ナニワイバラとは
ナニワイバラは5月〜6月に開花の季節を迎える白いツル性のバラです。地植えの枝を誘引して生垣に仕立てているお庭も見られますが、開花する季節は春だけなのでしょうか。ナニワイバラの特徴や育て方、仕立て方など詳しくご紹介します。
名前の由来
ナニワイバラは、江戸時代に大阪(難波)の植木商人が中国から輸入して広めたため、この名前が付きました。園芸種として広まりましたが、地植えでよく育ち、病気や害虫にも強いため、西日本では自生しているところもあります。
ナニワイバラの特徴
中国原産のバラはヨーロッパに伝わりたくさんの品種を生み出しました。ナニワイバラもその原種のひとつです。原種らしく丈夫で耐寒性があり、トゲや良い香りがあるなどバラらしい特徴が多くあります。植え替えも簡単で、地植えでよく育ち、ツルを誘引できるので仕立て方も工夫できます。
名称 | ナニワイバラ(難波茨) |
分類 | バラ科バラ属 |
学名 | Rosa laevigata(ロサラビガータ) |
原産地 | 中国南部、台湾 |
樹高 | 1〜2m(ツル性で10m近くになる) |
耐寒性 | 強い |
増やし方 | 挿し木、種まき |
よく似たハトヤバラ
変種にはハトヤバラ(ハトヤイバラ)があります。ナニワイバラと性質はほとんど同じですが、花色はピンクです。手入れ方法や仕立て方もナニワイバラと同じです。寒い地方だと冬に落葉する場合もあります。
ジョージア州の州花
中国原産のナニワイバラ=Rosa laevigataは1780年頃アメリカに伝わり、「チェロキー・ローズ=Cherokee Rose」と名付けられました。2019年現在、チェロキー・ローズはアメリカ南部ジョージア州の州花となっています。
花の特徴
開花する季節は春のみで、通常は5、6月にかけて花が咲きます。ツルから伸びた小枝に、かすかに梅の花に似た香りのある花が付きます。花弁は5枚。ハート型のやや厚みのある白い花弁で、大きさは約6~8cmと大き目です。花柄と萼筒(がくとう)にはトゲがあります。開花は一季咲きです。
葉、茎の特徴
ナニワイバラの特徴は強健なところにあります。茎は10mにもなり、生育も早く1年で50cmくらい伸びることもあります。ツル性なので壁や柱などに添って上に伸び、茎にはかぎ状の強いトゲがあります。葉っぱは深緑色で光沢があり、バラの中では固めです。冬に落葉することはなく、小葉は3〜5枚、長めの楕円形で長さ3~5cmです。
実、種の特徴
ナニワイバラは花後、結実します。秋には赤橙色に色づく実は、とっくり型でトゲがたくさんがあります。その果実の中には大きさ1cmくらいの種子があり、種まきをするとよく発芽します。種子を作ると株が疲れるので、樹勢が落ちているようであれば花後は花弁だけでなく、萼筒から切り落としましょう。
ナニワイバラの育て方
ナニワイバラは一季咲きのバラです。一年間、開花の季節、春に向けて手入れをしていきましょう。ツル性で耐寒性もあり、樹勢が強いことが特徴です。地植えや鉢植えでアーチやオベリスク、フェンスに這わせる仕立て方や、壁面の目隠しなど一般の庭で育てることができます。詳しい育て方や植え替えのやり方などをご説明します。
育てる際の注意点
ナニワイバラの特徴は原種のバラらしくトゲの多いことにあります。茎にはかぎ状の強いトゲがあり、花柄と萼筒にもたくさんのトゲがあります。花後の手入れや冬の剪定など、お世話をするときには必ずバラ用の手袋を着用するようにしましょう。
植える場所
地植えの場合は日光がよく当たる、風通しのよいところを選びます。日当たりの良さと風通しの良さは病気の予防にもつながります。ナニワイバラは丈夫でほとんど枯れることのない樹種ですが、花の咲かない原因の一つが日当たりの悪さです。生育が早く広がりやすいので、地植えにする場合は仕立て方を考えて、広いスペースを取るようにしましょう。
植え付け
バラ科の苗の植え替えの季節は秋です。ナニワイバラも9月下旬から10月中旬くらいに植え替えます。地植えするときは、根鉢の2〜3倍の穴を掘り、腐葉土、堆肥を掘り出した土に混ぜます。それを半分くらい穴に戻し、そこに苗を植えます。大きな園芸店でバラ専用用土を購入し利用するのもよいでしょう。植え付けたら水をたっぷり与えます。
水やり
地植えの場合、雨の水分だけでも枯れることはあまりありませんが、土が乾いている時には、たっぷり与えます。特に開花時期と夏の暑い時期は、水切れに注意が必要です。真夏の暑い時期や9月の残暑の頃にはハダニを予防するために夕方、葉水も与えると良いでしょう。
肥料
4月と5月に肥料を与えます。つぼみが付いたら肥料は与えません。花後と秋に、有機質の固形肥料を置き肥します。ナニワイバラは花付きの良い樹種ですが、花が咲かない原因に肥料の与え過ぎがあります。手入れをしていても咲かない場合は、思い切って肥料をやめてみてください。
花後の手入れ
花後、花柄から摘み取ります。花柄をそのまま残すと種子を作ろうとするため、株が疲れてしまいます。ナニワイバラの果実は秋になると赤茶色になり、野趣溢れる美しさもあるので、鑑賞したい場合や種まきのために種子をとる場合は、花後にバランスを見て花柄を残しましょう。伸びすぎた枝は切り戻し、イメージする仕立て方があれば誘引します。
増やし方(挿し木)
ナニワイバラの増やし方は挿し木が一般的で簡単です。花後の6月~7月初旬、花後の剪定と一緒に挿し穂を作るとよいでしょう。
手順
- 新しい芽のついた枝を5cmくらいに切って、挿し穂にする
- 葉は2〜3枚残して切り落とし、土に挿す先端は斜めに切り落とす
- 枝を切ったら、まずメネデールを適量混ぜた水に浸け、その後バラ専用用土に挿す
ボタニ子
挿し木の根元がぐらつくと発根しないので、注意しましょう。
その後の管理
挿し木に慣れないうちは発根したか気になるかもしれませんが、次の植え替えの季節に当たる翌年の秋までは掘りあげないで待ちましょう。発根を促すために1ヶ月に1回、メネデールを与えましょう。
増やし方(種まき)
ナニワイバラは種子が簡単に採集できるのも特徴なので、種まきからの増やし方もできます。種まきは果実が完熟する11月ごろ行います。取り出した種子が乾燥していたら、そのまま種まきができます。まだ被膜に覆われているようなら、よく洗い乾燥させてからまきましょう。冬を越した翌春には発芽します。
ボタニ子
種まきから育てると花がみられるまでに年数がかかるので、増やし方のおすすめは揷し木によるものです!
出典:写真AC