地下で花を咲かせる植物「リザンテラ」とは?生態や特徴を詳しく解説

地下で花を咲かせる植物「リザンテラ」とは?生態や特徴を詳しく解説

リザンテラは謎の多い植物です。「根の花」という意味の名前のとおり、地下で花を咲かせる非常に珍しい生態が特徴です。発見が難しく個体数が少ないため、研究が進まない植物ですが、判明している範囲でリザンテラの生態や特徴について紹介します。

記事の目次

  1. 1.リザンテラはどんな植物?
  2. 2.リザンテラの珍しい生態
  3. 3.リザンテラの特徴
  4. 4.リザンテラの種類
  5. 5.まだ謎の多い魅力的なリザンテラ

リザンテラはどんな植物?

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リザンテラは、地下に咲く珍しい花です。また、原産地のオーストラリアの中でも、ごく限られた場所でしか生息していません。発見するのも極めて難しく、その生育環境の研究も絶滅する恐れがあるため制限されています。いまだ謎が残る植物ですが、明らかになっている部分をみていきましょう。

基本情報

分類 菌従属栄養植物(腐生植物)
学名 Rhizanthella
科・属名 ラン科・リザンテラ属
原産地 オーストラリア

名前の由来

学名「Rhizanthella」は、終生を地下で生息することから「リザンテラ(意味:根の花)」とつけられました。名前も学名と同じ理由です。

生息地域が極めて狭い

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リザンテラの原産地はオーストラリアです。これまで発見された3種は、全てオーストラリアで見つかっています。ガルドネリ・リザンテラは西オーストラリア州、スラテリ・リザンテラがニューサウスウエルズ州、オミッサ・リザンテラがクインズランド州にそれぞれ生育しています。生育域の範囲が極めて狭く、研究量が多いといわれるガルドネリ・リザンテラにおいても、この州内の隔離された2地点のみでしか生育していません。

発見された経緯

1928年、農業を営んでいるジャック・トロットが自分の農園を歩いていると、小さな穴から甘い香りがしてきました。穴を掘ってみると、そこに咲いていたのは今まで見たことのない変わった花です。リザンテラが世に知れわたったのは、植物学者のチャールズ・ガードナーのもとに届けられたからです。

リザンテラの珍しい生態

リザンテラは菌従属栄養植物(腐生植物)

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リザンテラは「菌従属栄養植物」です。菌従属栄養植物は土の中で生活し、葉緑素をもたないものも多く、自ら光合成をする能力がありません。そのため、陸上植物の根に生息している菌類の「菌根菌」と共生し、植物の養分を分けてもらいます。以前は動植物を分解して栄養を摂る植物として「腐生植物」と呼ばれていました。しかし、近年では菌類に従属して栄養を得ている菌従属栄養植物という言葉が一般的です。

複雑な生態系生育

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菌従属栄養植物は、生態系や生育が複雑です。そのため、山で採取し別の環境で再現することが難しく、栽培できません。多くの菌従属栄養植物は、開花や結実期以外には地上に姿を見せず、全体的な分布図や多様性の全容が未解明です。謎の多い植物であり、新品種の発見が期待されています。

広範な科の存在

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リザンテラは、ラン科の、菌従属栄養植物です。菌従属栄養植物の科は多く、たとえば被子植物だけでもラン科のほかにホンゴウソウ科、ツツジ科、ヒナノシャクゾウ科、リンドウ科などがあります。種類が豊富ですが、植物のそのものの大きさがとても小さいため、発見が難しい植物です。

ほかの菌従属栄養植物との違い

ほかの菌従属栄養植物は、地下で成長をしていても開花と結実期には地上に姿を現しますが、リザンテラは地下で開花します。そのため見つけることが難しく、生育環境が明らかになったのは1979年で、最初に発見されてから50年近くかかりました。

ボタニ子

ボタニ子

菌従属栄養植物自体が謎が多いけれど、リザンテラもまだまだ生態がわかっていないのね…。

リザンテラの特徴

「根の花」という意味のリザンテラは、地上に姿を見せることなく、一生涯を地下で過ごす変わった花です。研究途中ではありますが、毒性など人体へ害を及ぼす報告はありません。

特徴①花

地中に咲くリザンテラは、地下30cmの深い場所でも発見されています。花のつき方は、芋のような太い茎に100以上もの花が密生して咲くというもので非常に特徴的です。アリや体長2mmほどのキノコバエなどが受粉の手助けをしていると考えられていますが、はっきりとは解明されていません。

特徴②果実

リザンテラの果実は肉質です。種子の散布は、動物が果実を食べることで行われていると考えられています。これはリザンテラの特殊性で、ほかのラン科では見られないことは少ないでしょう。

特徴③栄養の摂取方法

リザンテラは、菌根菌が球茎の外皮に共生すること栄養を摂取します。共生している地中の菌類の菌糸を使って、樹木の根などから栄養を得ているのも大きな特徴です。菌類を介してほかの植物とつながることで、栄養を吸収していると考えられています。

リザンテラの種類

種類①リザンテラ・ガルドネリ(Rhizanthella gardneri)

ガルドネリは多年草で、根がありません。植物体の全てが地下にあり、養分を蓄え肥大した塊茎からなっています。塊茎は円筒形で長さ5cmです。厚い毛で覆われ、個々の毛からは最大6本までの菌糸が続いています。ガルドネリの花期は、オーストラリアでは冬にあたる5月~6月です。花びらと顎部分の花被の色は、白から海老茶色に変色します。花は螺旋状に120もの数が配列し、外側のものから開花します。

種類②リザンテラ・スラテリ(Rhizanthella slateri)

スラテリは、クイーンズランド州南東部からニューサウスウェールズ州南東部にかけて個体郡で分布していますが、個体の数はとても少ないです。塊茎の部分も含む白っぽい肉質の長さ15cmほどの地下茎をもちます。花色は紫がかっており、花姿は最大30個の管状です。開花期は6月~7月で、花部分は土壌表面の下、もしくは地上2cmまで伸びることがあります。開花して9カ月後、葉緑素の壁をもつ肉質な果実になります。

種類③リザンテラ・オミッサ(Rhizanthella omissa)

ごくわずかな発見例

オミッサについては、発見例が2つあるだけです。クイーンズランド州の標高1200mの森で発見されました。花頭は、くすんだ白い苞葉に15個~30個の花が螺旋状に密に配列しています。

まだ謎の多い魅力的なリザンテラ

リザンテラは地下で生息する植物です。発見することが困難で、オーストラリア内でも生育範囲が狭いため、研究用の採取も制限がかかっています。生態や特徴についても未だ謎が多い分、魅力的に映る植物です。現在は未知な存在ですが、研究が進み解明されることを期待しましょう。

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Toyosho
ライター

Toyosho

バラの花束よりも、スイトピーの花束の方が好きです。

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