くるみ(胡桃)とは
くるみ(胡桃)とは、クルミ科クルミ属の落葉高木の総称です。ヨーロッパ南西部~アジア西部を原産とし、日本でも栽培されています。生産量日本一は長野県です。くるみは栄養豊富なことで知られ、古くから食用として扱われてきました。日本でも縄文時代の遺跡からくるみの種実が出土するなどの証拠が存在しています。
くるみを食べ過ぎるとどうなる?
くるみは栄養価が高いことで有名です。ほかの食材には少ない貴重な栄養素も豊富に含んでいます。一方で脂質やカロリーが高いため、摂取量が多過ぎると美容・健康に逆効果となる可能性が高い食材です。食べ過ぎた場合、どのようなトラブルを引き起こすのかを見ていきましょう。
食べ過ぎの症状①肥満
くるみはナッツ類のなかでも高カロリーです。くるみに含まれているカロリーは、1粒(3g~4g)で約27kcal、25粒(約100g)で約674kcalとなります。これはナッツ類のなかでマカダミアナッツ(100gで約720kcal)、ヘーゼルナッツ(100gで約684kcal)に次ぐ高い数値です。このため、食べ過ぎるとカロリーオーバーで太る可能性が高くなってしまいます。
くるみは近年の研究で「これまでいわれてきたほど高カロリーではない」という説も出ているんだ。だからといって油断はできないけどね。
1食分(1オンス=約28グラム)のくるみのカロリーは146カロリーで、現在使用されている185という数値を39カロリー下回るという結果が示されている。この研究は、米国農務省(USDA)農業研究局の上席研究員で生理学者のDavid J. Baer博士により行われた。
食べ過ぎの症状②腸内環境の悪化
くるみには食物繊維が豊富に含まれています。このため適量なら便秘改善効果が期待できますが、食べ過ぎるとかえって便秘を悪化させる可能性が高いです。また、くるみは脂質も豊富に含んでいます。脂質の摂取量が多過ぎると油脂分が消化しきれず、腸内環境を悪化させてしまい、下痢や腹痛といった症状を起こしてしまうのです。
くるみに含まれている不溶性食物繊維は、適量なら便秘改善効果が期待できるんだ。でも過剰摂取すると便が硬くなってしまうんだよ。
脂質を過剰摂取すると、胃腸が消化不良を起こして腸内環境が悪化してしまいます。その結果、下痢や腹痛といった症状が起こるんですよ。
食べ過ぎの症状③肌トラブル
脂質が多いくるみを食べ過ぎると、ニキビや吹き出物や肌荒れなどの肌トラブルが発生する恐れがあります。油脂分の過剰摂取や、それによる腸内環境の悪化も肌トラブルの原因になることが多いからです。肌トラブルは美容面でも健康面でも悪影響をおよぼしてしまいます。
くるみの食べ過ぎによる肌トラブルは、元からある脂質ではなく、くるみを加工する際に使う油分が原因とする説があるんですよ。
だからくるみを購入する際は、油脂による加工がされていない、自然に近い状態のものを選ぶのがおすすめなんだよ。
くるみの適切な摂取量とタイミングは?
