真砂土(まさど)の定義
真砂土は岩石の「花こう岩」が風化によって崩れ、堆積した土です。花こう岩は世界中に存在するマグマ由来の岩石で、御影石として石材としても有名です。中国地方や九州、四国、近畿地方の一部、静岡県に多く、真砂土は道路舗装や住宅用地の基土や盛り土、園芸の土として広く利用されています。
真砂土は花こう岩の一種?
マグマが冷えて固まった岩石は「火成岩」とよばれ、マグマの固まるスピードによって「深成岩」と「火山岩」に分かれています。真砂土になる花こう岩は「火成岩」のうち、ゆっくり固まった深成岩です。花こう岩は風化すると真砂山になり、それが崩れて堆積した土が真砂土です。一方の急激に固まった岩石は「火山岩」と呼ばれていて、砂利(砕石)として利用されています。
ボタニ子
真砂土は身近なところでも見かける砂だよ。学校のグラウンドや公園の土なんかにも使われてるんだ。
真砂土の特徴
花こう岩が真砂土に変わるのは風化や浸食が原因です。気温の寒暖差のような物理的な刺激や、雨水に含まれる酸などの化学的な刺激、あるいは植物の根の侵入といった生物的な刺激の強さや期間の長さの違いで真砂土の性質は異なります。
①保水性や排水性に優れる
真砂土の採れる場所は過去に火山活動があった場所です。真砂土は産地によって「サバ土(砂婆土)」「まさ」などの名前で呼ばれています。鉱物の粒の大きさによって排水性があるものや、粘土質で保水性が高いものなどがあります。
②粘度が高い
真砂土の粘性は、花こう岩にもともと含まれる鉱物(一次的鉱物)が風化して変化した鉱物(二次的鉱物)によるもので、複数ある二次的鉱物の割合によって真砂土の粘度は異なります。産地ごとに土の性質が違うのもそのためです。また土の粒が揃うと粘性が高くなるのも真砂土の特徴です。
③安価で手に入る
マグマ由来の花こう岩は地球上で広く分布している岩石です。花こう岩の風化によってできる真砂土は豊富に採取できることから価格が安く、道路舗装や住宅用地の基土に使う場合はトラック1台分単位で販売されるほどです。
真砂土の種類
真砂土は真砂山から採取してきた状態のままの土と、ふるいにかけて粒をそろえた「ふるい真砂土」に分けられます。山の表面にある土を削り取っただけの真砂土は直径20mm以上の大きめの石を含んでいるため排水性がよく、道路の舗装や埋め立てに使用されます。ふるい真砂土は岩石や小石をはぶいた後に、ふるいにかけて規格を揃えることで保水性や見栄えがよく、園芸用や庭の化粧用として使用可能です。
真砂土の規格
真砂土の規格はふるいの目の大きさで粒径が15mmまでに分けられます。水はけの改良や舗装用といった用途にあわせて使い分けます。真砂土だけでは改良が難しい場合は、ほかの大きさの砂と混ぜてブレンド砂として使います。
おろし真砂土(ふるい真砂土)
鬼真砂
15mm前後のふるいにかけられた真砂土で、しっとりとした質感で小石や小枝が混じっている粗い粒の土です。水はけと水持ちのバランスがよい材質であることから家庭菜園や園芸用の土に向いている種類の真砂土です。
化粧真砂土
化粧真砂土はふるいにかけた真砂土のことで、5mm目のふるいを使ってできた上質の真砂土です。よく締まる材質で庭の化粧用として学校のグラウンド、公園、ゲートボール場などのスポーツ施設の敷土や芝生の養生、グラウンドの補修にも用いられます。長雨のときに粘着性が増し、ぬかるみやすいです。
ブレンド砂
おろし真砂土と山砂を混ぜて水はけをよくした土です。クッション性のある真砂土の長所を活かし、グラウンドの整備や改修に使ったり、芝生の目土や養生に用いたりします。セメントと混ぜて舗装にも使います。
ボタニ子
山砂とは、山から採れる砂のことで川砂や海砂と区別してそう呼ばれているよ。
山から採取してそのままの土の場合や、真砂土と同じ意味で使われることもあるから、使うときは確認が必要だね。
真砂土の種類一覧表
真砂土の種類 (名称) |
規格 | 用途・材質 |
鬼真砂 | 15mm前後 | 基土用、しっかりとした質感で小石を含む |
化粧真砂土 | 5mm以下 | 上質とされる規格で敷土用、化粧用 粒が揃っていてよく締まる材質 |
ブレンド砂 | 5mm以下 | クッション性のある材質で転んでもケガをしにくい土 グラウンドの整備、セメントに使う |
真砂土はどんな庭に向いている?
