クロモジの用途
用途①爪楊枝
クロモジを爪楊枝として扱うのは日本独自の習慣であるといわれています。特に枝や葉の香りがクロモジは強く出ます。しかしながらその香りは、和菓子の繊細な味わいを邪魔することなく一層引き立ててくれる優しいものです。さらにクロモジの木肌は滑らかできめ細かく、加工しやすいのも特徴です。これらがクロモジが高級爪楊枝の材料とされる理由といえるでしょう。
爪楊枝の作り方
クロモジの枝が材料です。枝を楊枝の形に加工し、持ち手にあたる部分の木肌は残し、口に入れる部分のみ木肌を削り取ります。単純な作り方ですが、相応しい材料を選び加工するには高い技術を要します。現在でも千葉県の久留里地域では上総楊枝として特産品です。
用途②クロモジ茶
リラックス効果がある精油を含むクロモジ茶は、まさに癒しのお茶です。カフェインも含まれていないので誰でも試しやすく、ハーブティーを飲みなれている人であれば飲みやすい味といえるでしょう。紅茶や緑茶とブレンドして香りを楽しむ方もいます。有名な薬用養命酒にもクロモジは使用されており、健康に気を使う人にはぜひおすすめしたいお茶の一つでしょう。
クロモジ茶の作り方
材料は、葉でも構いませんが、より香りを楽しみたい場合は枝から作るのがおすすめです。作り方はとても簡単で、クロモジの枝を短く切り分け、沸騰したお湯にひとつかみ加え、20~30分煮だせば完成です。アクやゴミが気になる方はフィルターでこしてから飲むとよいでしょう。
用途③化粧品
先述したように、クロモジはそのよい香りと薬効により、古くから化粧品としての用途があります。特に、クロモジの枝や葉を薬用アルコールに浸し、精油を抽出したクロモジローションは今でも販売されています。美肌効果が期待できるほか、頭皮には脱毛抑制効果やフケ抑制効果があるといわれています。
クロモジローションの作り方
非常に簡単な作り方としては、先述したように、薬用アルコールに刻んだクロモジの枝葉を入れて1週間~2週間、冷暗所で保管します。徐々にクロモジから精油成分がアルコールに溶けだしますので、この浸出液を濾過したものがクロモジローションとなります。肌につけるだけではなく、空間に消臭スプレーとして使用することもできます。
用途④石鹸
先述したように、クロモジの実から抽出されるクロモジ油や、精油は石鹸にも利用されています。抗菌・鎮静作用が期待されるため、きれいな素肌づくりに貢献してくれるといわれています。その他の材料や作り方にもこだわった石鹸が数多く販売されていますので、お気に入りの一つを探してみるのもよいでしょう。かつては輸出されるほど生産されていた歴史があります。
用途⑤アロマオイル
アロマオイルとしての精油はすっかり日本の暮らしに定着しましたが、クロモジのように日本固有種の植物から抽出したものはジャパニーズアロマと呼ばれ注目されています。西洋のアロマオイルに比べてどこか懐かしく、控えめな香りが人気で、クロモジも同様に人気があります。クロモジの精油成分はローズウッドと同じ成分が含まれており、成分量としてはクロモジのほうが高濃度になっています。
クロモジ体験ができる場所
ここまでクロモジの魅力を見てくると、実際にどのような木か見て、クロモジ茶やその香りを味わってみたいと思いませんか?実は日本の飛騨では、クロモジをさまざまな切り口で利用しているカフェがあります。簡単にご紹介します。
飛騨「FabCafe」
飛騨にあるFabCafeではクロモジを使用した数多くのメニューを楽しむことができます。飛騨の里山に自生するクロモジを活かしてクロモジカレーやクロモジウォッカ、クロモジミルクティーなどがメニューに並んでいます。さまざまなワークショップや宿泊体験も受け付けていますので、興味のある方は訪れてみるのもよいでしょう。
まとめ
クロモジの魅力をたっぷりご紹介してきました。里山にひっそりと生えているだけの木かと思いきや、庭木としての観賞価値は高く、その枝や葉からは多くの自然の恵みがあることがわかりました。オオバクロモジにはもっとも高濃度にリラックス効果のある精油が含まれており、それが日本各地に広まってきた古い歴史がありました。爪楊枝やクロモジ茶など、私たちの生活を豊かにしてきてくれたクロモジを、新たな目で見つめてみてはいかがでしょうか。
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出典:写真AC