チャービルとは
チャービルはハーブの一種
そもそもハーブとは、葉や茎、花などを薬や香料として用いてきた植物のことです。チャービルはそのハーブの一種で、セリ科の一年草です。中東ないしコーカサス地方原産といわれますが、ヨーロッパで広く親しまれ、現在では一部野生化しているほどです。古代ローマ時代にはすでに食用にされていたという、歴史の古いハーブです。
セルフィーユとは
セルフィーユというのは、チャービルのフランス名です。フランス料理に詳しい方は、セルフィーユという名前のほうが親しみがあるかもしれませんね。セルフィーユはフランス料理には欠かせないハーブのひとつで、ハーブをみじん切りにしたフィーヌゼルブには、よくセルフィーユが使われています。
美食家のパセリ
チャービルの香りは繊細で、かすかに甘い香りが混じり、ヨーロッパでは「美食家のパセリ」と呼ばれ親しまれています。さわやかなやさしい味わいで、パセリよりもマイルドな香りと風味です。見た目にも繊細で美しく、チャービルを加えることで、料理をワンランクアップさせることができます。
チャービルの効能とは
ハーブはそれぞれ、様々な効能を持っています。チャービルにはどのような栄養や効能が詰まっているのでしょうか?
チャービルの栄養
チャービルには、疲労回復に役立つビタミンB群や、美肌作りに欠かせないビタミンCなどのビタミン類が豊富に含まれています。さらに、貧血予防の効果がある葉酸や、カルシュウム、鉄、マグネシウムなどのミネラル類も多く含みます。高血圧予防や利尿効果のあるカリウムや、皮膚を健康に保つカロテンも備わった、栄養豊富な食材です。
チャービルの効能
キリスト教圏では昔から、チャービルは血を清めるハーブとして、復活祭前の四句節の料理に使われてきました。ビタミンやミネラルが豊富なため、疲労回復や高血圧予防、冷え性改善などの効果が期待できます。ハーブティーとして飲めば、消化促進、貧血予防、デトックス効果があります。健康と美容に役立つハーブといえるでしょう。
チャービルの使い方
チャービルには、その特徴を生かした使い方があります。注意点もあわせてご紹介します。
料理に使う
チャービルの特徴はマイルドな香りと、美しい葉型。料理では他の素材を引き立てる名脇役になります。
サラダに
生葉をそのまま使うサラダは、チャービルの特徴を一番よく楽しむことができます。やさしい風味を味わってください。
パスタやスープに
チャービルはパスタやスープにもよく合います。最後に加えることで料理の見た目も香りも、ランクアップします。
卵料理に
チャービルを使ったオムレツは定番です。手早く調理することで、チャービルの香りを残すことができます。また、茎の部分は刻んで入れると食べやすくなります。
ケーキに使う
このように、ちょこんと葉っぱが乗っているケーキを見かけたことはないでしょうか。ケーキやタルトの上によく乗っている緑の葉っぱ。実は、あれがチャービルです。
手作りスイーツにも
ケーキの上にチャービルを乗せるのは、単なる飾りなのですが、パセリやミントよりも香りが穏やかで、ケーキの邪魔をしないためチャービルが好まれるのです。上にチャービルが乗っているのとないのでは、受ける印象がだいぶ違います。そのため、ケーキ屋さんや、手作りスイーツが好きな方はよく、チャービルを育てていることが多いようです。
ハーブティーに使う
フレッシュな生葉、または乾燥させて保存したものをハーブティーとして利用することができます。チャービルだけのハーブティーは、クセがなく、香りもほのかで飲みやすいものです。香りが強くないため、ほかのハーブとのブレンドしたり、紅茶に混ぜてオリジナルティーにするのもおすすめです。
チャービルを使うときの注意点
チャービルは加熱しすぎると香りが飛んでしまいます。香りが飛ばないように、加熱する際は火を通しすぎないように手早く調理しましょう。また、乾燥したものも香りが格段に落ちてしまいます。できるだけフレッシュなうちに使い切りましょう。
