雑草とよばれる花
雑草と聞いてイメージするのはどのような言葉でしょうか。「増えすぎる」「勝手に生えてきた」「邪魔」など、あまり好ましくない言葉かもしれません。しかし、雑草として扱っているのは人間側の都合であって、よく見れば造形のきれいな花です。道ばたでよく見かける雑草の中には食べられたり、漢方やハーブとして利用できたりするものもありますよ。
雑草を見かける場所
雑草とされる植物はどれも強い繁殖力を持ち、あまり土を選ばない強健な性質のものが多くあります。園芸種では育たないような過酷な場所でも平気で、びっくりするような場所で見かけられることもあります。基本的には、道ばた、あぜ道、コンクリートやアスファルトの隙間などです。もちろん環境のよい花壇の中や芝生の上にも生えてきますよ。
白い小花の咲く雑草
白い小花は枯れると茶色く縮れてしまうことが多く、雑草ともなると、意識的に探さないと見落としやすいです。ここで紹介する以外では、日本の在来種ではフキ、オオバコ、ヘクソカズラ、エノコログサ、外来種ではヒメジョオン、スズメノカタビラなどが、白い小花としてあげられます。
白い小花の咲く雑草①ハコベ
学名 | Stellaria |
和名:別名 | ハコベラ、アサシラゲ、ひよこ草、日出草 |
分類 | ナデシコ科ハコベ属:一年草、二年草 |
原産地:分布 | 日本在来:寒帯~熱帯地域 |
草丈 | 10~20cm |
開花時期 | 3~10月 |
食用 | 粥、おひたし、天ぷら、サラダ、和えもの |
特徴
道ばたや田んぼのあぜ道などで見かけられるハコベは、数ある雑草の中でも比較的身近な植物です。花の咲いている期間は長いのですが、とても小さいため印象に残りにくい植物です。繁殖力旺盛でこぼれ種でどんどん増えていきますが、根も浅く抜き取りやすいため、畑ではほかの雑草の侵入を防ぐグランドカバーの役割を果たしてくれます。
食べ方
七草がゆのハコベラでおなじみのように、ハコベは食べられる植物です。鉄分やカルシウムが豊富でに含まれています。やわらかくアクもないため、おひたしや天ぷら、軽くゆでてサラダや和えものにもおすすめです。地域によっては「道の駅」などで野菜として販売されていることもあります。
白い小花の咲く雑草②シロツメクサ
学名 | Trifolium repens |
和名:別名 | クローバー |
分類 | マメ科シャジクソウ属:多年草 |
原産地:分布 | ヨーロッパ:西アジア、北アフリカ |
草丈 | 5~15cm |
開花時期 | 5~8月 |
食用 | おひたし、天ぷら、チヂミ |
特徴
公園や広場で見かけられることの多いシロツメクサは、19世紀にオランダからの荷物のクッション材として詰められてきた外来種です。蜜源植物でもあり小さい花が集まって球形を作ることによって、効率よく虫たちを集めます。性質は強健で繁殖力も旺盛です。土を肥やす緑肥にもなるため、外来種のなかでも歓迎されていて種も販売されています。
食べ方
食用に適しているのは、若葉と咲き始めのやわらかい花の部分です。おひたし、天ぷらなど、青菜と同じように調理できます。刻んだ若葉をチヂミ風のお好み焼きにするのもおすすめです。シロツメクサには抗酸化作用のポリフェノールが含まれており、咳止めや去痰といった炎症を和らげる効能が期待されます。
白い小花の咲く雑草③ドクダミ
学名 | Houttuynia cordata |
和名:別名 | 十薬(ジュウヤク) |
分類 | ドクダミ科ドクダミ属:多年草 |
原産地:分布 | 日本在来、東アジア:日本~東南アジア |
草丈 | 20~50cm |
開花時期 | 5月中旬~6月 |
食用 | 天ぷら、おひたし、薬味、お茶 |
特徴
ドクダミは、強い繁殖力で半日陰に増えていきます。実は白い花弁の部分は苞(ほう)で、花は中央の黄色く小さい部分です。植物としての造形は美しいのですが、匂いに特徴があり好き嫌いが分かれます。名前の意味は「毒止め」からきており、別名では「十薬」とも呼ばれ、民間薬としてデトックス、利尿効果、動脈硬化、高血圧予防の効果が期待されます。
日本の三大民間薬の一つ.解毒薬として有名で,生の葉を腫れ物に外用するとよく効き,蓄膿症には葉の汁を鼻に挿入する.乾燥すると解毒作用は失効するが,通便,降圧,利尿作用を目的としてドクダミ茶が飲まれる.
食べ方
民間の薬草として利用されるドクダミ茶には、健康を保つさまざまな効果が期待できます。葉には独特の強い匂いがありますが、加熱することにより和らぐため、天ぷらや茹でた若葉を和え物にするのもおすすめです。東南アジアではパクチーなどと同様に、生春巻きのアクセントとなど、野菜やハーブのように食べられています。
白い小花の咲く雑草④ナズナ
学名 | Capsella bursa-pastoris |
和名:別名 | ペンペン草、三味線草、貧乏草 |
分類 | アブラナ科ナズナ属:二年草 |
原産地:分布 | 日本在来、北半球:日本(北海道~九州) |
草丈 | 10~50cm |
開花時期 | 4~7月 |
食用 | 天ぷら、おひたし、胡麻和え、炒めもの |
特徴
ペンペン草の愛称で親しまれているナズナは、道ばたはもちろん野原や空き地などでもよく生えている雑草です。白く小さい花が終わると、特徴的な三角形の種ができます。この状態で軸を持って左右に回転させると、種がこすれあって音を立てることからペンペン草の名前がつきました。こぼれ種で繁殖し、冬はロゼット状で過ごす強い植物です。
食べ方
ナズナはアブラナ科の植物で、菜花と同じ調理法で美味しく食べられます。おひたし、胡麻和え、炒めものや天ぷらなど、食べ方が豊富です。小さい花を料理の上に散らすと、見た目も楽しくなりますね。おすすめなのは切れ込みのある葉の部分で、冬になると甘みが増します。
白い小花の咲く雑草⑤ハルジオン
学名 | Erigeron philadelphicus |
和名:別名 | 貧乏草、貧乏花 |
分類 | キク科ムカシヨモギ属:多年草 |
原産地:分布 | 北アメリカ:温帯~熱帯地域 |
草丈 | 30~80cm |
開花時期 | 4~6月 |
食用 | 天ぷら、お茶 |
特徴
ペンペン草も生えないような荒れ地でも育つ、強い性質のハルジオンには「貧乏草」の名前があります。繊細な花のあとにはタンポポと同様に綿毛のついた種ができ、風によって飛散します。もとは観賞用としてやってきた外来種です。しかし種があちこちに飛び散り雑草化したため、繁殖力の強さから要注意外来種に指定されています。
食べ方
ハルジオンは、そのまま食べるにはえぐみが強いためアク抜きが必要です。キク科の植物のため、春菊をイメージすると近いです。可食部としては冬越し直後の新芽がおすすめで、天ぷらにするとフキのようなほろ苦さを楽しめます。乾燥させた花や葉をお茶にすると、糖尿病予防やむくみ防止の効果が期待されます。
出典:写真AC