育苗ポットとは?
育苗(いくびょう)とは、文字通り、苗を育てることです。花や野菜などの多くは種まきをして育てますが、土に直播きすると風雨にさらされたり、鳥や虫などの被害にあったりと、十分に育ちにくくなる可能性があります。そこで、育苗ポットを使って丈夫な苗を育てましょう。野菜づくりの基本となりますので、ぜひ使い方を覚えてくださいね。
初心者にも使いやすい
種から植物を育てたいと思っている園芸初心者のかたは、まず育苗ポットを使ってみましょう。野菜や花などの植物を上手に育てるためには、日当たりや温度・水分、栄養のある土や肥料をなどに気をつけなければいけません。育苗ポットなら、天候の具合によって日陰や屋根のあるところへの移動もかんたんですし、育ち具合に応じて肥料の量を増やすことも可能です。
育苗ポットの種類
育苗ポットには、さまざまなサイズや素材があります。育てる植物によって使い分けましょう。何をどのようにしたいかを明確にしてから、どの育苗ポットを使うかを決めるようにした方が失敗が少ないです。育苗ポットは園芸用品を扱っているところで販売されているものが使いやすいですが、代用品や使用した後のポリポットを熱湯消毒してから再利用することも可能です。
種類①サイズ別
ポリポットにもいろんなサイズがありますが、どのサイズを使うのかは育てる苗によって異なります。種の種類や大きさでサイズを変えたり、撒く時期によっても適正なポットを選んだりした方がよいでしょう。
サイズ | 使い道 |
小型(直径6cm~8cm) | カーネーションなどの花苗 |
中型(直径9cm~12cm) | キュウリなどの野菜苗 |
大型(直径13.5cm~18cm) | アボカドなどの樹木苗 あるいは複数の種を育てるとき |
3号が基本
園芸用品を扱っている店でポリポットを選ぶ場合は大体の大きさがわかりますが、ネットで購入するときは大きさがよくわからず、思ったより大きかったという経験をされた方もいるかもしれません。号数×3cmがポットの直系ですので、3号なら3×3cmで直径が9cmのポットということになります。3号ポットで土の量が0.3Lぐらいなので目安にしてください。
種類②素材別
園芸用品のコーナーに行くと、サイズはもちろん、様々な素材の育苗ポットが置いてあります。素材はビニール製やポリエチレン、ウッドパルプなどがあり、カラーも赤・青・黄・白など種類は豊富で、植える苗によって使い分けてもよいでしょう。
ポリポット
育苗ポット 東海化成 TO ポリポット 7.5cm 100枚入
参考価格: 255円
一般的によく使われているポリポットで、軽くて使いやすく低価格となっています。サイズは色々ありますが、サイズが大きいと土もたくさんいるということを簡単に覚えておきましょう。
トレーポット
育苗ポット連続土詰器 スピードポッター L50P(15cm・16.5cm丸型ポット用) 標準穴タイプ
参考価格: 18,647円
大量に種をまきたいときに向いている、連続型のトレーポットです。一度に持ち運びができるので移動もかんたんにできますが、土の量が少なく栄養が足りないため、芽を出した後に通常の育苗ポットに植え替える必要があります。
ジフィーポット
メーカー入替商品のため特価 サカタのタネ ジフィーポット 丸型8cm 30個入
参考価格: 400円
苗をポットから取り出すことなく、直接土にに植え付けることができる育苗ポットです。ポットはやがて土に還るため、植え替える際の根切りのリスクを減らすことができますが、再利用ができないためやや価格が高くなります。
育苗トレー
リッチェル 育苗箱51型 ブラック(BK)
参考価格: 329円
仕切りが無いタイプの育苗トレーです。小さな種をすじまきしてから、間引きをして育てるタイプの種のときに使うとよいでしょう。同じトレー上で複数の種類の種をまくこともできます。園芸用のトレーが使いやすいですが、浅めの木箱などでも代用可能です。また、水はけには注意しましょう。
育苗ポットの使い方
育苗は、ただポットに種をまいておけばいいというものではありません。適正な時期に適正なポットを使い、肥料や温度、水分に十分注意して丈夫な苗を育てることを目標にしましょう。ポットは種まき用に使うことが多いですが、トレーに種まきをしてある程度大きくなったらポットに植え替えるという使い方もできます。
