カシワとは?葉や樹皮やドングリの特徴をご紹介!「柏」との関係は?

カシワとは?葉や樹皮やドングリの特徴をご紹介!「柏」との関係は?

カシワはブナ科の樹木で秋に色づく落葉広葉樹ですが、冬になっても枯れた葉を落とさず新芽がでるまで葉を残す特性を持ち、葉を残す特性は縁起や伝承の元になっています。ここではカシワの特徴や和名の由来、栽培のポイントなどを紹介していきます。

記事の目次

  1. 1.カシワとは?
  2. 2.カシワの基本情報
  3. 3.カシワの和名
  4. 4.カシワの特徴①葉
  5. 5.カシワの特徴②樹皮
  6. 6.カシワの特徴③果実(どんぐり)
  7. 7.カシワ栽培のポイント①栽培カレンダー
  8. 8.カシワ栽培のポイント②日当たり
  9. 9.カシワ栽培のポイント③水やりと肥料
  10. 10.カシワ栽培のポイント④植え付け
  11. 11.カシワ栽培のポイント⑤剪定
  12. 12.柏の木と柏餅の関係
  13. 13.まとめ

カシワとは?

ブナ科の樹木「カシワ(柏・槲)」

丸いどんぐりの実をつけるカシワ(柏・槲)の木は、クヌギやコナラと同じブナ科の樹木で、秋になると紅葉する落葉広葉樹です。一般的に落葉広葉樹は冬が近づくと葉を落としますが、カシワは春まで葉を落とさずに冬越しします。手のひらを広げたような大きい葉は、柏餅や料理の盛皿として使われています。

カシワは縁起のよい木

出典:写真AC

枯れた葉をつけたまま越冬し、春に新葉と入れ替わることから、絶えず世代を継いでいく「家運隆盛」を象徴する樹木とされています。また、一年中葉をつけたままの姿が「葉を守っている」ようにみられ、「葉守りの神」が宿るという言い伝えもあります。

カシワの基本情報

出典:写真AC

カシワ
名前 カシワ(柏、槲)
英名 Daimyo oak
学名 Quercus dentata
分類 ブナ科/コナラ属
原産地 日本、台湾、朝鮮半島、中国
樹高 15m~20m

カシワの原産地

日本、台湾、朝鮮半島、中国などが原産地のカシワは、寒暖の差がある場所でも成長できる丈夫な樹木で、内陸だけでなく火山地帯や海沿いにも自生しています。その丈夫さから、北海道では家屋や農地を守る防風林として植樹されています。

カシワの和名

「柏」と「槲」ともに訓読みが「かしわ」のため、どちらもカシワの木の和名になっています。ですが「柏」はヒノキ科の常緑樹を総称し、「槲」はブナ科の落葉高木を総称する意味もあります。英名は「Daimyo oak」と呼ばれ、カシワの木はオーク材として建築や家具材に使われています。

カシワのオーク材は、堅く美しい木目があるのが特徴!

ボタニ子

ボタニ子

アンティークの椅子や家具にも、カシワのオーク材が使われています。

そのほかの用途

カシワ材には建材や家具材以外にも、線路の枕木・炭材・しいたけの原木などの用途があり、珍しい例ではワインやウィスキーなどの樽材として用いられることもあります。

カシワの特徴①葉

カシワは枝に対して交互に葉をつける互生で、ひとつの節から数枚の葉が伸びていきます。葉の大きさは12cm~32cmと大きく、葉柄や葉裏にはびっしりと短毛があり、葉の縁はゆるやかな波状の鋸歯になっています。カシワはコナラとの交雑種も多く、交雑したものは縁の波が鋭角になっているものや、鋸歯が短いものなど葉に少し変化があります。

落葉の時期は?

冬のあいだも枯れた葉をつけたままのカシワは、春の新芽が出揃うころにようやく葉を落とします。冬期も葉が残っていることで、冬の冷たい風や潮風、乾燥などから冬芽が守られ、落葉した葉は分解や地中への吸収が早くなっています。

春まで葉を残す性質のことを「枯凋性(こちょうせい)」といいます。

ボタニ子

ボタニ子

枯凋性は動物たちの食害から、枝や新芽を守る効果もあります。

カシワの特徴②樹皮

出典:写真AC

若木の幹はつるりとして溝はありませんが、成長するごとに樹皮に亀裂が入り縦に無数の溝ができます。樹皮の色は灰褐色や黒褐色で、カシワの樹皮は分厚いのが特徴。幹は成長すると太さが60cm、高さが15m~20mになるため、冬に葉をつけたままの姿はほかの樹木の中にあっても目立ちます。

樹皮の特性

カシワの樹皮には最高級のタンニンが含まれ、漁業網や皮なめしの染料として使われてきました。北海道ではタンニン採取の目的でたくさんのカシワの木が伐採され、一時期樹木が減少したこともあります。