くるみの1日の適量は7粒(約28g)で、片手で軽くひとつかみできる程度の量が目安です。一度に摂取せず、三食の食事でわけて摂るとよいでしょう。くるみを摂取するタイミングは、基本的にはいつでも問題ありません。ただし、くるみは消化に時間がかかるため、就寝前は避けることをおすすめします。
*1日に必要なオメガ3脂肪酸の量は、1.6gから2.4g(成人男女。性別、年代による。「日本人の食事摂取基準(2015年版)」くるみの量に換算すると約18gから27g程度(食品標準成分表2015年版(七訂)より算出)
くるみの栄養成分
栄養成分①オメガ3脂肪酸
くるみに含まれているオメガ3脂肪酸は、栄養学的には「必須脂肪酸」という体の健康を守るために欠かせない栄養成分です。くるみはナッツ類のなかで、オメガ3脂肪酸を特に多く含みます。オメガ3脂肪酸には血圧を下げて心拍を正常にたもつ働きがあり、高血圧を改善する効果が期待されています。
オメガ3脂肪酸には、中性脂肪や悪玉コレステロールを下げる働きも確認されているんですよ。
中性脂肪や悪玉コレステロールが下がると、血がサラサラになって血流がよくなるんだ。この効果もオメガ3脂肪酸が重要視される理由なんだよ。
栄養成分②葉酸
葉酸はビタミンB群の一種です。赤血球の生成やDNAの合成に関わる重要な栄養成分で、不足すると悪性貧血を起こす恐れがあります。葉酸は男女ともに重要な栄養成分ですが、胎児の脳神経や細胞の合成にも必要な成分であるため、特に妊娠中の女性は積極的な摂取をすすめられています。
栄養成分③トリプトファン
トリプトファンは、体内で合成できない必須アミノ酸の一種です。そのため食事で摂取するしかありません。トリプトファンは「幸せホルモン」と呼ばれているセロトニンを作るのに欠かせない栄養成分です。セロトニンには自律神経のバランスを調整し、ストレスを軽減する効能があるとされます。セロトニンの生成に関わるトリプトファンは、精神面の健康を守るために必要な栄養成分です。
トリプトファンはくるみ以外にも、大豆製品や乳製品、バナナなどに含まれているよ。
栄養成分④不溶性食物繊維
不溶性食物繊維は食物繊維の一種で、消化に時間がかかることから満腹感を得やすく、食べ過ぎを防ぐ効果が期待できます。胃の中で水分を吸収して膨張して腸を刺激する効能があるため、便通を促進して腸内環境の改善にも役立つ成分です。ただし、過剰摂取すると便が硬くなってしまい、便秘を悪化させる可能性があるので摂取量に注意しましょう。
不溶性食物繊維は水に溶けない性質があるため、水分を吸収して膨らむことで腸管を刺激し、大腸のぜん動運動を促すことで排便をアシストしてくれます。また、便のカサを増やして排泄しやすくしてくれる効果も期待できます。
栄養成分⑤アルギニン
アルギニンはアミノ酸の一種です。成長ホルモンの分泌促進作用があるため、免疫力を高めたり、脂肪の代謝を助けて筋肉を強化したりするといった効果が期待できます。体内で作り出せる成分ですが、加齢とともに作り出せる力が弱まってしまうため、食事による補給が重要な栄養成分です。
アルギニンはくるみのほか、ニンニクやうなぎなど、滋養強壮によいといわれる食品に多く含まれています。
栄養成分⑥タンパク質
くるみはタンパク質も豊富に含んでいます。タンパク質は炭水化物、脂質とともに「三大栄養素」と呼ばれる重要な栄養成分です。筋肉、臓器、肌、髪、爪といった人体を構成する組織や器官だけではなく、ホルモンや酵素、免疫物質など、生命活動に必要な成分をも作り出します。重要な栄養成分とはいえ、過剰摂取すると腎臓疾患や心筋梗塞を引き起こす危険性が高くなるので注意しましょう。
タンパク質はおもに肉類、魚介類、卵類、大豆製品、乳製品に多く含まれています。
タンパク質は動物性と植物性の2種類にわかれていて、種類によって働きが少し違うんだ。両方をバランスよく、適量摂取することが大切だよ。
栄養成分⑦ビタミン類
くるみに含まれているおもなビタミンは、ビタミンB1とB6、ビタミンEです。ビタミンB1は糖質をエネルギーに変換したり、皮膚や粘膜の健康を維持したりする働きを持ちます。ビタミンB6は、タンパク質からエネルギーを作ります。その働きから、血液や筋肉の生成に欠かせない栄養成分です。ビタミンEは体内の脂質や細胞膜の酸化を防止する作用があります。
ビタミンEには、血液中のコレステロールの酸化を防止する作用もあるんですよ。
体内の酸化防止作用は、酸化による老化や疾患の予防にもつながるんだ。だからビタミンEは「若返りのビタミン」と呼ばれているよ。
栄養成分⑧ポリフェノール
ポリフェノールは、植物が光合成を行う際にできる物質の総称です。さまざまな種類があり、カテキン、フラボノイド、イソフラボンもポリフェノールに属します。赤ワイン、緑茶、コーヒーなど、色が濃く渋味や苦味が強い飲食物に含まれている場合が多いことが特徴です。ポリフェノールは非常に強い抗酸化作用を持つため、動脈硬化や高血圧予防に効果が期待できます。
くるみは赤ワイン以上のポリフェノール量を含む食材なんですよ。
くるみはポリフェノール以外にも、強い抗酸化作用を持つ成分をたくさん持っているんだよ。
くるみを含めたナッツ類は総じて高カロリーです。摂取量にはくれぐれも気をつけましょう。