ギンリョウソウ(銀竜草)とは
ギンリョウソウという植物を知っていますか?別名「ユウレイタケ」とも呼ばれ、その白い咲き姿から、幽霊を想像させるような見た目をしている植物です。高山のジメジメとした日当たりの悪い場所に生えることや、ゴキブリを介して増えていくという興味深い特徴もあります。そんなギンリョウソウの特徴や見分け方、花言葉などをご紹介します。
ギンリョウソウ(銀竜草)の基本情報
科名 | ツツジ科 |
属名 | ギンリョウソウ属 |
和名 | 銀竜草 |
別名 | 幽霊茸、水晶蘭 |
種類 | 腐生植物 |
原産地 | 日本、中国、台湾、ヒマラヤ |
ギンリョウソウ(銀竜草)の名前の由来
ギンリョウソウは漢字で「銀竜草」と書く植物です。「銀」は白い咲き姿が神秘的で、薄暗い森の中でその姿が輝いて見えたことから「白」ではなく「銀」という色がついたとされています。そして「竜」は白い花が下に垂れて咲いている姿が、竜の頭に見えることから「銀竜草」という名前がついたそうです。
別名「ユウレイタケ(幽霊茸)」とも呼ばれる
ギンリョウソウは高山の湿った土の上にひっそりと生えています。その姿も独特で、白い茎に白い花を咲かせるのですが、先端だけが青白いという特徴があり、その先端が下に垂れるような姿をしている植物です。薄暗い森の中で、咲き姿が幽霊に見えるようだ、といわれたことから「ユウレイタケ(幽霊茸)」とも呼ばれるようになりました。
中国では「スイショウラン(水晶蘭)」と呼ばれる
日本では幽霊に例えられているギンリョウソウですが、中国では水晶に例えられるほど美しいとされています。透き通った白い色が、水晶のように魅力的に見えたことから「スイショウラン(水晶蘭)」とも呼ばれているそうです。
ギンリョウソウ(銀竜草)の花言葉
ギンリョウソウには「はにかみ、そっと見守る」という花言葉がついています。山奥でひっそりと咲くギンリョウソウにぴったりの花言葉です。ギンリョウソウは妖精のようだといわれることもあり、花言葉から小さくて真っ白なかわいらしい妖精が、恥ずかしそうにそっと見守っているような咲き姿が想像できます。
ギンリョウソウ(銀竜草)の特徴
ギンリョウソウはよくキノコと間違われることが多いですが、実はキノコではないので食べることができません。背丈が低く10cm〜15cmほどの小さな植物で、茎や花など全体が白い姿をしていますがツツジ科に分類されています。とても不思議な植物、ギンリョウソウの特徴は以下の通りです。
ギンリョウソウ(銀竜草)の姿
ギンリョウソウはユウレイタケとも呼ばれていますが、他にもいろいろなものに似ているといわれています。ギンリョウソウの実は黒いので「目玉」に例えられたり、ヒラヒラした花を咲かせるので「妖精」に例えられたりとさまざまです。そんなギンリョウソウの、個性的な咲き姿を紹介します。
ギンリョウソウ(銀竜草)の花
ギンリョウソウの花は透明感のある薄い白色をしています。ギンリョウソウの開花期は4月〜8月の間です。この時期になると、真っ白な茎が10cmほど伸びてきて2cm〜3cmほどの神秘的な花を咲かせます。ヒラヒラとした花の形は妖精のようだという人もいるそうです。また、花の先端だけは、青白い色をしています。
ギンリョウソウ(銀竜草)の実
ギンリョウソウの実は、目玉のような見た目をしているので、高山で見かけると驚く人も多いそうです。ひょうたんに似た形をしていて、少しうつむき気味に実るという性質があります。ギンリョウソウの実は、食べることができないので注意が必要です。
ギンリョウソウ(銀竜草)の種
ギンリョウソウの実がなった後にそのままにしておくと、実が弾けて中からギンリョウソウの種が出てきます。この実や種を生き物が食べることで、遠くへギンリョウソウの種を広げることができる仕組みです。
ギンリョウソウ(銀竜草)の茎
ギンリョウソウの茎の部分は、多肉植物のようにプニプニとした感触で、たっぷりと水を含んでいます。葉緑体がないので、茎も白い色をしているのが特徴です。茎にうろこのような葉をつけるのですが、その葉にも葉緑体がないため、全体的に白い姿をしています。
ギンリョウソウ(銀竜草)の色
ギンリョウソウ全体が白い色をしているのには理由があります。ギンリョウソウには「葉緑体」という部分がなく、光合成を行わない植物です。また、ギンリョウソウは「腐生植物」といって、菌類から栄養素を利用して成長していくため、白い色のまま大きくなっていくといわれています。
葉緑体とは
葉緑体とは、植物が光合成を行うための、小さな器官のことをいいます。葉緑素という物質を含む色素体のため、緑色をしていることが多いです。そのため、植物は基本的に光合成を行って栄養を補うので、葉や茎が緑色をしています。
腐生植物とは
腐生植物は、葉緑体や葉緑素を含まない植物のため、光合成を行わない植物のことです。そのため、緑色をしていないことがほとんどとされています。腐生植物は「菌根」といわれる器官を使い、さまざまな菌から栄養を得て成長するのが特徴です。
ギンリョウソウ(銀竜草)の生息場所
ギンリョウソウは日本全土の湿地に生息している植物です。主に山や森の中に生えていることが多く、適度に湿った土地を好みます。ギンリョウソウは光合成の必要がないので、日陰や山奥のコケが生えているような場所に多く生息しているのが特徴です。
ボタニ子
続いて、ギンリョウソウ(銀竜草)の増え方を紹介
出典:写真AC