イタヤカエデの木材としての用途
イタヤカエデはカエデ科の植物の中でも大木に成長する特徴があり、国産の楓材のほとんどがイタヤカエデから作られています。しかし、国産のイタヤカエデ材の流通が非常に少なくなっていることや、メイプルなど外国産のカエデ材が安く流通していることから、近年あまり使われなくなっています。イタヤカエデの木材としての特徴と、どのような用途で使われているのかご紹介します。
イタヤカエデの木材の特徴
イタヤカエデの木材は、粘りのある硬い材質をしています。強度があり、曲げても割れにくいですが、細かい切削加工が難しいのが特徴です。表面の見た目は光沢があり美しく、ほんのりと紅色をした白色をしています。心材と辺材の差や年輪は、不明瞭ではっきりしていません。
イタヤカエデの木材の用途
イタヤカエデの木材には、さまざまな用途で使われやすい特徴があります。粘りのある硬い材質は、加工の幅が広く強度があり、木材の表面は、光沢のある淡い色合いと木目の不明瞭さが美しいと評判です。これらの特徴を活かす用途の例をご紹介します。
家具・建築用木材として利用
淡い色合いの美しい見た目が特徴のイタヤカエデ木材は、家具として利用すると明るい印象を与えてくれて、洋風和風どちらの雰囲気にもよく合います。強度もしっかりしていますので、机や椅子、本棚など負荷がかかる家具に利用しても安心です。また、フローリングや装飾材などの住宅用の内装材としても多く用いられています。
食器として利用
イタヤカエデの木材を加工して、木製のプレート皿やスプーン、木ベラなどが作られています。さらに、漆器として加工されているものも人気です。硬い材質をしているためキズがつきにくく、毎日でも使うことができます。
器具・運動器具・楽器として利用
器具・運動器具・楽器は、イタヤカエデ木材の加工のしやすさと強度の強さを活かした利用方法です。工具や農業用具の鞘、そり、靴型、しゃくしなどの器具に利用されています。また、スキー板や野球のバット、ボウリングのピンなどの運動器具としても利用されることも多いです。楽器材としては、ギターやバイオリンの裏・側面、ピアノの鍵盤などに使われています。
工芸品として利用
木材の美しさを活かし、工芸品の材料として利用されています。イタヤカエデ材を工芸品として利用した最も有名なものが「こけし」です。また、秋田を中心とした東北に伝わる技術で作られた、薄く裂いて加工した木材で編んだ花かごやおにぎりケースなどは、イタヤ細工と呼ばれ、国の重要無形民俗文化財に指定されています。
まとめ
イタヤカエデの特徴や種類別の見分け方、紅葉の時期、木材としての利用方法について詳しくご紹介しました。特徴的な葉が紅葉すると圧倒的な存在感を示すイタヤカエデですが、その木材は美しい見た目と粘りのある硬い材質が特徴で、さまざまな用途に利用されています。楓材が使われた製品を見かけた際は、ぜひ一度手にとってみてはいかがでしょうか。
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出典:写真AC