コナジラミの種類
コナジラミは多くの種類がいますが、日本のガーデニングや農業現場にて被害をもたらす種類は限られています。ここでは、害虫となるコナジラミについて紹介します。
コナジラミの種類①:オンシツコナジラミ
学名 | Trialerodes vaporariorum |
英名 | Greenhouse whitefly |
最適温度 | 20~25℃ |
多発時期 | 6~7月、9~10月 |
被害作物 | 野菜、花類 |
オンシツコナジラミは日本全土にみられる外来性のコナジラミです。名前のとおり温室やビニールハウスで発生する白い虫で、さまざまな植物に害を与えます。日本全土でみられますが、暑さには弱いため真夏時は発生が少なくなります。一方で、寒さに強くハウスでの栽培が終わったあとも周辺部の草むらなどで越冬できます。
コナジラミの種類②:タバココナジラミ
学名 | Bemisia tabaci |
英名 | Greenhouse whitefly |
最適温度 | 25~30℃ |
多発時期 | 6~9月 |
被害作物 | 野菜、花類 |
タバココナジラミ自体は日本在来の種ですが、近年になって姿形で区別できないバイオタイプBとバイオタイプQと呼ばれる種が侵入し、生息域を拡大していることが確認されています。これらの害虫として問題となっているコナジラミをタバココナジラミと区別して「シルバーリーフコナジラミ」と呼んでいます。暑さに強く、植物間に病気を伝染させる厄介な害虫です。
ボタ爺
コナジラミの種類③:ミカンコナジラミ
学名 | Dialeurodes citri |
多発時期 | 5~6月、7月、9~10月 |
被害作物 | 柑橘類 |
ミカンコナジラミは名前のとおり、柑橘類の樹に被害をもたらすコナジラミです。また、幼虫の色がミカンのようなオレンジ色をしています。ミカンコナジラミは、これまでのコナジラミと異なり幼虫がカイガラムシのように扁平状の形をしているのも特徴です。ただし、カイガラムシと違って、ミカンコナジラミは雄雌両方とも飛ぶことができます。
コナジラミの種類④:チャトゲコナジラミ
学名 | Aleurocanthus camelliae Kanmiya&Kasai |
英名 | Camellia spiny whitefly |
多発時期 | 5月、7月、8~9月 |
被害作物 | チャ、ツバキやサザンカなどの庭木類 |
チャトゲコナジラミは茶園において甚大な被害をもたらす恐ろしい害虫です。小さい白い虫のオンシツコナジラミと異なり、黒くて棘が目立つ姿をしており、チャノキの古い葉の裏側に生息しています。幼虫の排出する甘露がすす病を発生させ葉を真っ黒にするだけでなく、見た目も不快で茶園を飛ぶことで作業性も下げます。
コナジラミの被害
コナジラミの被害①:吸汁被害
コナジラミは植物を吸汁する害虫で、吸汁箇所が白く色抜きされ、商品価値の低下を引き起こします。コナジラミの量が多いと生育不良になり、場合によっては枯死することもあるのです。さらに、幼虫の排出する甘露にすす病菌が発生し、黒く変色する「すす病」も誘発します。このすす病は気温が高いほど黒くなる速度が早くなります。
コナジラミの被害②:ウイルス被害
コナジラミはアブラムシなどの害虫とおなじようにウイルス性の病気を伝播します。これは、ウイルスに感染した植物をコナジラミが吸汁し、別の植物体へ移ることが要因となっています。コナジラミは卵から成虫までの期間も短いため、一度ウイルスが持ち込まれると瞬く間に温室やハウス内の作物に病気が広がっていきます。
病気が持ち込まれやすいのはキュウリやトマト
特にコナジラミによって病気が引き起こされやすい農作物は、キュウリなどのウリ科野菜とトマト・ミニトマトになります。特にトマトでは、トマト黄化葉巻ウイルス(TYLCV)が大幅な収量減少を引き起こす病気として恐れられているのです。トマト黄化葉巻ウイルスはシルバーリーフコナジラミによって媒介する病気で、葉が丸まって縮み、丈も短くなり結実しにくくなります。
ボタ爺
キュウリやトマトは、苗の時期にこれらの病気にかかると、大きくならないため甚大な被害になるぞ。次のページではコナジラミの発生要因や駆除方法について解説じゃ。
タバココナジラミとオンシツコナジラミの違いじゃが、成虫の背中をみて羽のあいだから体が見えるのがタバココナジラミ、見えないのがオンシツコナジラミになるぞ。