カシワは葉にもタンニンが含まれ、葉を利用したカシワ茶には抗酸化作用があります。

ボタニ子

ボタニ子

カシワ茶は香りがよく、渋みが少ないのが特徴です。

カシワの特徴③果実(どんぐり)

カシワの果実は丸い形のどんぐりで、皮はとても堅くつやがあります。カシワのどんぐりはたくさんの突起がついた帽子のようなものをかぶっていますが、帽子の突起は葉の変形したもので「苞片(ホウヘン)」と呼ばれ、帽子のことを「殻斗(カクト)」と言います。殻斗は果実全体に栄養を送る役目を果たしています。

カシワとクヌギのどんぐり

見分け方

  • カシワ…雌しべの残りが細く長く伸びている。
  • クヌギ…雌しべの残りに長さはなく、どんぐりの先端に小さくついているだけ。

カシワのどんぐりに似ているのが、クヌギのどんぐりです。どんぐりはおしりの側が丸く、もう片方は尖って先端に小さな突起がでています。この小さな突起は雌しべの残りで、カシワとクヌギはこの突起の長さでそれぞれを見分けます。

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カシワ栽培のポイント①栽培カレンダー

5月~6月に咲くカシワの花の雄花は、垂れるようにして咲く特徴があります。

ボタニ子

ボタニ子

雄花の色は淡い黄緑色で、雌花はピンク色や赤色、どちらも枝にかたまってつきます。

カシワ栽培のポイント②日当たり

カシワの適地

カシワは日当たりがよく、少し湿った場所を好みます。樹高が高くなるので地植えで栽培するさい、ほかの植物がカシワの木によって日光がさえぎられるのを考慮し、少し離れた場所に植えるようにしましょう。

カシワ栽培のポイント③水やりと肥料

水やり

植え付け後、土の表面が乾いたら水やりし、しっかりと根付いてからは水やりの必要がありません。

肥料

肥料も植え付け用土に加える程度で、植え付けてからはとくに施肥の必要はありませんが、冬季に寒肥としてチッ素成分の多い肥料を与えることができます。

寒肥は与えすぎると枝ぶりが乱れるので控えめにしましょう!

カシワ栽培のポイント④植え付け

カシワ (柏の木)

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植え付けの時期は3月~5月と9月~10月の年に2回ありますが、気温の低い地域は春に植え付けし、暖かいうちにあるていど樹木を成長させて、冬の寒さにも耐える幹に育てます。

植え付けの注意点

  • 1~2週間前に植え付ける場所の土を掘り起こし、油かすや鶏ふんを混ぜて寝かせる。
  • 土が固いときは植え付けの1週間前に腐葉土を混ぜておく。

カシワ栽培のポイント⑤剪定

カシワの剪定は、樹高を適度な高さに調整する芯止めの役割と、伸びすぎた枝を切り樹木の形を整える役目があります。剪定に適した時期は11月中旬から3月の中旬まで、春に伸びた枝は成長が止まる7月に剪定します。

とくに剪定したほうがよい枝は、胴吹き枝(幹から直にでてくる枝)と、ひこばえ(根元近くから伸びる枝)です。

ボタニ子

ボタニ子

胴吹き枝やひこばえを見つけたら、できるだけ早く枝の付け根を切り落とし、樹形が崩れないようにしましょう。

柏の木と柏餅の関係

柏餅を包む葉用に柏の木が栽培されていますが、国産の柏の木は生産量が少なく、柏餅用の葉は中国や韓国産のものが多くなっています。柏の木にはたくさんの葉がつきますが、形がいびつなものや虫食いもあり、菓子用に使う形の整ったものは少なく、1本の木から綺麗な形の葉が数枚しか収穫できないこともあります。

収穫量が少ないカシワの葉の代わりに、柏餅用としてサルトリイバラの葉が使われています。

ボタニ子

ボタニ子

カシワの葉はざらざらしていますが、サルトリイバラの葉はつるつるしているのが特徴。いつも食べている柏餅の葉がどちらか、食べるときにチェックしてみてね!

まとめ

出典:写真AC

カシワの木は落葉広葉樹でも葉を落とさない、不思議な特徴をもった樹木。葉を落とさない特性は枯凋性と呼ばれ、冬のあいだ風や乾燥、動物たちの食害からから芽や枝を守っています。カシワの堅い樹木は建材や家具材などの用途があり、大きな葉は柏餅を包むなど、カシワの木は身近な生活にとても馴染んだ樹木といえ、樹高が高くなるため植木鉢などで栽培することはできませんが、日当たりがよい場所に植樹し剪定などの手入れをすれば丈夫に育てることができます。家運を守る縁起のよいカシワの木を庭木として植える場合は、樹高を考慮しほかの植物と離して植樹してくださいね。

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Lemona
ライター

Lemona

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