ヨトウムシの3つの駆除方法
ヨトウムシ対策は、野菜だけでなく花も警戒しなくてはいけません。ふんが落ちていて葉っぱが食害にあっているのに虫が見つからなかったら、ヨトウムシが潜んでいる可能性を考慮しましょう。ここからはヨトウムシが発生した時のおすすめの駆除方法、天敵をご紹介します。
①薬剤・殺虫剤を使った駆除
ヨトウムシ対策で一番有効なのは、専用の農薬を使用することです。食害虫用の薬剤は多数ありますが、ここでは住友化学園芸の「オルトラン」をご紹介します。このオルトランは粒状のものと粉状のものが売られています。
粒状のオルトランはそのまま土にばら撒いて使うため、土の中で寝ているか、根の近くについているヨトウムシに効果を発揮するものです。粉状のオルトランは適量で一包化されており、そのまま水で薄めて散布するだけで使えます。この場合、必ず葉の裏側にも吹きかけないと効果が薄いので気を付けてください。どちらを使うかは被害状況などで使い分けるとよいでしょう。
②殺虫剤以外の駆除方法
ここではヨトウムシを、殺虫剤を使用せず、生態を利用した駆除方法をご紹介します。殺虫剤ほど確実ではありませんが、無農薬で野菜を育てたい方や、薬を準備する暇がない方などの参考になれば幸いです。
コーヒーの出がらしを埋め込む
ヨトウムシはコーヒーを苦手としています。濃いコーヒーを葉に散布する予防方法もありますが、特に有効なのは、ドリップコーヒーの出がらしを使う事です。コーヒーの出がらしを土に埋めることで、土中にいるヨトウムシの忌避効果を狙うことができます。コーヒーは家庭で用意しやすいので、無農薬にこだわりたい方には有効な手段です。
コーヒーを撒く時の注意点
コーヒーを使う際の注意点は、出がらしを土に撒くだけでは効果が薄いという事です。ただ撒くだけだと地中にいるヨトウムシに忌避成分が浸透しづらいだけでなく、出がらしが発酵して嫌な匂いを立たせることがあります。少々面倒ではありますが、必ず出がらしは埋め込んで、かつ少し間隔を空けるようにして下さい。
米ぬかで罠を仕掛ける
ヨトウムシの好物の1つに「米ぬか」があります。この習性を利用して罠を仕掛けます。お皿やタッパー、豆腐の容器などに米ぬかをたっぷり入れて畑の中に表面だけ出るように埋め込んでください。ヨトウムシは米ぬかに集まりますので、そのまま捕殺してもいいですし、米ぬかに殺虫剤を混ぜて駆除するという方法も取れます。
ただし、こまめにチェックしないとエサを与えただけになってしまいます。また、米ぬかは他の害虫の好物でもあり、ヨトウムシ以外の虫も呼び寄せる可能性があるので注意が必要です。
木酢液を散布する
「木酢酢(もくさくす)」をご存知でしょうか?木酢酢とは簡単に書くと「竹を作る際に生じた水蒸気を冷やして液体にした」物です。木酢酢は殺菌効果や菌の繁殖を抑える効果に富んでおり、スーパーやドラッグストアなどで売られています。木酢酢の匂いを嫌う虫は多く、ヨトウムシも例外ではありません。
市販の木酢酢で構いませんので、300倍~500倍ほどの水で薄めた木酢酢を葉の表と裏側に霧吹きで吹きかけてください。これだけでヨトウムシの忌避効果を期待することができます。木酢酢は幅広い害虫に対応しており、土壌を整える効果もあるため、常備しておいて損はありません。ただし、木酢酢の濃度が濃すぎると野菜、花を枯らしてしまうことがあるため、正しい用法、用量を必ず確認してから散布するようにしてください。
③ヨトウムシの天敵
ヨトウムシにも自然界の天敵がいます。それは、カエルや鳥、トカゲといった食虫動物です。これら天敵たちは基本的に畑に居つくことがありませんが、家庭菜園、ガーデニングでは恩恵を受けることがあります。ムカデやカメムシもヨトウムシの天敵ですが、これら自体が害虫なので、発生したら別の対策が必要になります。
また、アシナガバチもヨトウムシの天敵に数えられます。アシナガバチは畑や、匂いのする花木に集まることが多いです。アシナガバチはヨトウムシのように動きの遅い虫を捕食し、人間から手を出さなければ襲ってくることもないため益虫として扱われます。
駆除する時の注意点
ヨトウムシの駆除で気を付けなくてはいけないのが、成長すると殺虫剤などの効きが悪くなるという点です。羽化した成虫は元より、大きくなった幼虫ですら薬剤の効きが悪くなってしまいます。よって、ヨトウムシは早期発見し、卵、もしくは生まれたばかりの時期に駆除するのが一番望ましいです。
ヨトウムシは成長すると3~4cmほどになるので、このくらいの大きさのヨトウムシは殺虫剤を使わず、直接処理するようにしてください。また、同じ薬を使い続けると耐性ができて、より一層薬の効き目が悪くなります。同じ用途の薬でも、数種類使い分けると効果が出やすくなるので自分に合うものを探してください。
ヨトウムシと似たネキリムシとは?
これまではヨトウムシについて紹介してきましたが、ヨトウムシと同じくらい食害が深刻な虫がいます。それが「ネキリムシ」です。ネキリムシはヤガと呼ばれる蛾の幼虫で、成虫になるとカブラヤガなどになります。この虫は茎を好み、特にブロッコリーなどの野菜を食べてしまいます。
ネキリムシは見た目がヨトウムシと酷似しているだけでなく、日中は土に潜り、夜に活動するなど生態も似ています。しかしネキリムシは葉を直接食べるのではなく、茎を切り落として地中で葉っぱを食べるという違いがあります。どちらにしても、この虫も繁殖力があるため、ふん、もしくは切られた葉を見かけたらヨトウムシと同様の対策を取り、発生したら薬剤などで駆除しましょう。
まとめ
害虫の生態を知ることは予防と対策の第一歩です。ヨトウムシは一度発生してしまうと薬剤でも駆除が難しくなるため、ふんが落ちていないかなど、こまめなチェックしましょう。少しでも発生の兆候を認めたら予防と駆除をしましょう。
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出典:写真AC