①庭の雑草を防止したい
庭に生えてくる厄介な雑草を防ぐには、コンクリートやアスファルトで固める方法もありますが、敷設(ふせつ)するにも撤去するにもコストがかさみます。その点、真砂土は保水性や補肥性の少ない点を利用した防草効果が期待できます。より効果を上げるには5cm以上の厚みで敷き詰めるとよいでしょう。
②化粧土として見栄えをよくしたい
粒のそろった化粧真砂土を使って、土の表面を整えて見栄えのよい庭づくりが可能です。土のもつ優しさを感じられる自然の風合いが出せるため、転圧して土間の「敲(たたき)」のようにしてみたり、真砂土以外の材料と組み合わせて粒の大きさを楽しんだりする使い方ができます。和洋どちらの庭にも似合うのが真砂土の魅力です。
③芝生や園芸など植物を育てたい
田んぼや畑であった場所は粘土質の土壌が多く、排水性や地耐力を確保するため、水はけのよい真砂土を基土に加えており捕肥力が乏しい状態です。そのため植物の根の成長によい土づくりをするには、表面の土をかき取ったあと、腐葉土を加えた土を埋め戻してから栽培します。芝生を植える場合は土の表面をならしたあとに芝苗を張れば、でこぼこせず歩きやすい庭に仕上がります。
真砂土の使い方のポイント
①雑草防止や化粧土はしっかり固める
真砂土を運び入れただけの状態は、降雨や洗車のときに表面の土が流れ出し、雑草が生えてきます。雑草を予防するには乾燥した土の状態を保ち、雑草が根を張れない硬さにしましょう。そのためには排水性のよい真砂土を混ぜ、土の表面を固める方法で雑草を生えにくくします。
真砂土の固め方
しっかり固めて「敲き(たたき)」のような状態にするには、大きな木槌や板を使って何度も打ち付けます。また車を乗りいれて固めることもできますが、均一にするのは難しい方法です。できれば、ハンドガイドローラーかプレートコンパクターといった専門的な転圧機械を用意(リース)すれば完璧に固められます。
セメントを混ぜたタイプもある
雑草の予防や雨による土の流出防止を目的につくられた真砂土もあります。土がもつ自然な質感を残しつつ、コンクリートと同じ固さを実現できる材料です。真砂土に固化剤を混ぜてつくられているため、敷きつめたあと、水をかけるだけで固まります。玄関アプローチに最適で、赤や白、オレンジなどさまざまなカラーバリエーションもあります。
②園芸用は土壌作りをする
庭に園芸用の栽培地をつくる場合は、真砂土の性質を利用して土壌の調整をします。真砂土は保水性が高く、排水性に優れた植物を育てるのにあった土ですが、補肥性が乏しいという欠点があります。弱酸性の土のため、アルカリ性の腐葉土(pH6~7)、あるいはくん木(pH8~9)や堆肥(pH6~7)などを30~40%程度混ぜた使い方がおすすめです。
土の性質を調べてからはじめる
土壌の性質は土を団子状に固めて確認します。土が団子状にできない場合は保水性が弱いため、風化の進んだ細かい粒の真砂土を混ぜて保水性をあげることが必要です。軽く突ついても崩れにくい団子状であれば粘土質と考えて、風化の進んでいない粗めの真砂土を使って水の通りを調整し、排水性を高めます。
堆肥を混ぜて使う
真砂土は弱酸性で捕肥性に乏しい土のため、微生物の活動をよくするために腐葉土やたい肥を混ぜて改善します。固まりやすい性質だけの土を改善する場合は、粗めの真砂土やピートモスを加えて調整しましょう。土を柔らかくする目的から始める場合は、20~30cm掘った土をブルーシートの上におき、調整用の真砂土や腐葉土と混ぜてから埋め戻します。
さつまいも栽培にもおすすめ
微生物が集まったよい土になるには数年かかるため、その間は水はけのよく痩せた土でも育つサツマイモやトマトを栽培しておくのも一案です。急ぎの場合は、ホームセンターで「野菜(お花)の培養土」として腐葉土を配合した土を使って土壌づくりをするとよいでしょう。
真砂土を上手に活用しよう!
真砂土は、その粒の大きさで保水性や排水性を高めるなど、性質の違いで使い分けが可能です。腐葉土やたい肥などと混ぜて植物を育てられるだけでなく、固めて除草用に使ったり、化粧用として庭の雰囲気を変えたりもできます。庭の雰囲気や用途にあわせて活用しましょう。
真砂土っていわれても、あまりピンとこないわ。どんな土なのかしら?