カイヅカイブキ(貝塚伊吹)とは
カイヅカイブキ(貝塚伊吹)は、庭木や公園に植えられることの多い樹木です。丈夫さと幅広い用途で、植栽で人気があります。名前の「貝塚」は大阪にある貝塚に由来するという説があります。関西のほうで植えられた樹木が太平洋沿岸を中心に広まっていきました。
カイヅカイブキの種類と特徴
カイヅカイブキは、樹形が特徴的です。成長する枝が、幹に沿うようにらせん状に伸びていくため、まるで「火が燃え盛っている」ような樹形をしています。一般的なイブキと比較して葉が柔らかくて細いのも特徴のひとつです。カイヅカイブキ以外にも、ヒノキ科ビャクシン属の植物で園芸に利用される品種は多数存在します。
和名 | カイヅカイブキ(貝塚伊吹) |
学名 | Juniperus chinensis kaizuka |
科名 | ヒノキ科 |
原産地 | 園芸品種 |
大きさ | 樹高2~5m |
種類①ハイビャクシン
ハイビャクシンはヒノキ科のビャクシン属の常緑針葉樹です。葉が硬く、先端が尖ってるのが特徴です。原産国は北朝鮮で、日本では一部の海岸部自生しています。育成に手間がかからない植物ですが、乾燥を嫌います。育てる場合は、湿度が保てる日当たりがよい場所を選びましょう。
種類②ミヤマビャクシン
ミヤマビャクシンは高山の岩場に生えている植物です。北海道の山岳地帯から中部地方にまで広く分布しています。乱獲された結果、個体数が少なくなりました。葉は針葉樹のように尖っており、成長すると鱗方葉(りんぺんよう)になる傾向があります。
種類③タマイブキ
タマイブキは、丸く玉状に茂るのが特徴的な植物です。カイヅカイブキは大きいもので10mくらいに成長するのに対し、タマイブキは育てても1mほどにしかなりません。コンパクトな低木でかわいらしく、庭木にぴったりな種類です。
種類④ハイネズ
ハイネズは、2cm程度の針状の葉が特徴です。高さ10cmくらいの低木で地面を這うように育ちます。常緑樹として利用しやすい種類です。庭植えにする場合が多く、洋風の庭のグランドカバーによくあいます。乾燥した寒冷地を好み、湿地での栽培は向きません。ブルーパシフィックが代表種です。
種類⑤コロラドビャクシン
コロラドビャクシンは、円錐状に広がるフォルムが特徴的な高木です。園芸品種が多く、品種にもよりますが、ブルーヘブンやスカイロケットは樹高5mくらいまで伸びます。雪が積もる地域では、枝が割れてしまうことがあるので冬囲いが必要です。
種類⑥ニイタカビャクシン
中国の高山に分布するニイタカビャクシンは、樹高1m程度の低木です。ハイネズよりも樹高が高くなりやすいので、腰くらいの高さを望むならニイタカビャクシンを植えるとよいでしょう。ブルーカーペットやブルースターなどの園芸品種が人気ですが、より樹高が低い品種もあります。
種類⑦エンピツビャクシン
エンピツビャクシンはアメリカ中部から東部などに広く分布する、高さ12~18mの高木です。庭木や公園の植栽として用いられる樹木で、鉛筆の材料として最適とされます。また近年ではシダーオイル(シダーウッド)の原材料として使われています。
カイヅカイブキは生垣におすすめ
カイヅカイブキは枝と葉が密集していてボリュームがあり、垣根に適した植木です。まっすぐなラインが美しい生垣が作れます。しかし、美しい垣根をキープするには定期的な剪定が必要です。枝を放置し伸ばし続けると生垣の形が崩れてしまいます。
生垣にしたカイヅカイブキの剪定方法
カイヅカイブキを剪定するなら、伸びた新芽を手で摘む方法が木を傷めません。剪定ばさみの利用も可能です。伸びた新芽の部分を生垣の形にそって切りましょう。カイヅカイブキは葉のついていない枝が枯れやすくなります。自分で剪定するときは、伸びた分だけ枝を切るこまめな手入れがおすすめです。
剪定図解のような剪定をするには?
市販の剪定図解を使って、自分で生垣の形を作りたい人もいるでしょう。しかし、初心者の場合は図解を参考に生垣を作る大きな刈込みは難しいといえます。自分では伸びた部分をカットするこまめな剪定を行い、3年に1回程度はプロに頼んで樹形を整えましょう。
カイヅカイブキの剪定時期
カイヅカイブキなどの常緑樹を剪定したい場合は、5~6月ごろがおすすめです。新芽が吹き始める時期が5月にあたるからです。育ちすぎた樹形をきれいに整えたい場合は、春~秋の育成がさかんになる時期に剪定しましょう。
カイヅカイブキで注意したい病気
カイヅカイブキは、赤星病にかかることがあります。4月~6月の雨の降った後、枝などに寄生した菌が膨らんで太い突起物になってしまいます。一度菌がついたら風などでばらまかれてしまい、新たな部分が病気になる可能性があるため注意が必要です。
病気を防ぐ方法
赤星病は果樹園に感染する病気です。梨やリンゴの木が周辺にある場合、ビャクシン類を植えるのはおすすめしません。万が一病気になったら薬剤を散布します。感染して初期なら、薬剤の散布で効果が期待できます。症状が出てしまった場合は、葉を切り落とし、感染拡大を防ぎましょう。
カイヅカイブキを生垣として育ててみよう
カイヅカイブキは水やりなどの手間がかからず、丈夫で育てやすいのが特徴です。成長が早いため剪定の必要はありますが、庭木の手入れが好きならば楽しんで管理できるでしょう。生垣を作ろうと考えている方は、ぜひ候補のひとつに加えてください。