シラカンバとはこんな木です
一般的にはシラカバと呼ばれていますが、正式の標準和名はシラカンバ(白樺)といい、カバノキ科の落葉樹で日本の高原を代表する木の一つです。フィンランドでは「国の木」として扱われ、国の自然を代表するシンボルにもなっているほど人々に愛されています。ブナが暗い場所を好む樹木であるのに反し、シラカンバは明るい場所での生育が好きな樹木で樹高は20mぐらいまで成長します。樹皮は光沢があり白いのが特徴の美しい木です。ただ、木の寿命は短く80年ほどしか生育はしません。
シラカンバには別の顔も
シラカンバは爽やかな高原のイメージを生むことから「高原の白い貴公子」とも称され、とても人気のある樹木です。そしてその外見の美しさだけではなく、樹皮や樹液はさまざまな特性をもち利用価値や効能があることで評価が高い樹木でもあるのです。
シラカンバは先駆樹種(パイオニアプランツ)
山火事や山崩れなど森林が破壊された後に真っ先に生えてくる木(前述の翼をもつ種が風に乗って飛んでくる)から先駆樹種として知られています。成長も早いのが特徴ですが、寿命が短く枯れ死も早く土に還ることで土壌を豊かにする役割にも貢献をしているのです。ロマンチックな「白い高原の貴公子」というよりは、たくましい「高原の開拓者」ともいえますね。
先駆樹を物語るはなし
グレートブリテン島の先住民族ケルトは一年の最初の月(12月24日~1月20日)を「シラカバ月」と呼んでいました。そのわけは今から12000年ほど前に終わった氷河期の跡に一番最初に生えてきたのがシラカンバであるという話が伝承されているからです。
シラカンバの材としての利用価値
シラカンバは耐久性や保存性があまり良いとはいえないので、木材としての価値は低いのですが見た目の美しさから内装材としての利用価値には優れています。
シラカンバの加工品には
シラカンバは材質が柔らかく、四季の気温で樹皮の色が微妙に変化をするので加工も見栄えがし工夫がしやすい材です。そのため工芸品や民芸品、割り箸、楊枝などにも多く使われていますし、アイスクリームのスプーン(へら)もシラカンバから作られています。樹皮には油分が多く防水性に優れていることから、屋根を葺くときにも使われていたり、天然の着火剤としても使われたりしています。
シラカンバの名前の由来
カバノキ科の植物の総称を「樺(カンバ)」と呼び、中でも光沢のある樹肌が特徴の白いカバノキ「シラカンバ」というのが名前の由来になっています。
シラカンバの花と花言葉
シラカンバは雌雄同株で花の咲く時期は5月ごろからです。雄花は3~5cmの黄褐色で枝から垂れ下がり、雌花は2cmぐらいの緑色で枝に直立の花穂がみられます。受粉後の種には広い翼があるので風で遠くまで運ばれることができるのもシラカンバの特性の一つです。雄花の花粉は花粉症のアレルギーをもつ人には要注意です。北海道ではシラカンバの花粉症患者が多いというのもうなずけますね。
シラカンバのアレルギーと果物との関係
シラカンバは風媒花であるため花粉症の原因にもなります。シラカバ花粉症は口腔アレルギー症候群との関連があり、り患している方の半数が果物アレルギーをもっているのです。りんご、もも等のバラ科の果物やサクランボ、プラムなどの果物を食べた際に舌や喉にアレルギー症状を起こすことがあり、この花粉症に罹ると5月~6月中旬ぐらいまで鼻水や目のかゆみに悩まさることとなります。
シラカンバの花言葉
シラカンバには花言葉が三つもあるのです。「忍耐強さ」「あなたをお待ちします」「光と豊富」。ちなみに、3月12日の誕生花にもなっています。
次のページでは、シラカンバの生息地や分布地域、シラカンバの仲間についてご紹介します。
出典:photoAC