苗床とは
苗床の読み方は「なえどこ」です。ほかにもいろいろな読み方があるようですが、「なえどこ」という読み方が一般的です。苗床は種まきして発芽させる場所、という意味で使われます。苗床に種を少量ずつまき、発芽させて丈夫な苗を育てる(育苗)意味もあります。苗床はビニールポットや小さい部屋に分かれているトレーなど、種類が豊富です。
ボタニ子
苗床の必要性
畑やプランターに直接種まきする場合もありますが、発芽までの管理がたいへんです。雨で種が流れてしまったり、害虫や鳥に種を食べられてしまったりします。その点で苗床は基本的に容器を持ち運びでき、温度管理や水分調整なども可能なため安心でしょう。発芽して十分な大きさになるまで、苗を栽培できます。とくにガーデニング初心者の方は、苗床を使った育て方がおすすめです。
ボタニ子
発芽まで室内で育てられるから、害虫や鳥の心配もいらないわね。
苗は新しい環境になれるまで時間がかかる
種まきから栽培すると、時間がかかるように思えるかもしれません。苗を購入して、直接プランターや家庭菜園で栽培すれば簡単です。しかし、苗が育った環境と異なる環境になるため、新しい環境になれるまでに時間がかかったり、弱ったりします。その間に病害虫の被害にあうと、復活するのは難しいでしょう。苗床は苗を丈夫に作る意味があるため、遠回りのようですが育て方としては安心です。
ボタニ子
とくに高価な種や、発芽しにくい種類の種を扱うときは苗床から育てるとよいわね。
苗床によい土の作り方
苗床に使用する用土は、専門の用土と自作するものがあります。種まき専門の用土は、植物の種類にあったものが複数市販されています。自作したい場合は、配合する用土の量や種類に気をつけましょう。よい苗床用の用土は保水力があり排水性に優れ、蒸れにくいものです。種まきするタイミングや植物にもよりますが、種は発芽して葉が出るまでは保水が大切です。
自作する
ベランダの家庭菜園やガーデニングで苗床から育苗する場合は、市販の苗床用の用土を使うのが手軽です。しかし、本格的な畑や農園などで大量に栽培する場合は、用土の量も多くなります。その場合は自作したほうが経済的です。どのような作物や草花を栽培するのかにもよりますが、おおまかな苗床用の用土の作り方を見てみましょう。保水力があり排水性に優れた、軽くて小粒の土が向いています。
材料①
- 小粒の赤玉土6(以下、数字は配合する割合です)
- 腐葉土3
- バーミキュライト1
- 石灰
- 簡易土壌酸度計
材料②
- 小粒の赤玉土5
- ピートモス2~3
- バーミキュライト2~3
- 石灰
- 簡易土壌酸度計
手順
- 用土の比率をはかりよく混ぜる
- 簡易土壌酸度計でpH値をはかる
- 5.5~7.0に足りない場合は石灰を少しずつ混ぜようすを見る(育てる植物によって異なる)
- 数値が届かなければ再度石灰を少量まぜて適性値にする
ボタニ子
育てる植物によって、用土の内容が変わってくるわ。ホームセンターや園芸店で専門の土の内容を見て、参考にしてね。
ボタ爺
pH値をはかるのに、リトマス試験紙も使えるぞ。できあがった用土を水に溶いてしばらく置き、うわずみの水に浸けてみよう。
畑の土を使いたい場合はどうしたらよいか
畑の土には病害虫の菌や卵、雑草の種や胞子が含まれている可能性があります。そのまま使用すると、病害虫がいっきに広がったり、草取りの手間がかかったりします。まずは消毒が大切です。太陽の熱でよく乾かして消毒するか、窯(かま)や大鍋で蒸し、高熱消毒してから使いましょう。
専用土を使う
ホームセンターや園芸店などで、発芽専用の用土を購入しましょう。培養土や床土(とこつち)などと呼ばれとくに種類を特定していないものと、草花用や野菜用など専用になっているものもあります。苗床用の土は挿し芽用と兼用されているものが多く、ガーデニング用として量が多かった場合は、ハーブや観葉植物の挿し芽用にも使えます。軽いものがおすすめです。
ボタニ子
市販されている用土はしっかり殺菌消毒してあるから、安心して使えるわ。
ボタ爺
市販されている土を使うときは、よくかき混ぜるとよいぞ。運搬の途中で、内容物がかたよってるかもしれないからね。
苗床の土の選び方
- 苗を育てる時期にあったものを選ぶ(春夏用~秋冬用)
- 植えるものの種類にあった土を選ぶ(根菜類・果実類・葉物類)
- 育苗ポットに向いているものか、トレイ型に向いているか選ぶ
おすすめの苗床専用土
おすすめ①かんたんタネまき・さし芽の土 ジフィーミックス(サカタのタネ)
かんたんタネまき・さし芽の土 ジフィーミックス
参考価格: 606円
サカタのタネの「かんたんタネまき・さし芽の土ジフィーミックス」は、ピートモスと石灰がおもな原料です。窒素、リン、カリを少しずつバランスよく配合してあり、土質がやわらかいため発芽率も高くなります。排水性や通気性にもすぐれ、元肥が入っており、発芽したあとの苗もよく育ちます。4L入りと12L入りがあります。
おすすめ②さし芽・種まきの土(プロトリーフ)
栄養分なしで室内でも扱いやすいプロトリーフの用土
参考価格: 1,196円
プロトリーフの[「さし芽・種まきの土」は鹿沼土、軽石、赤玉土などから作られており、栄養分はふくまれていません。そのため室内で扱っても虫がわきにくく、清潔が保たれます。発芽に必要な保水力を重視した作りで、水分が必要な挿し芽にも向いています。容量は、2L、3L、5L、15Lです。
おすすめ③さし芽種まきの土(花ごころ)
さし芽種まきの土
参考価格: 348円
花ごころの「さし芽種まきの土」には、活力剤入りです。発芽したあとの育苗にも向いている土で、初心者でも安心して使用できるでしょう。特別なパーライト、鹿沼土、バーミキュライト、ピートモスがおもな原料です。吸水性がよく軽いため、苗床の移動も楽にできます。さし芽種まきの土のサイズは2L、5L、12Lの3種類です。
「なえどこ」のほかに時代や地方によっては「なへどこ」「びょうしょう」なんて読み方もあるわ。