アセビ(馬酔木)の毒性
アセビの毒性はとても強く、大型の動物でもアセビの毒にあたると体調不良を引き起こします。人間での死亡例はほぼありませんが、間違えて食べてしまうとひどい下痢や腹痛などを引き起こすこともあるようです。古代中国や日本では家畜が中毒死する事件もありました。ここでは、馬酔木の毒性などについてご紹介します。
毒のある部位
毒のある部位は、葉、枝、茎、花、根と全てです。しかし、花と葉ではふくまれている有毒成分が全く変わっています。葉には苦味質アセボトキシンという毒がふくまれていて、これはツツジ科の植物に多い毒です。花にも、クエルセチンという麻痺を引き起こす毒がふくまれています。
有毒成分は、葉には、苦味質アセボトキシン、グラヤノトキシンⅢ、アセボチン、アセボクエルチトリン 花には、クエルセチン、特に毒性の強い、ピエルストキシンA.B.C
同じ成分を持つ植物
同じ成分の毒を持つ植物に、ハナヒリノキがあります。ハナヒリノキはアセビと同じツツジ科の植物で、持っている毒も同じ系統の植物です。ハナヒリノキは蛆虫の駆除などにも使われますが、食べてしまうと吐き気や下痢を引き起こしてしまいます。
毒による症状
誤って毒を摂取してしまうと、まずは腹痛や嘔吐などの症状が出ることが多いようです。次に腹痛による下痢が起こり、ひどい場合には呼吸麻痺を起こして死亡してしまう可能性もあります。アセビにふくまれているピエルストキシンはとても毒性が強く、足などに強く作用して四肢麻痺などの症状が起こることもあります。しかし、致命的になることは少ないといわれています。
採食後数時間で発症し、嘔吐や泡沫性流涎を起こし、軽症では、沈衰、四肢開張、蹌踉、知覚過敏となります。また重症では、四肢の麻痺、起立不能、さらに間歇性の疝痛、腹部膨満、呼吸促迫、脈の細弱不整、そして全身麻痺に陥る場合もあります。
古代での馬酔木
古代中国で、アセビはとても珍しい植物とされていました。そのためアセビの毒性も詳しく知られておらず、一時期はアセビを食べた馬や牛の大量死も起こったようです。もっとも多く死んでしまったのは羊で、これは致死量が0.01gととても低いことによります。
毒の特徴を利用する
とても強い毒性を持つアセビですが、その毒は害虫駆除に利用されています。茎と葉に害虫を駆除する成分がふくまれていることがわかり、水で煎じたものを駆除薬として使用されているのです。この駆除方法は1800年代から確認されていて、本草綱目啓蒙という本でも「煎じた液を庭にまけ」と記されています。
まとめ
アセビは強い毒を持つ植物で、食べれば嘔吐や下痢などを引き起こしてしまいます。しかし食べさえしなければ、盆栽や街路樹として花を楽しめる植物です。毒性の知識を活用して、馬酔木に正しい対応してください。
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