オシロイバナとは
甘い香りを持つオシロイバナは、ペルーなど南アメリカ原産の植物です。5月~10月まで開花するオシロイバナの日本名は「白粉花」「夕化粧」です。4時ごろから開花するため、英名は「Four-o'clok(フォーオクロック)」といいます。白粉花という名は、秋に実る硬い種を割ると白い粉状の「胚乳」がおしろい粉のように見えることが由来します。
1年草ではない
オシロイバナは江戸時代に渡来し、その後各地で繁殖し野生化しました。耐暑性はあるものの耐寒性にやや欠け、日本での栽培では1年で枯れてしまう植物と考えられています。しかし、肥料もそれほど必要とせず、病気や害虫にも強いオシロイバナは暖かい地域ならば根が生き残り、翌年も花を咲かせます。
オシロイバナの特徴
オシロイバナの特徴①花の形
オシロイバナの花は水をビンなどに移すときに使う「ろうと」、または「じょうご」の形をしています。ろうとの筒状になった部分の長さは5cmから長いものでは10cmあります。花の直径は3cmほどですが、実はオシロイバナに花弁はなく、花弁に見えるところは萼片(がくへん)です。この萼片に色が付き、花の根元で萼に見えるのは苞(ほう)という部位です。
オシロイバナの特徴②花の色
オシロイバナの花の色には白や赤、黄色・オレンジ・ピンクなどがあります。さらに絞り咲きや同じ株から花ごとに違う色の花が咲く咲き分けなど、予想が付かないところもオシロイバナの特徴であり、面白みでしょう。植物はメンデル(メンゲル)の法則である、違う色の花を掛け合わせると強い性質の色(優性)が咲くはずですが、オシロイバナは不完全優性(優劣がない)のため白と赤の花を掛け合わせるとピンク色が咲きます。
ペルーの不思議
英語名は「フォーオクロック」ですが、イギリスではオシロイバナを「ペルーの不思議」と呼びます。その理由は、栽培した同じ株からさまざまな色の花を咲かせるためです。
オシロイバナの特徴③毒
オシロイバナの根と種には「トリゴネリン」という毒が含まれています。この毒はコーヒーの生豆やクラゲなどの魚介類、キョウチクトウにも含まれ、脳の老化を防ぐ研究結果があります。しかし、吐き気や腹痛、下痢などの中毒を起こすため、子どもやペットが間違って口に入れないように注意しましょう。
オシロイバナの仲間
フタエオシロイバナ
フタエオシロイバナは苞葉(ほうよう)という葉の部分が変形して色付き、二重咲きに見える品種です。花弁のような萼(がく)は1日でしぼんでしまいますが、この苞の部分は2日~3日ほど日持ちします。この二重咲きには「微笑みがえし」という品種もあります。
ミラビリス属
オシロイバナの仲間であるミラビリス属には50~60種類ほどの品種があります。日本で多く繁殖しているオシロイバナのほどんどがミラビリス・ヤラッパ種です。ミラビリス・ロンギフロラ(和名ナガバナオシロイバナ)は白花で中心部分に赤色が入り、筒状の部分は10cmにもなります。
その他の品種
そのほかにも、オシロイバナには観賞用に栽培された「チガバナオシロイバナ」や花色混合の「ブロークン・カラーズ」「マーブルズ」シリーズなどが販売されています。
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出典:写真AC