レンリソウとは
レンリソウは、5月〜7月にかけてピンク色や紫色の花を咲かせます。日本の本州や九州に分布しており、絶滅危惧種に認定されています。レンリソウは、マメ科レンリソウ属に分類され、川岸などの湿った場所に自生している多年草です。
基本情報
学名 | Lathyrus quinquenervius |
英名 | Perennial pea |
科名 | マメ科 |
属名 | レンリソウ属 |
形態 | 多年草 |
原産地 | 日本(本州、九州) |
名前の由来
レンリソウは漢字で「連理草」と表記されます。連理草の「連理」は「連理木(レンリボク)」という植物が元になってつけられました。連理木は、2本の枝が1本に癒合したものや、一旦分かれた枝がもう一度結合したものをさします。レンリソウの葉は、小さな細い葉が対生しているのが特徴です。その様子を連理木に例えたのが名前の由来です。
連理木の歴史
連理木は、1つの枝がほかの枝と結合した状態をさし、自然界でも少なからずみられる現象です。また、違う品種同士で連理木を形成する場合もあります。連理木の「理」とは「木目」を意味する言葉です。連なった木目は縁起がよいとされ「夫婦和合」や「縁結び」の象徴とされており、日本では献上品として利用されていた歴史があります。
花言葉
レンリソウには「門出」「思い出」「男女の深い契り」という花言葉がつけられています。レンリソウの名前の由来にもなっているとおり、葉が向き合ってついている様子を、仲睦まじい男女に見立てて「男女の深い契り」という花言葉がつけられました。
レンリソウの特徴
レンリソウはやや湿り気のある場所を好む植物で、本州や九州の川岸や湿地に自生しています。秋田県や山形県、埼玉県や群馬県など、地域によっては「絶滅危惧種」に指定されている植物です。しかし、群生している場所では一斉に咲き誇るレンリソウが楽しめます。
特徴①葉
レンリソウの葉は3cm〜5cmほどの大きさで「偶数羽状複葉」という形状をしています。偶数羽状複葉とは、鳥の羽のような形をしている葉をさし、葉の中軸から小葉が対生しているのが特徴です。小葉は2枚〜6枚で、色は鮮やかな黄緑色です。小葉の先端は線形や披針形で、両面に小さなやわらかい毛が生えています。
葉の中軸は先端が巻きひげ状になる
レンリソウの葉の中軸部分は先端にいくにつれて細くなっており、内側にクルンと巻きひげ状になるのが特徴です。巻きひげの長さは3cm〜10cmほどで、茎から外側に向かって伸びていき、分岐はしません。
特徴②花
レンリソウは5月〜7月にかけて、ピンク色や紫色の花を次々と咲かせます。レンリソウの花は2cmほどの大きさで、フリルのついた蝶のような形をしています。レンリソウは「葉腋(ようえき)」と呼ばれる、葉と葉の間から出ている茎から花茎を伸ばすのが特徴です。花茎の先端に、4個〜8個程度の花房を咲かせます。
特徴③実
レンリソウは、花後に「豆果(とうか)」というマメ科特有の細長い果実をつけます。レンリソウの豆果は2cm〜4cmほどの大きさで、縦長の線形をしているのが特徴です。レンリソウはマメ科に分類されているため、豆果はキヌサヤエンドウのような見た目をしています。
毒性がある
レンリソウ属に分類される植物には、「オキサリルジアミノプロピオン酸」という有毒成分が含まれているため注意が必要です。種子を大量に摂取すると「ラチルス病」という病気を発症する恐れもあります。小さな子どもやペットがいる場合は、誤って大量に摂取しないように気をつけてください。
特徴④絶滅危惧種に指定されている
埼玉県
埼玉県では、レンリソウは「レッドリスト絶滅危惧ⅠB類」に分類されています。レッドリスト絶滅危惧ⅠB類とは、近い将来に野生での生息が難しくなり、絶滅する恐れがある植物です。レンリソウを増やそうと多くの人が見守っていましたが、アブラムシの被害にあったり上手に開花しなかったりして、数はあまり増えていません。
京都府
京都では、レンリソウは「絶滅寸前種」とされている植物です。近畿地方では京都でのみ野生のレンリソウが確認されており、京都府南部の木津川河川堤に自生しています。
レンリソウの近似種
レンリソウは「レンリソウ属」に分類されている植物です。レンリソウ属にはスイートピーやグラスピーなどがあり、花色が豊富なためガーデニングにも利用されています。レンリソウ属にはおよそ160種類の植物が属しており、ほかの植物や木を支えに成長していく「つる性」の性質を持っているのが特徴です。
スイートピー
スイートピーは和名で「麝香連理草(ジャコウレンリソウ)」と呼ばれています。開花時期になると、花から麝香のように甘い香りがするのが特徴です。スイートピーは、古くから式典や晩餐会に利用されていました。花色が豊富で、白色や紫色、ピンク色や赤色など、自分好みのスイートピーを探すのも楽しみの一つです。
グラスピー
グラスピーは「ガラスマメ」や「ラチルスマメ」とも呼ばれている食用植物です。インドでの栽培が盛んで、後作や混栽などに利用されています。グラスピーはそのまま煮たり練ったりして食べられており、価格が安いため貧民の食糧とされる植物です。しかし、大量に食べるとラチルス病気にかかる恐れがあり、現在では毒性の少ないグラスピーが育成されています。
ヒロハノレンリソウ
ヒロハノレンリソウは漢字で「広葉の連理草」と表記されます。ヨーロッパが原産で、世界中の温暖地域に自生している帰化植物です。草丈は2m以上になり、5月〜9月にかけてピンク色や白色の花を咲かせます。別名「宿根スイートピー」とも呼ばれ、見応えのある花弁が人気の品種です。
イタチササゲ
イタチササゲは「豌豆草(エンドウソウ)」「山豌豆(ヤマエンドウ)」とも呼ばれている、ササゲによく似た多年草です。日本以外にも、朝鮮半島や中国の日当たりのよい山地や草原に生息しています。花色が黄色から茶褐色に変色していくのが特徴で、イタチの毛色に似ているため「イタチササゲ」と名付けられました。
レンリソウを探してみよう
レンリソウは絶滅危惧種に指定されており、近い将来レンリソウが身近で見られなくなる恐れがあります。湿地や川辺に行ったときには、かわいらしい花を咲かせるレンリソウをぜひ探してみてください。
出典:写真AC