チャービルルートとは使い方が違う
日本で見かけることは少ないですが、チャービルルートという品種は根を食します。葉には毒があるので食べられません。少量ですが出回ることもあるので食べ方を間違えないようにしましょう。
チャービルの美味しいレシピ
健康にも美容にも役立つチャービルは、日々の生活に積極的に取り入れていきたいですね。チャービルはどのような食べ方ができるでしょうか。チャービルを美味しく食べるためのレシピをご紹介します。
フィーヌゼルブ
チャービルの代表的な食べ方はフィーヌゼルブです。フランス料理のレシピに頻繁に登場します。オムレツに加えたり、ドレッシングに加えたり、魚や肉のグリルにひとふりすれば、香り豊かなフランスの味を楽しむことができます。
フィーヌゼルブの作り方
3~4種類のハーブをミックスさせてみじん切りにしたものがフィーヌゼルブです。チャービル、イタリアンパセリ、チャイブ、タラゴンなどが定番です。これらを全部みじん切りにして混ぜ合わせましょう。フレッシュハーブで作るのが基本ですが、なければ乾燥ハーブでも。
ハーブバター
チャービルをみじん切りにして、柔らかくしたバターと混ぜます。綺麗に混ざったら、棒状にしてラップに包み、冷蔵庫に丸一日置いて固まらせます。そのままパンに塗ってもいいですし、ソースとして使うこともできます。たくさん収穫した時の保存方法としてもおすすめです。
ハーブマヨネーズ
いつものマヨネーズにチャービルを刻んで加えると、一味違ったマヨネーズの出来上がりです。野菜ディップとして使ったり、ドレッシングやソースの材料としても使えます。手作りマヨネーズを作る際にも、チャービルを加えてみてください。
バナナのフランベチャービル添え
フライパンにバターを溶かし、バナナを入れ、グラニュー糖をふりかけソテーします。焼き色がついたらラム酒を加え強火にします。(炎が上がるので注意!)最後にチャービルを散らして出来上がりです。
デザートに
チャービルの甘い香りはスイーツにもよく合います。ケーキやゼリーのトッピングとして欠かせません。
デトックスウォーター
チャービルのほかに、ミントやレモンバームなどのハーブ、リンゴやレモンなどの果物や野菜を加え、ミネラルウォーターを注いで一晩おくだけで出来上がりです。チャービルに含まれるビタミンCやカリウムを損なうことなく、手軽にとることができ、アンチエイジングに効果的です。
チャービルの保存方法
チャービルは繊細な香りと、細い葉が特徴なため、あまり保存には向きません。しかし、少しずつしか使わなかったり、家庭菜園で大量に収穫した時は、できれば長く楽しみたいものですね。チャービルを長く楽しむための保存方法をご紹介します。
ビンに保存
きれいに洗ったチャービルを、水気を軽く切って瓶に密閉し、冷蔵庫へ保管。こうすれば1~2週間は使うことができます。
ハーブバターにする
チャービルは冷凍保存には向きませんが、上記でご紹介したハーブバターにすれば、バターの状態で冷凍保存できます。冷凍で1か月は保存することができます。
ハーブビネガーにする
チャービルがたくさんあるときは、ワインビネガーに漬け込んで、ハーブビネガーにすると長く楽しむことができます。出来上がったビネガーは料理に広く使うことができます。ハーブビネガーを作るときに注意することは、保存するビンを必ず煮沸消毒することです。
最後に
チャービルの歴史から使い方までご紹介しましたが、いかがでしたでしょうか?チャービルを少しでも身近に感じていただけたら幸いです。チャービルは見た目も美しく、ベランダでも十分に育ちますから、家にひと鉢あると豊かなハーバルライフが楽しめます。ぜひ、チャービルを、あなたの生活に取り入れてみてくださいね。
出典:写真AC