イワシャジンとは?
イワシャジンは、山地などの湿り気のある岩場に分布している、多年草の山野草です。秋に可愛らしい紫色の花を咲かせます。どのような花なのか、まずはその基本情報からみていきましょう。
基本情報
学名 | Adenophora takedae |
科名 | キキョウ科 |
属名 | ツリガネニンジン属 |
原産地 | 日本(本州中部~東海地方) |
草丈 | 20~70cm |
イワシャジンは名前だけだと想像しづらいと思うけど、すごく可愛らしい花なんだよ!暑さに弱い山野草だから、育て方にはコツが必要だけどね。
イワシャジンの特徴
イワシャジンは、湿り気のある岩場に自生し、紫(基本種)や白色の釣鐘の形をした花を咲かせます。細い茎の先端に小さな釣鐘形の花がぶらさがっている様子から、別名「イワツリガネソウ」とも呼ばれています。8月下旬〜10月上旬にかけて花を咲かせます。花姿はとても涼し気で繊細ですが、根は岩場などにしっかりと張る多年草です。
花は5裂で、先端が反り返っているよ。
見た目は可憐で繊細なのに、しっかりと根を張って生きているなんて素敵ね。憧れるな、私もそうなりたい!
漢字で書くと岩沙参
イワシャジンを漢字にすると、「岩沙参」です。これはイワシャジンも属している、ツリガネニンジン属などの植物の太い根を乾燥させた「沙参」という生薬の漢方に由来したものです。「岩場に自生する沙参」の意味から「岩沙参(イワシャジン)」と名付けられました。
イワシャジンの花言葉
イワシャジンの花言葉は「誠実」「感謝」です。イワシャジンの花姿が、教会の鐘を連想させる形をしていることから「感謝」という言葉がつけられたようです。
イワシャジンの育て方
イワシャジンは春に芽を出し、スペードの形をした栄養葉と呼ばれる葉を株元に広げます。夏に花芽が成長するので、春から夏にかけてはたっぷりと日光に当ててください。夏の直射日光は苦手なので、梅雨が明ける頃には、半日陰に移動させましょう。開花する秋には、また日当たりのよい場所へ移動させます。花が終わると、茎は枯れ、冬前には栄養葉も枯れて休眠に入ります。
育て方のポイントは、水やりです。湿り気の多い場所に自生するので、乾燥させすぎないようにしましょう。
イワシャジンは冬至芽と根で冬越しするよ。冬至芽というのは、花が枯れると株の根元から出てくる新芽のことなんだ。
イワシャジンの種類
イワシャジンは自生している場所によって草姿に違いがあり、それらは変種として区別されています。変種には産地の名前がつけられていることが多く、その産地のイワシャジンに出会うことも楽しみのひとつでしょう。変種の種類をご紹介します。
イワシャジンって、いろんな種類があるんだね。見分け方がわからないなぁ。
鉢で育てる場合は見分け方にコツがいるけどね。自生している場所で出会うと感動するよ!
種類①ホウオウシャジン
南アルプス鳳凰三山にのみ自生しており、草丈が低く、細い葉が特徴です。イワシャジンよりも花が小さく、イワシャジンの高山型とされています。
種類②ツクシイワシャジン
宮崎県と熊本県の山地の岩場に自生します。イワシャジンとよく似た三角形の葉で、小さな花冠と雌しべが突き出ているのが特徴です。森林伐採や採集により激減している変種です。
まとめ
爽やかな秋風に揺れ、下向きに咲くイワシャジンは儚げな印象の山野草です。育て方は難易度が高く、暖かい地域だと失敗してしまうこともありますが、寒い地域であればぜひ挑戦してみてください。控えめな美しさに、思わず見惚れてしまうでしょう。
出典:BOTANICA