ハシバミってどんな植物?
植物”ハシバミ”の基本情報
目 | ブナ目 |
科 | カバノキ科 |
属 | ハシバミ属 |
学名 | Corykus heterophylla |
和名 | ハシバミ(榛) |
英名 | Asian Hazel |
開花時期 | 3~4月 |
実が食べられる植物
ハシバミの実はヘーゼルナッツとして食べることができます。厳密にいえば、ヨーロッパ原産の「セイヨウハシバミ」の実がヘーゼルナッツですが、国内で生産されたハシバミの実もヘーゼルナッツと呼ばれることが多いです。ヘーゼルナッツはアーモンドやカシューナッツと並んで世界三大ナッツのひとつに数えられており、世界の生産量のおよそ70%をトルコ産が占めています。
ハシバミの分布
ハシバミ属に属する樹木は、北半球の温暖な地域に15~20種あるとされています。日本に自生しているのはこのうちハシバミとツノハシバミです。九州から北海道と幅広い地域の山間部に分布しています。またハシバミは日本だけでなく朝鮮半島や中国、ウスリー、アムールでも見られます。
植物としての歴史
ハシバミは、ギリシア神話や北欧神話にも登場するほど、ヨーロッパでは古くからなじみのある樹木です。ギリシア神話においては、オリンポスの十二神のひとり、ヘルメスが持っている杖がハシバミでできています。また栄養豊富なハシバミの実は、古くから人々の貴重な食糧として重宝されてきました。
日本におけるハシバミの歴史
日本においては、奈良時代や平安時代にはハシバミの実を食用として利用していたといわれています。また日本では過去にはセイヨウハシバミの栽培普及が試みられたこともありますが、種子をつけるまでの期間が長いなどの理由から、普及せず現在に至ります。
ハシバミは色の名前にもなっている
日本には「榛色(はしばみいろ)」という名前の色があります。これはヘーゼルナッツの色をさしています。もともとは英語圏で「ヘーゼル」「ヘーゼルブラウン」と呼ばれていたヘーゼルナッツ独特の表皮の色を日本語に訳したものです。なお、「ヘーゼル」という色が人々に認知されたのは、シェイクスピアが作品の中で「Hazel eyes(榛色の瞳)」という表現を用いて、ある特定の瞳の色を表したことが始まりといわれています。
ハシバミの特徴
ハシバミの花
ハシバミの開花時期は3月~4月です。小さな花の集合体が穂のように枝から垂れ下がる「尾状花序」と呼ばれる花の形をしています。開花の時期になると黄色い花を咲かせます。その花が枝にぶら下がって咲いているさまは非常に特徴的です。なお、ハシバミの花言葉は「仲直り」「調和」「和解」「一致」「直感」「真実」「知恵」です。
ハシバミの葉
ハシバミの葉は、丸みが強い卵型で先端がとがっており、やや明るい緑色です。茎の節に一枚ずつ異なる方向を向いて生える「互生」という生え方をしています。葉の表面はザラザラしていて縁には浅いギザギザがあり、大きさは5~12cm程度です。なお、葉に皺が目立つことから「葉皺み」と呼ばれ、それが転訛して「ハシバミ」になったといわれています。
ハシバミの木
ハシバミは落葉低木であり、高さは2~3m、高いものでも5mほどです。樹皮は薄い茶色をしています。硬く曲がりやすいという特徴を持っています。
ハシバミの実
熟したハシバミの実は茶色く、丸いどんぐりのような見た目をしています。「堅果」といわれ殻が非常に硬いので、割るときはペンチなどが必要です。割った中身は食用として利用できます。
ハシバミの見分け方
日本に自生するハシバミとツノハシバミですが、一見すると瓜二つでなかなか見分けることが難しい植物です。二つを見分けるポイントをご紹介します。
ツノハシバミとの違い
ハシバミの木とツノハシバミの木はほとんど違いがありません。両者が異なっているのは「実の形」です。ハシバミが丸いどんぐりのような形をしているのに対し、ツノハシバミはその名のとおりツノが生えたような大変特徴的な形をしています。なおツノハシバミも堅果を割れば中身は食すことができます。
ハシバミの活用
食用として
ハシバミというと最も一般的な活用方法は食用です。国産のハシバミの実は「和製ヘーゼルナッツ」「国産ヘーゼルナッツ」などと呼ばれ、流通していることが多くあります。生でも食べることができますが、煎ったほうがよりナッツ特有のよい香りを楽しむことができます。
木材として
ハシバミの木は、おもにイギリスで木材として重宝されています。その硬い性質を活かし、杖やステッキ、柵の材料に使われています。なおハシバミの杖は、ハリーポッターにも登場しています。
庭木として
ハシバミの木は神話に登場するということもあって、神聖な木ととらえられています。放っておいてもよく育ち、栄養価の高いナッツを収穫できることから注目を集めています。なお、セイヨウハシバミの木も苗木を購入することができ、日本で栽培が可能です。
まとめ
ハシバミは、とくにヨーロッパにおいてさまざまな地域の文化や生活と密接な関わりを持ち、幅広く活用されてきた植物です。日本においても古くから食用として重宝されるなど、日本人にとっても意外に身近な植物でもあります。開花時期になると、独特の形をした花がたくさんぶら下がっておりとても印象的です。広い地域の山間部に自生していますから、登山やハイキングの際はハシバミの木を探して実を採取してみるのもおすすめです。