かわいらしいアッツ桜とはどんな花?
アッツ桜とは春先に咲く6弁の花びらを持ったピンクの小さな花です。育てやすく可愛いアッツ桜ですが、その特徴と育て方のコツを紹介します。
アッツ桜の学名や分類
アッツ桜 | ロードヒポキシス |
学名 | Rhodohypoxis |
多年草 | 被子植物・春植え球根植物 |
コキンバイザサ科 | |
開花 | 春 |
耐暑性 | 普通 |
耐寒性 | 普通 |
用途 | 地植え・鉢植え |
アッツ桜の特徴は
アッツ桜は育てやすく、耐暑性も耐寒性も持ち合わせています。そして冬の終わりか早春に球根を植え付けると春に咲き、冬に休眠するという典型的な春植え球根です。全体的な毛が生えていて、5~8cmの葉をはやし、その間から花茎を伸ばして2cmぐらいの小さい花を咲かせます。
アッツ桜の名前の由来は
アッツ桜の「アッツ」というのは「アッツ島」原産という意味ではありません。ではアッツ桜とはどこから来たのでしょうか。太平洋戦争時に付けられたと言われ、どれも悲しい記憶からなので洋名の「ロードヒポキシス」と呼ぶ人も多いです。
アッツ桜とはどこから来たのか? の2つの説
- アッツ島(太平洋にある)を占領した時、国内が勝利ムードにつつまれ、それに便乗して付けられた
- アッツ島を奪還された時に日本軍が玉砕した事を悼んで付けられた
洋名ロードヒポキシスの由来
アッツ桜の洋名ロードヒポキシスの由来ですが、「ロード」とはギリシャ語で赤やピンク色という意味の「ロードン」、「ヒポキシス」は「コキンバイザサ」を意味しています。コキンバイザサは黄色い花を咲かすことから、ロードヒポキシスは「赤いヒポキシス」つまり「赤色のコキンバイザサ」ということを表しています。
アッツ桜の花の特徴は
アッツ桜は春先の4月に開花します。桜と名前につきますが、花びらが5弁の桜の花とは違い、アッツ桜は小さいピンク色の6弁の花です。一見おしべとめしべがありません。よく見ると花びらで隠されているかのように小さいおしべとめしべが見えます。最近では品種改良により、白い花や覆色のもの、八重咲きなど色々な種類の花があります。
アッツ桜の種類(5種)
日本には大正時代から昭和初期の頃にイギリスから持ち込まれたと言われています。その後さまざまな品種改良がなされ、ピンクだけでなく白い花やストライプの花、八重咲きなど種類もどんどん増えています。最近では葉に斑入りのものまであります。個別に名前がついたアッツ桜は少なく、たいていは「アッツ桜白」のようにアッツ桜と色表記ものもが多いです。このうちの5種類をご紹介します。
種類① ルビーの輝き
個別に名前がついているアッツ桜の中でも有名な品種です。このルビーの輝きは花色がルビーのように赤く本当に輝いているようです。また抱え咲きという変わった咲き方をするアッツ桜です。
種類② アッツ桜ダブル
可愛らしい八重咲きのアッツ桜です。これは淡いピンク色ですが、濃いピンクのものや、白い花のものもあり、絵に描いたような花姿のアッツ桜とはがらりと雰囲気が変わります。ひらひらと女性的な花姿です。
種類③ ピンクレディ
ピンクレディも品種名がしっかり明記されたアッツ桜です。花の形状が他のアッツ桜のように厚めの丸い花弁ではなく、細長い花弁になっています。可憐で少しはかなげな花姿です。
種類④ アッツ桜白
白いアッツ桜です。アッツ桜の原種には白く細めの花弁を持った種類がありますが、こちらは普通のアッツ桜の純白色の花色です。可憐で、「愛を待つ」という花言葉が浮かんでくるような花です。
種類⑤ ストライプ
こちらは個性的な花色のアッツ桜です。このようにストライプのようにピンクに白い線が入っているアッツ桜もありますが、白地にピンクのふちのある覆色のものもあり、かなり華やかな雰囲気のアッツ桜です。
アッツ桜の花言葉