使い方①野菜の苗を育てる
野菜の種の袋に、お住まいの地域での種まきの適期が書かれているので、時期を外さないように注意してください。育苗ポットはやがては畑に植え付けるというのが前程になっているので、畑の準備から逆算して種まきをしましょう。また野菜でもポットまきには向いていないものもあります。
ポットまきに向いているもの | キュウリ・トマト・ゴーヤ・白菜・キャベツ・ブロッコリー・ピーマンなど |
ポットまきに向いていないもの | ジャガイモ・人参・大根・ほうれん草・水菜・さつまいもなど |
使い方②花を育てる
花の苗はデリケートなものが多く、直まきすると風雨にさらされて十分に成長できずに枯れてしまう可能性があるため、ポットで温度管理をして丈夫な苗にした方がよいでしょう。花の中には移植を嫌う種類もあるため、ポットまきには向いていないものもあります。
ポットまきに向いているもの | アジサイ・キンギョソウ・キンセンカ・クレマチスなど |
ポットまきに向いていないもの | ひまわり・アサガオ・スイートピー・カスミソウなど |
使い方③その他の植物を育てる
樹木や観葉植物は成長するのに時間がかかるため、まずはポットまきをして発芽してから大きめの植木鉢などに植え替えて、十分に育ってから植え付けた方がよいです。柿や桃などの果物も育てることは可能ですが、大きくなるまで数年かかることもあるので管理しやすくしておきましょう。
使い方④底穴の効果的な使い方
育苗ポットには底に穴が開いているものが多いですが、穴が開いていると土が流れてしまうのではないかと心配なかたもおられるかもしれません。地面に置いたまま土を入れる、底に手を当ててこぼれないようにする、穴の部分に腐葉土を敷いてから土を入れるとこぼれにくくなるのでぜひお試しください。
底穴の効果<水はけ>
ポリポットは水分が逃げにくい素材なので、底に穴が開いていないと水が底に溜まってしまいます。ぬるくなり汚れた水は植物の根を腐らす原因になるので、底穴が必要なのです。
底穴の効果<通気性>
ポットに種まきをすると、やがては芽を出し根も伸びてきます。植物は呼吸をしているため、底穴がないと息ができずに十分に成長できません。通気性の悪いポリポットを使う場合は、底穴が必要であることを覚えておきましょう。
育苗ポットは代用品でも可
育苗ポットは市販されているものでも構いませんが、数個単位で販売していることが多く、あまりたくさんは必要ないというかたもいるでしょう。基本的には育つまでの短期間しか使わないので、代用品を使うのも一つの方法です。また一般的なポリポットは耐久性があまりないので、使い回しすぎないようにしましょう。
代用する場合、底には必ず穴をあける!
代用品は紙コップや新聞紙をポットのような形に折り畳んでも使えます。底に水がたまると根腐れを起こすことがあるので、紙コップなら底に数か所、穴を開けるようにしましょう。新聞紙の場合は穴をあける必要はなく、新聞紙全体を濡らせば大丈夫です。破けないように適度な厚さを保ちましょう。土がこぼれない程度の深みのある発泡スチロールのトレーでも代用できます。
育苗ポットのメリット・デメリット
育苗ポットのメリット
育苗ポットを使ったときのメリットは、温度や水分補給の管理がしやすい点です。風雨の強い日や気温の低い日などに容易に移動できて、強い苗を作ることができるでしょう。また一度にたくさんの苗や種類の違う苗を育てることができるのもメリットといえます。
育苗ポットのデメリット
育苗ポットを使ったときのデメリットは、土や肥料が少ないぶんそのままでは長く栽培できない点です。ある程度までは大きくなりますが、根がそれ以上伸びることができないので成長に限界があります。適正な時期に、畑や植木鉢などに植え替えなければいけないということを覚えておきましょう。
まとめ
野菜づくりの喜びは、芽が出たときと収穫できたときです。育苗ポットは野菜や花を種から作ってみたいというかたでも管理しやすく、大きさや素材も色々とあるので、ぜひ上手に使って立派な野菜や花を育ててみてください。