ギンモクセイ(銀木犀)とは
ギンモクセイは中国原産のモクセイ科の常緑樹です。雌雄異株で、開花時期を迎えると雄株には雄花が、雌株には雌花が咲きます。花はよい香りをもっていますが、同属の植物・キンモクセイほど強くはありません。芳香を放つ庭木が欲しいけれど、キンモクセイほど強い香りは好まないという方におすすめの品種といえるでしょう。
日本にあるギンモクセイは、ほとんどが雄株なんだ。だからギンモクセイが雌雄異株だということは、意外と知られていないんだよ。
基本情報
学名 | Osmanthus fragrans |
科名 | モクセイ科 |
属名 | モクセイ属 |
英名 | Silver osmanthus, Fragrant olive, Tea olive, Sweet olive |
原産地 | 中国 |
開花時期 | 9月~10月 |
花色 | 白 |
名前の由来
「モクセイ(木犀)」とは、動物のサイの皮膚という意味です。モクセイ科の樹木の樹皮の模様が、サイの皮膚に似ているため、この名前がつけられました。ギンモクセイ(銀木犀)の「ギン(銀)」は、ギンモクセイの花が白いことに由来しています。
キンモクセイ(金木犀)の「キン(金)」は、キンモクセイのオレンジの花色を、黄金色に見立てたものです。
ギンモクセイの特徴
特徴①キンモクセイの原種
モクセイ(木犀)といえばギンモクセイ
モクセイ科モクセイ属の植物としては、キンモクセイのほうが有名ですが、実はキンモクセイはギンモクセイの変種です。つまり同属の植物としては、ギンモクセイのほうが先輩になります。そのため園芸・造園業界では単に「モクセイ(木犀)」というと、ギンモクセイを指すことが多いです。
特徴②丈夫で育てやすい
シンボルツリーや生垣に利用
生育旺盛で育てやすい常緑樹であることから、古くからシンボルツリーや生垣に利用されてきました。開花時期に入ると白く小さな花をたくさん咲かせます。満開時は葉の緑によく映えて美しい光景を見せてくれますよ。キンモクセイに比べると控えめな芳香も、白い花の清楚な魅力をいっそう引き立てるでしょう。
キンモクセイ(金木犀)との違い
ギンモクセイとキンモクセイは名前も見た目もよく似ています。その理由は、キンモクセイがギンモクセイの変種だからです。花色だけが違うと考えられがちですが、両種をよく見比べてみると、ほかにも違いがあります。
違い①花
両種のわかりやすい違いは花です。開花時期はどちらも9~10月ごろですが、花色と花の数が違います。キンモクセイは黄色またはオレンジ色ですが、ギンモクセイは白、または象牙色です。花の咲き方や数も違います。また、キンモクセイは小さな花が密集しているような咲き方をしますが、ギンモクセイは小枝の先端に1つずつ咲かせるのが特徴です。花数はギンモクセイのほうがやや少ないとされています。
違い②香りの強さ
ギンモクセイの花からはよい香りが漂いますが、キンモクセイほどの強さはありません。近づいてほんのり香る程度です。そのため、キンモクセイの芳香が香水や消臭剤など、幅広く利用されているのに対して、ギンモクセイの芳香はほとんど利用されていません。
ギンモクセイの香水の作り方
ギンモクセイの香りを使ったアイテムを作ることは可能です。香水を作ってみるのもよいでしょう。
- 花を摘み、ゴミや汚れを取り除いておく
- 密閉できるガラスの空きビンに、花を半分ほど入れる
- 花を入れた容器いっぱいに無水エタノールを注ぐ
- ビンが透明な場合は、アルミホイルを巻いて遮光する
- 蓋をしっかりと閉めて、冷暗所で2カ月以上寝かせれば完成
香水の香りが強過ぎる場合は、精製水で薄めようね。あとは保存に注意しよう。
香水以外ではポプリもよいでしょう。ただし、ギンモクセイは乾燥させると香りがとんでしまいます。作るならモイストポプリがおすすめですよ。
違い③葉
ギンモクセイとキンモクセイの葉も一見すると似ていますが、よく見るとキンモクセイの葉の縁はギザギザがありません。一方、ギンモクセイの葉の縁には細かいギザギザがあります。ちなみに両種に似ていますが、葉の縁に遠目でも分かるくらいの荒いギザギザがあるのは「ヒイラギモクセイ」という別種の植物です。間違えないように注意しましょう。
ギンモクセイの花言葉
ギンモクセイの花言葉は、「初恋」「高潔」「唯一の恋」「あなたの気を引く」です。「初恋」「高潔」「唯一の恋」は、白い花の持つ清廉で高潔なイメージに由来しています。「あなたの気を引く」は、昔の中国の風習が由来です。その昔、中国の美女はデート前にモクセイの花を入れた酒を飲み、甘い香りをただよわせました。そのため、ギンモクセイには恋愛に関係する花言葉が多いのです。
キンモクセイの花言葉は?
キンモクセイの花言葉は「謙虚」「謙遜」「気高い人」「真実」「陶酔」「初恋」です。「真実」「陶酔」「初恋」は、キンモクセイの強い香りが由来です。強い香りで開花時期がすぐにわかることから「真実」、一度嗅いだら忘れられない、うっとりするような甘い香りから「初恋」と「陶酔」の花言葉が生まれました。「気高い人」は、すべての花が潔く散る特徴が由来です。
「謙虚」「謙遜」の花言葉は、強い香りに対して、花は小さくて控えめな印象があることが由来だよ。
花言葉まとめ
- ギンモクセイの花言葉:「初恋」「高潔」「唯一の恋」「あなたの気を引く」
- キンモクセイの花言葉:「謙虚」「謙遜」「気高い人」「真実」「陶酔」「初恋」
出典:写真AC