。亜高山帯や山地の湿原のようなところに生育し、夏から初秋頃(8~10月)に白色の花を咲かせます。日本各地(北海道から九州)にも自生しています。

ウメバチソウの種類(よく知られた品種)

Photo by Jim Morefield

ウメバチソウの種類はいろいろありますが、よく知られているものは「ヤクシマウメバチソウ」「コウズウメバチソウ」「シラヒゲソウ」「赤花ウメバチソウ」などです。ウメバチソウの苗は山野草を扱うネットショップなどでも入手できます。

ヤクシマウメバチソウ(屋久島ウメバチソウ)

ヤクシマウメバチソウ(屋久島ウメバチソウ)は屋久島の高地の湿った地域に自生している矮性種のウメバチソウです。おおよその大きさは高さ5~10cm、花の直径1cm、葉は5mm~1cmくらいです。葉が密集してつくため、育てる際には湿度が高くなりすぎないよう注意が必要といえます。

コウズウメバチソウ(神津ウメバチソウ)

日本固有種のウメバチソウで大株です。伊豆諸島に生える「イズノシマウメバチソウ」のことですが、一般的には「コウズウメバチソウ」といった名称で呼ばれることが多い品種です。大きさは高さ15㎝、葉は長さ2~4㎝くらいで厚みがあります。

シラヒゲソウ

本州の中部以西から九州あたりに分布していますが、多くは太平洋側山中の湿地などに見られます。「シラヒゲソウ」という名前は、白色の花弁がヒゲのように糸状に細裂している様子が由来です。変種で大きい種類のオオシラヒゲソウは日本海側に分布しています。

赤花ウメバチソウ

クリックするとAmazon商品ページへ飛びます

「赤花ウメバチソウ」の名前がつけられてはいますが、花の色は赤というよりも柔らかな感じのピンク色です。花の色は蕾から咲き始めの頃が一番濃い色で徐々にピンク色へと変化していきます。茎の色も独特で少々赤みがかった色をしています。とても珍しい品種です。

ウメバチソウの特徴

Photo by Jim Morefield

花の色 白色(赤花ウメバチソウはピンク色)
開花時期 8月~10月
名前の由来 花の姿が梅鉢の家紋に似ている
生育地 亜高山地域や山地の湿原などに多く成育
分布 北半球の温帯から寒帯付近にかけて広範囲に分布
日本各地(北海道から九州)にも自生
植物の種類 多年草
大きさ(高さ) 10~40cm(矮性種を除く)
分類 ニシキギ科 ウメバチソウ属
学名 Parnassia palustris

ウメバチソウの花

Photo by Joan Simon

8~10月頃、ウメに似た白色の花を咲かせます。大きさは2~3cmほどで茎の先に上向きの5弁花を1輪つけます。花の中心部に5本の雄しべがあり、1日に1本のみが立ち上がり花粉を出すつくりです。雄しべのつけ根に細分裂した仮雄しべもありますが、こちらは花粉を出しません。

ウメバチソウの葉

根出葉(こんしゅつよう)と呼ばれる地表にとても近い部分から出ている葉と、茎の部分についている茎葉があります。根出葉はハート形をしており柄がありますが、茎葉の方は円形かハート形をしていて無柄です。茎葉は茎を抱くようについています。

ウメバチソウの実

花が咲き終わった後に丸くて大きな実をつけます。この実の特徴はホウセンカやアサガオなどにみられるような「さく果」であるということです。ちなみに「さく果」とは、果皮が乾燥すると下部が裂けることにより種子が放出される果実のことです。

ウメバチソウの開花時期

Photo by Joan Simon

ウメバチソウは夏から初秋頃(8~10月)にかけて、2~3cmほどの大きさの白色の花を咲かせます。ピンク色の花を咲かせる赤花ウメバチソウも同じくらいの時期に開花します。ウメバチソウは尾瀬のようなところでも8月下旬~9月中旬には開花し、秋を代表する花の一つです。

ウメバチソウに似た花との見分け方

ウメバチソウ(梅鉢草)に似た花の代表的なものには「コウメバチソウ(小梅鉢草)」と「エゾウメバチソウ(蝦夷梅鉢草)」があります。「コウメバチソウ」は本州の中部地方以北、北海道に分布しており「エゾウメバチソウ」は本州北部地域や北海道に分布しています。
 

