ハイドロボールとは
土を使わず植物を栽培するハイドロカルチャー(水耕栽培)で、土の代わりに使用される人工土がハイドロボールです。ハイドロボールは粘土状の土を高温で焼いて軽石のように加工してあり、内部が多孔質で表面には小さい穴があることが大きな特徴です。土の代わりにハイドロボールを使った植物栽培には、多くのメリットがあります。
メリット①植物栽培の手間がかからない
ハイドロボールは表面や中にある小さい穴に水分を蓄えることができるため、ハイドロボールに植えた植物は水やりを頻繁に行う必要がありません。かえって水を与えすぎると根腐れを起こしてしまいます。また、ハイドロボールで栽培している植物は成長がゆっくりで、切り戻しの頻度が少なくてすみます。
メリット②清潔さを保てる
ハイドロボールは、加工する工程で高温殺菌してあり無菌です。栽培中に増える雑菌の繁殖も抑えられ、土で育てていると感じる悪臭がありません。ほかにも、養分などの有機物を含んでおらず有機物をえさにする虫も発生しにくくなります。このように、ハイドロボールは大変衛生的で、特に室内で植物を栽培するときにおすすめの人工土です。
メリット③いろいろな所で購入できる
ハイドロボールは、園芸店やホームセンターの他、100円ショップや通販サイトなど様々なところで購入できます。販売されているハイドロボールは、色や粒の大きさなどでいくつかの種類があり、自分の好みや目的に合わせて選べます。粒の大きさは、植物の根の太さに合わせて選びましょう。細い根の植物は小さい粒に、太めの根の植物は大きい粒に植えると、根をしっかり張ることができるため、植物が枯れにくいです。
メリット④再使用できる
ハイドロボールは、水洗いすることで何度も使用できます。再度使用する前には、ハイドロボールをきれいに水洗いをした後、天日でしっかり乾燥したり熱湯をかけたりして消毒をしっかり行いましょう。雑菌の繁殖を防ぎ、衛生的に再利用できます。
メリット⑤さまざまな容器を選べる
土で植物を栽培するときは、水はけのよい底に穴が開いている植木鉢などの植物栽培用の器に植えるのが一般的です。しかし、ハイドロボールの場合、容器に水が溜まっても植物は根腐れしないため、底に穴が開いていない自分の好きな容器で植物を育てられます。そのため、小さい容器に植えると、場所を取ることなく植物栽培を楽しめます。
デメリットもある?
ハイドロボールは植物栽培の手間を省けますが、定期的な植え替えは必要です。ハイドロボールは、植物の生長に伴って排出される代謝物を分解できないため、植え替えを行わないと容器内に代謝物が蓄積し、植えている植物は根腐れしやすくなります。植え替えは半年〜1年を目安に行いましょう。
ハイドロボールの使い方
使い方①ハイドロカルチャー
土以外の用土で植物を育てるハイドロカルチャーは、用意する道具も多くなく、ハイドロボールの使い方も簡単です。ここでは、ハイドロカルチャーに必要なものと、ハイドロボールへの植え付け方法を紹介します。
用意するもの
ハイドロカルチャーを始めるとき、用意するものは次の4つです。このほか、容器の中の水をきれいにするイオン交換樹脂や、水質浄化と施肥の2つの機能を持つイオン交換樹脂栄養剤も併用すると、根腐れを起こしにくくなり、植物の生育管理が楽になります。
用意するもの | 用意するときの注意点 |
ハイドロボール | 粒の大きさは、植え付ける植物の根の太さに合わせて選びます。 |
植え付ける容器 | 中身が見える、ガラス容器がおすすめです。 |
根腐れ防止剤 | 根腐れを予防するため必須です。 |
植え付ける苗木 | 観葉植物や多肉植物がおすすめです。 |
植え付け方法
- ハイドロボールは、植え付け前に水洗いして水に浸しておきましょう。
- 根腐れ防止剤を容器に入れて、その上に容器の3分の1の高さにハイドロボールを入れます。
- 植え付ける植物を入れ、ハイドロボールを置きながら植物が動かないように固定します。
- 容器に入っているハイドロボールの4分の1の高さまで水を注ぎます。
使い方②ハイドロカルチャー以外
マルチング材として使える
ハイドロボールは、保水性が高くマルチング材や鉢底石としても利用されています。マルチング材は土の乾燥予防や保温をすることを目的に行われます。マルチング材としての使い方は、ハイドロボールをマルチングしたい部分にまくだけです。高温で殺菌してあるハイドロボールを使うと、乾燥予防になるだけでなく、雑菌の繁殖まで抑えることができます。
鉢底石としても使える
また、水洗いしても汚れが取れなくなったハイドロボールは、鉢底石としても利用できます。鉢底石は排水性と通気性を良くするために使われており、小粒のハイドロボールでは通気性が悪くなるため使用は避けましょう。ハイドロボールの鉢底石としての使い方は他の鉢底石と同じで、植木鉢の底から2~3cmの厚さに入れます。
次のページでは、ハイドロボールでの栽培におすすめの植物、ハイドロボールに植え替える方法、ハイドロボール以外の人工土の種類をご紹介します。
出典:写真AC