シロバナタンポポとは
シロバナタンポポはキク科の多年草で、その名のとおり白い花を咲かせる二ホンタンポポです。二ホンタンポポというのは、在来種(=日本にもともと生えているタンポポ)のことで、数は減っていますが約10種類以上存在しています。シロバナタンポポはそのうちの一種ということになります。
白い花が咲くのはニホンタンポポだけ
タンポポと聞くと、一般的には黄色い花を思い浮かべますが、それはセイヨウタンポポとよばれる外来種のことで、公園や草むらでよく目にするのはセイヨウタンポポであることが大半です。ちなみに、白い花が咲く珍しいタンポポは二ホンタンポポだけです。
在来種(二ホンタンポポ)と外来種(セイヨウタンポポ)の違い
二ホンタンポポとセイヨウタンポポを見分けるには総苞片をチェック
二ホンタンポポとセイヨウタンポポの見分け方として花びらの付け根にある総苞(そうほう)と呼ばれる場所の総苞片を見ます。セイヨウタンポポの総苞片は反り返っていますが二ホンタンポポは反り返らず閉じています。これはつぼみや綿毛の状態でも変わりませんので簡単に見分けることができます。
二ホンタンポポとセイヨウタンポポは繁殖方法が違う
二ホンタンポポとセイヨウタンポポは繁殖の方法も違います。二ホンタンポポは種をつくるためには受粉が必要ですが、セイヨウタンポポは単位生殖で受粉が要らず自分で種をつくれるうえ、二ホンタンポポの2倍以上の種ができます。しかも種の重さも軽いためセイヨウタンポポは風に乗って遠くへ飛んでいき、あっという間に繁殖することができます。(実際に、日本全国にも広がりました。)
シロバナタンポポの特徴
白い花を咲かせる
シロバナタンポポの大きな特徴として、舌状花(ぜつじょうか)と呼ばれる「花びらに見える部分」が白く、また、ひとつの頭花(とうか)につく舌状花は約100個ほどで、他のタンポポの品種に比べて少なめです。花の大きさは直径約4cm程度になり、花茎(かけい)は30cm前後の高さに成長します。
ギザギザの葉
長い楕円形で切れ込みが多く入った葉を地面から直接生えるロゼット状に広げ、その中心からまっすぐ茎をのばし花を咲かせます。
食用にも使える
タンポポは根まで食べることができ、漢方薬としても使われています。タンポポコーヒーやタンポポティーは有名です。
シロバナタンポポは生薬の原料や食用にすることができ、花弁をてんぷらにして食べることができます。根はタンポポコーヒーにすることができます。
シロバナタンポポの生息地域と開花時期
生息地域は関東以西
河川敷や道端など住宅地にも自生します。生息地域は主に四国や九州など西日本を中心に分布していますが最近は関東地方でも見かけるようになりました。
開花時期は春ごろ
シロバナタンポポは2月から5月にかけて開花します。セイヨウタンポポより小さめのかわいらしい花を咲かせます。開花時期の長いセイヨウタンポポとは違い、シロバナタンポポの開花は春先だけです。
シロバナタンポポの花言葉
花言葉は「私を探して、そして見つけて」
これは、タンポポを使って恋占いをしていた昔の西洋の習慣が由来といわれております。そのほかに綿毛には、風でバラバラに飛んでいく様子から「別離」の花言葉がつけられています。
一般的なタンポポの花言葉は「真心の愛」など
一般的なタンポポの花言葉は「真心の愛」「愛の信託」「思わせぶり」などですが、ほとんどの種類のタンポポが黄色い花を咲かせるなかでシロバナタンポポは珍しく白い花をつけるため特別な花言葉がつけられたのでしょう。
シロバナタンポポを育ててみよう
タンポポは雑草にも分類されてしまうほど生命力が強いので育て方は比較的簡単ですが、シロバナタンポポは関東地方より西の温かい環境を好むので、寒い地域での栽培はあまりおすすめできません。室内で育てることもできますが、温かい場所に置き日の当たる時間や湿度などに注意が必要です。
シロバナタンポポを発芽させるコツ
弱酸性の環境をつくることが大切
一度根付いてしまえば生命力が強いタンポポですが、シロバナタンポポのような在来種が育つためには弱酸性の環境が必要です。近年の住宅地は土壌開発などのせいでアルカリ性の土になっており、水道水もアルカリ性です。つまり、庭の土をそのまま使って水道水で栽培した場合、発芽しない可能性が高くなります。
もともと自生していた場所の土を利用するのが一番良いですが種を購入して栽培を始める場合、土は野菜用の培養土を使うなど弱酸性の土を使用しましょう。水やり用の水は弱酸性のミネラルウォーターも良いですが、雨水が最適です。
地植えと鉢植え 育て方の注意点
根の大きさや長さを考慮する
庭に地植えをする場合シロバナタンポポの根は1メートル以上に伸びる可能性があるため、ほかの植物と一緒に育てる場合は根の大きさに気をつけて間隔をとりましょう。
鉢植えの場合も根が太くなりますので比較的大きいサイズの鉢を選びます。乾燥に弱いのでなるべく湿気がある場所に置きましょう。どちらの育て方も日当たりの良い場所と水やりに気をつけることが大切です。
種を植える
最適な種付けの時期は4月
種付けに良い時期は、4月の始めごろです。種をまいて約2週間くらい経つと芽が出始めます。シロバナタンポポの種はとても小さいので土は軽くかかるくらいで大丈夫です。あまり深く埋めてしまうと発芽できなくなりますので気を付けましょう。
種付け後は乾燥に注意
シロバナタンポポは乾燥が一番の敵ですので種を撒いてからしばらくは乾燥させないように土の様子に注意してください。鉢植えの場合は鉢をビニールで覆うとよいでしょう。地植えの場合は芽が出るまで水のやりすぎに気を付けてください。小さな双葉を見落としてしまわないように注意して観察しましょう。
発芽したら
土の状態を観察して乾燥させないこと
発芽に適正な温度は23度前後なので、4月上旬にまいた種は順調にいけば4月中旬から下旬にかけて発芽し始めます。土の状態に注意して、土が乾燥する前に水を与えるようにします。肥料は、緩効性化成肥料などもありますが、特に必要もないでしょう。
5月の上旬ごろになると本葉が出始め、葉の大きさもだんだん大きくなっていきます。そして5月下旬にはロゼット状に広がった葉はギザギザの形になり見た目もタンポポらしい姿になります。
まとめ
近年では滅多に見られなくなってしまったシロバナタンポポ。見つけることができたらラッキーな気分になれそうですね。花言葉の「私を探して、そして見つめて」のようにシロバナタンポポを探しながら歩いてみるのも宝さがしをしているようでお散歩が楽しくなるかもしれません。