月桂樹の葉(効果・効能)
月桂樹は、古来より薬効にも着目され、万能薬と見なされてきました。ローマ時代には若い医師たちが月桂樹の葉を頭に飾る習慣があったとされています。月桂樹の葉は、料理の香辛料やスパイスの役目だけには収まりきれない、健康面でのすばらしい利点があります。ここでは月桂樹の葉に秘められている薬効としての効果、効能をいくつか紹介します。
①消化を改善する
胃腸系に効果が期待できるでしょう。利尿薬として排尿を刺激し、身体の毒性を低下させる解毒能力があるとされています。毒性物質が入り込んだときには、催吐薬として嘔吐を促します。さらに、月桂樹の葉は、胃の不調の解消、過敏性腸症候群(IBS)の鎮静、症状の緩和にも非常に効果があるとされています。
②呼吸器疾患への効果
月桂樹の葉のエッセンシャルオイル(精油)を、軟膏や希釈オイルに混ぜて胸に塗ると、さまざまな呼吸器系の症状を緩和できるといわれています。これは、そのまま葉を湿布として身体に貼るだけでも効果があるとされるので、たたいて柔くした葉を胸に広げて一晩放置してもよいでしょう。また、アロマセラピーとして、精油を蒸気として吸入しても同様の効果、効能があるとされています。その自然な抗菌性のおかげで、気道を緩め、呼吸を楽にするでしょう。
③抗炎症作用
月桂樹の最も重要な利点の一つは、体全体の炎症を軽減する能力です。月桂樹の葉にはパルテノライドと呼ばれる独特の抗炎症成分が含まれています。関節痛や関節炎などの患部に、葉を湿布として貼るだけでも痛みの和らぎが期待できるでしょう。炎症や刺激をすばやく軽減できる効果があるとされているのです。この有効成分は、リウマチなどに代表される関節炎の薬にも配合されている成分です。また、料理に月桂樹の葉を加えて摂取しても、同じく効果、効能を期待できるでしょう。
④不安やストレスを軽減
月桂樹の葉には、シネオールやリナロールなど血流を促す抗酸化成分や、リラックスを促す香りの成分が含まれています。特にアロマセラピーで使用する場合、体内のストレスレベルを下げるのに役立つでしょう。月桂樹の香りには、不安が高まったときに瞬時に落ち着かせ、リラックスした状態を保つ効果が期待できます。鬱症状や精神状態が混乱した際に、抑うつ作用があるといわれています。
月桂樹の葉(使い方)
古代ギリシャでは紀元前776年まで、現代のオリンピックの先駆けである運動競技で勝利をおさめた英雄に、月桂樹の葉で作られた冠を与えて称讃していました。月桂樹の葉で作られた冠とは知恵と栄光の象徴でした。また、古代から現代に至るまで、月桂樹の葉を使い、食用や薬用など、さまざまな用途で人々の生活に役立ててきました。ここでは月桂樹の葉の使い方を、さらに詳しくご紹介します。
使い方①料理
月桂樹の葉は、世界中の料理で愛用されています。葉には独特の芳香と苦味があり、料理を上品な香りに仕上げます。また、食材そのものの、うま味を引き出す効果もあるので、カレーやシチュー、ポトフなどの煮込み料理にとても重宝します。ここでは料理での使い方を、いくつかご紹介しましょう。
■肉や魚料理の臭みとり
月桂樹の葉は、肉や魚料理の臭みとりの効果もあります。料理での使い方は、生葉ではなく乾燥した葉を使います。葉はそのままでは固くて精油の成分が出にくいので、料理に加える際には葉を折り曲げてから利用すると、香りの出がさらに引き立ちます。時間がたつと苦みが出るので、料理ができあがったら取り出しておきましょう。
■香辛料(スパイス)
月桂樹の葉は、すがすがしく爽涼感のある香りがします。料理に加えると上品な香りをかもしだすため、フランス料理や、タイのマッサマンカレーなどで香味づけとして使用されています。さらに月桂樹の葉がもつ特有の香りは、ヨーロッパでは防腐効果があるとされ、酢漬けのマリネやピクルスなどにも使用されています。魚料理や野菜料理をはじめ、比較的どんな食材にもあいます。
■ブーケガルニ
月桂樹の葉は、煮込み料理などに入れるブーケガルニの材料としても使われます。一つのスパイスだけでなく、複数の香辛料やスパイスを一緒に使うことで、それぞれの風味や香りなどがうまく調合され、料理に複雑な香味感をしっかり引き出してくれます。
ブーケガルニとは
- 月桂樹(ローリエ)のほか、パセリ、タイム、セロリなどの葉を一緒に束ねたもの
使い方②お茶やお風呂に
月桂樹の葉は古代から神聖なハーブとして崇拝され、料理の材料だけでなく身近な薬草としても活用されてきました。古代ローマや古代ギリシャ時代には、月桂樹の葉には癒しの効能があると信じられていました。ここでは月桂樹の葉に秘められた薬効をうまく引き出す使い方をご紹介します。
■月桂樹茶(ローリエ茶)
月桂樹の葉には、シネオールやリナロールなどの血流を促してくれる成分が入っています。また、精神を安定させ、リラックスを促す香り成分も含まれています。月桂樹の爽快感のある香り成分はリナロールからきており、お茶やハーブティーとして香りを蒸気にして吸い込むことは、アロマセラピーとしても働くでしょう。また整腸作用もあるといわれているので、胃腸が弱っているときや冷え性を緩和したいときなどに、手軽にお茶として薬効成分を効率よく体に取り込み、日常の健康維持にも役立てましょう。
お茶として飲む方法
1.お茶として飲む場合、月桂樹の乾燥した葉を2〜3枚程度を用意します。葉は、より香りや薬効成分がでるようにハサミで切れ込みを入れておきましょう。
2.小鍋にカップ一杯分(200~300ml)程度の水を沸騰させ、月桂樹の葉を入れて5~15分煮出します。 煮出し時間はお好みで調節してください。ただし煮出しすぎると、お茶としては渋みがでて飲みずらくなるので注意してください。
3.鍋から葉を取り出して、ティーカップや湯呑みに移し替えればできあがりです。
風味のアクセント
- 蜂蜜やレモン、シナモンスティックなどをいっしょに入れても、おいしいお茶としていただけます。
■お風呂に入れた場合の薬効
月桂樹は、お風呂に入れて使うことでも効果が期待できます。月桂樹の生葉もしくは乾燥させた葉に切れ込みを入れるか、もしくは細かく刻みます。布袋や100均等で売っている目の細かい小さな洗濯網などに葉を入れて、浴槽の湯に浮かべましょう。お湯につかることで、月桂樹の成分を皮膚からも体に取り込めます。 また鼻からも蒸気をつたい香りの薬効成分を吸収できるでしょう。 お風呂から上がる際は、身体をよくシャワーで洗い流してから出てください。
お風呂での効能
- 保温、神経リラックス、冷え性、抗炎症、リウマチ、疲労回復への効果が期待できます。
次のページからは、月桂樹の葉の乾燥方法をくわしくご紹介いたします!
妊婦の方は、体に負担がかかる恐れがあるため、精油の扱いはお控えください。