一年中栽培できるベビーリーフ
ベビーリーフは「Baby-leaf」と表記され、直訳すると「赤ちゃんの葉っぱ」という意味をもつ野菜です。名前のとおり、発芽してから10日~30日程度の幼葉の総称で、さまざまな種類の幼葉を混ぜたものが「ベビーリーフ」として流通しています。ベビーリーフは室内なら一年中栽培が可能で、育て方が簡単なため、家庭菜園の初心者にもおすすめの植物です。
ベビーリーフの種類
スーパーなどで販売されているベビーリーフは、いくつかの野菜の幼葉を集めて、袋売りされている場合が多いです。葉がやわらかい幼葉は全て「ベビーリーフ」と呼ばれるため、種類が限定されているわけではありません。現在では約30種類以上の野菜やハーブが、ベビーリーフとして食べられています。
種類①リーフレタス
リーフレタスは、サニーレタスに代表される結球しないレタスをさします。別名「葉チシャ」とも呼ばれており、結球する一般的なレタスに比べて栄養価が高いのが特徴です。鮮やかな緑色をした「ロログリーン」や、葉の先端にかけて赤紫色や赤茶色に変色する「ロロロッサ」があります。
種類②ルッコラ
ルッコラは地中海沿岸が原産のハーブで、カルシウムやビタミン、鉄分が豊富に含まれています。別名「ロケットサラダ」や「キバナスズシロ」とも呼ばれ、2月〜8月にかけてクリーム色の花を咲かせる一年草です。ルッコラは、ごま油によく似た風味が特徴で、イタリア料理では「香味野菜」として利用されています。
種類③水菜
水菜は日本が原産の野菜で、京野菜としても有名です。シャキシャキとしたみずみずしい食感が魅力で、鍋や炒め物などに幅広く利用されています。水菜には独特な芳香があり、濃緑色のギザギザした葉が特徴です。根元部分から新芽が伸びてきて、いくつも枝別れするようにして株が大きくなっていきます。
ベビーリーフの育て方【必要なもの】
ベビーリーフはプランターで栽培すれば、室内やベランダなど自分好みの場所で育てられます。プランターがない場合は、空のペットボトルや食品トレイなど、どのような容器でも栽培できます。ベビーリーフは用土やジョウロなどを準備すれば、初心者でも簡単に育てられる野菜です。
必要なもの①プランター
ベビーリーフは菜葉野菜に分類され、草丈が高くなる前に収穫するため、それほど大きなプランターは必要ありません。自宅にあるプランターや、自分好みの植木鉢でも構いません。ベビーリーフをたくさん収穫したい場合は、50cmほどの長さがあるプランターを使用するのがおすすめです。ピンク色や黄色など、かわいらしい色をしたプランターも販売されています。
必要なもの②用土
ベビーリーフは、水はけと水もちのよさを兼ね備えた用土で栽培しましょう。市販されている「野菜用培養土」を使用すると、初心者でも簡単に育てられます。ほかにも「ハーブ専用培養土」でも栽培可能です。自分で配合する場合は、赤玉土の小粒7と腐葉土3をよく混ぜ込んだ用土を使用してください。
必要なもの③鉢底ネット・鉢底石
ベビーリーフは土が多湿の環境で管理すると、根腐れを起こして枯れる恐れがあります。そのため、用土を入れる前にプランターに鉢底ネットと鉢底石を敷き詰めて、排水性を高くしておくのがコツです。また、鉢底ネットには用土の中に害虫が忍び込むのを防ぐ効果もあります。鉢底石は、鉢底ネットが見えなくなる程度までしっかりと入れてください。
必要なもの④ジョウロ・霧吹き
ベビーリーフに水やりをするジョウロや霧吹きも必要です。屋外で管理する場合でも、雨水だけでは天候によって用土が乾燥しすぎてしまう恐れがあります。ジョウロを使ってたっぷりと水やりができるように、プランターのサイズにあったジョウロを購入しましょう。また、葉水を行うために霧吹きも準備しておくと便利です。
必要なもの⑤ベビーリーフの種
ベビーリーフの種は、いくつかの菜葉野菜の種が混合された状態で販売されているのが特徴です。水菜やルッコラ、小松菜やレッドケールなどの種が入っており、草丈を10cm〜15cmほどの大きさに育ててから収穫します。1つのプランターで、縁が縮れるタイプや葉がギザギザのタイプなど、さまざまな種類のベビーリーフが収穫できるのが魅力です。
ベビーリーフの育て方【栽培環境】
ベビーリーフの種まきに適した時期は3月下旬〜10月上旬で、種まきをしてから収穫するまでの期間が短いのが特徴です。ベビーリーフは、栽培環境を整えればいつでも育てられます。
育てる場所
室内・屋外
ベビーリーフを屋外で管理する場合は、寒冷紗を使用するのがコツです。寒冷紗は害虫・防寒対策ができるアイテムで、種まきをしてからすぐに寒冷紗をかぶせていきます。室内で管理する場合は、半日以上は日光の当たる窓辺などで管理しましょう。全く日光の当たらない場所で管理すると、葉がしなしなになったり黄色く変色したりするため避けてください。
置き場所・日当たり
ベビーリーフは、日当たりと風通しのよい場所で管理します。ベビーリーフは日光を好みますが、直射日光に長く当てすぎると、葉焼けを起こして枯れる恐れがあります。プランター栽培の場合は、置き場所を気軽に移動できるため、午前中の優しい日光に当ててから、午後には半日陰に移動させるのがコツです。
ベビーリーフの育て方【種まき〜育苗】
ベビーリーフは、真冬をのぞいていつでも栽培できる植物です。真夏に育てる場合は、発芽適温を保ったり、水切れや直射日光に注意したりして育てましょう。
種まき
ベビーリーフの種まきは3月下旬〜10月上旬に行います。ベビーリーフの種はとても小さいため、1粒ずつまかずに「すじまき」という方法で種まきしていきましょう。プランターに指で1cmほどの溝をあけておき、その溝に種を一直線状にまいていきます。種まきをしてから用土を軽くかぶせてください。
発芽までの管理
ベビーリーフの種まき後は、水切れを起こさないように管理します。日光が長く当たる場所で管理していると用土が乾きやすくなるため、土の表面をよく観察しながら育てましょう。ベビーリーフの発芽適温は15℃~20℃で、真冬や真夏に屋外で発芽させるのは難しいです。4℃以下、25℃以上の環境では発芽しません。適度な温度を保ちながら発芽をまちます。
「追いまき」をするのもおすすめ
種まきをした場所から発芽しなかった場合に、もう一度種まきをする作業を「追いまき」と呼びます。1回目に種まきをした場所に重ならないように追いまきするのがコツです。追いまきは時期をずらして行うため、1回目に種まきをした場所と、追いまきをした場所で、それぞれ異なる時期で収穫できます。
間引き
ベビーリーフが発芽して、双葉が開くころに間引きします。芽が混みあっていると栄養分が十分に行き渡りません。混みあっている部分の茎を、清潔なハサミで切り取りましょう。根を残しておけば、その後の成長も見込めます。
どんどん成長するから、混みあってきたらこまめに間引きましょう!間引き菜はサラダで食べられます!
ボタニ子
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出典:写真AC