コウメバチソウ

Photo by TANAKA Juuyoh (田中十洋)

「コウメバチソウ」は「ウメバチソウ」の高山型変種とされており、湿度の高い高山の湿地や岩の裂け目などに自生しています。高さ3~15cmほど、白色の花は1~1.5㎝くらいの大きさで、雄しべの根元から出ている仮雄しべの先端には7~11個くらいの黄色い腺体がみられます。花期は8~9月頃です。

ウメバチソウとの見分け方

「コウメバチソウ」は「ウメバチソウ」と外見がほとんど同じであるため「ウメバチソウ」との区別は仮雄しべの先端についている黄色い腺体の数によって判別します。資料によっても多少の違いがみられますが「コウメバチソウ」が7~11個であるのに対して、「ウメバチソウ」の場合は12~22個ほどです。

エゾウメバチソウ

「エゾウメバチソウ」は亜高山~高山帯の湿地や草地などに自生しています。高さ5~20cmほど、白色の花は1.5㎝くらいの大きさで、雄しべの根元から出ている仮雄しべの先端には9~14個くらいの黄色い腺体がみられます。花期は8~9月頃です。

ウメバチソウとの見分け方

「エゾウメバチソウ」も「ウメバチソウ」と外見がほとんど同じです。そのため「ウメバチソウ」との区別は仮雄しべの先端についている黄色い腺体の数によって判別します。「エゾウメバチソウ」が9~14個であるのに対して「ウメバチソウ」の場合は12~22個ほどです。「コウメバチソウ」と同様の判別方法です。

ウメバチソウの育て方

Photo byRatfink1973

亜高山帯や山地の湿原などに生育している植物などと聞くと、育てるのが難しそうに思えるかもしれません。しかし、日本各地で自生している植物でもあるため、ウメバチソウを育てるのはそれほど難くないといえます。いくつかのポイントを意識すれば難易度は他の山野草と同程度です。

育て方のポイント:環境

一番注意すべきポイントは日当たりです。日差しが強くなる5~9月頃は明るめの日陰で育て、それ以外の時期は日向に置くようにします。ウメバチソウは山地の湿原などに生育している植物で湿度が高い場所を好むため、他の植物と寄せ植えにする方法もおすすめです。

育て方のポイント:用土(鉢植え)

Photo byHans

3~5号くらいの大きさの鉢に硬質鹿沼土、桐生砂、軽石砂などを配合したものを入れて植えつけます。土の表面に水ゴケを張るようにすることで乾燥を防ぐのに役立ちます。細かく刻んだ水ゴケを用土に混ぜて保水性を高めるのもおすすめです。

育て方のポイント:種まきや植え替え

花が咲いた後の実が茶色く熟したら種を採取します。採りまきをしない場合は冷蔵庫に保管し、早春(2~3月頃)にまくようにします。種はとても細かいため、種まきの際には厚くまかないよう注意が必要です。覆土はしません。植えつけや植え替えは春(3~4月頃)芽出し前に行うようにします。1~2年に1回行うのが目安です。

育て方のポイント:肥料と水やり

元肥は必要なく薄めた肥料を月に2~3回与えるようにします。肥料を施すのは4~9月頃で、チッ素、リン酸、カリが等量含まれた液体肥料を2000~3000倍程度に薄めて与えましょう。水やりは重要で冬の季節をのぞき、乾燥しないよう毎日水やりを行うようにします。ただし、腰水のような方法で鉢底に水がたまった状態にしてしまうと傷んでしまう可能性が高いため注意が必要です。

まとめ

Photo by salchuiwt

ウメバチソウは亜高山帯や山地の湿原などに生育している植物ですが、育てるのはそれほど難しいことではありません。特別な場所へ行かずとも山野草を見られるのは、とても贅沢なことかもしれませんね。可憐な花を咲かせるウメバチソウに興味を持たれた方はぜひ育ててみて下さい。

もも
ライター

もも

毎日、愛犬と植物に癒されています。

関連記事

Article Ranking