アッツ桜の花言葉は「可憐」「愛を待つ」「はかない恋」「無意識」です。「可憐」は可愛らしい花姿からとられたものです。「愛を待つ」は6弁の花びらが互い違いについていることからとられたと言われています。「はかない恋」「無意識」は花姿が小さくて、1輪だけ咲いていると、頼りなく見えることからと想像できますね。しかし春先にたくさん咲いたアッツ桜の鉢植えをプレゼントする時は、「可憐」のイメージそのものです。
アッツ桜の栽培方法
日本の気候の特徴である夏の高温多湿や冬の寒さとは相性が良くないですが、どちらも置き場所に気をつけてきちんと管理をすれば簡単に育てることができます。ポイントを見てみましょう。
アッツ桜の植え付け
花芽が付いたアッツ桜の鉢は4月ごろに出回ります。球根はもう少し早い冬の間に売り出されます。球根は2~3月が植え付けに適した時期です。山野草向けの用土を用意するといいですね。自分で用土を配合するのならば、鹿沼土に赤玉土、腐葉土やピートモスなどを混ぜて水はけを良くしましょう。その際、元肥も用土に入れておきましょう。
鉢植えの方が管理・栽培しやすい
鉢植えの方が管理・栽培しやすいですが、霜が降りたり凍ったりしない地域では地植えにしても大丈夫です。小さい花なので間隔は狭いぐらいの方が咲いたとき綺麗です。また球根は上に分球するので深さを2~3cmぐらいの深めに植えつけましょう。
アッツ桜の季節ごとの栽培管理
① 春の管理
植え付け後、たっぷり水をやって暖かく日当たりの良い場所に置いて管理します。発芽した後も十分に日光に当てるようにしましょう。水やりは湿気に弱い性質があるので、土の表面が白く乾いてから水やりをします。肥料は発芽後、月に2回ぐらい液肥をやりましょう。花がらは切り取ります。
② 夏の管理
高温多湿を嫌うので、風通しの良い半日陰で管理しましょう。もちろん西日にも十分注意し、できるだけ涼しく夏を越せるように管理します。水切れにも水やりのしすぎにも注意しましょう。
③ 秋の管理
11月下旬頃、気温が下がってくると葉が黄色になってくるので、水やりの回数を徐々に減らして休眠の準備を始めます。球根を掘り上げなくても凍らなければ屋外で越冬できますが、凍結する地域では葉が枯れた後掘り上げて凍らないような低温で越冬させます。掘り上げた球根はおがくずなどに入れて極度に乾燥しないようにしましょう。
④ 冬の管理
寒さに弱い球根植物だからといっても、アッツ桜は室内管理をして休眠期に10度以下にならないと次の年に花を咲かせないという性質があります。5~8度の低温に6週間ぐらいおいて越冬させないと花芽を形成しません。さらに乾燥を嫌うので、掘り上げた場合も用土で休眠させていても適度に湿らせておきましょう。萎びたり枯れたりしてしまいます。うまく越冬させて春先にかわいい花を咲かせましょう。
アッツ桜の病害虫
特に病害虫の心配はありません。害虫や病気のことを常に心配しなくても大丈夫です。ただ開花後の花がらを放置してかびたり、水やりの回数が多いと用土にコケがはえたりするぐらいです。
アッツ桜を球根からうまく育てるコツ
アッツ桜は球根植物で、よく分球して増えます。育て方のまとめと合わせて増やし方のコツをまとめます。
- 植え付けは3月まで。水はけの良い用土に2~3cmの深さで植えつける
- 分球は無理にわけず、分かれるように分ける
- 発芽後~梅雨前と秋はしっかり日光に当てる
- 真夏は日陰などあまり日光に当たりすぎないよう注意する
- 水やりは土の表面が乾いたらしっかりまく
- 開花後は病気予防と見栄えの点から花がらを切り取る
- 冬は休眠しますが球根が凍らない地域はそのまま屋外管理
- 球根が凍る地域は掘り上げておがくずなどでくるんで低温管理
- 球根は乾き過ぎないように、時々湿らせる
- 5~8度で6週間ぐらい管理すると花芽ができる
まとめ
アッツ桜の特徴や球根植物としての栽培方法をご紹介してきました。育て方は発芽後から日光の当て方、水遣りの仕方、温度管理さえ間違わずにできたら初心者でも簡単にできそうでした。山野草のように小さい鉢に1球植えるのもしっとりと美しいですが、平鉢に群生させるのも大変綺麗です。ぜひ、チャレンジしてください。
出典:BOTANICA