ルッコラの栄養価
ルッコラは、日本食品標準成分表によれば可食分100gあたり19kcalと低カロリーのヘルシーな野菜です。おもにビタミンやミネラル、そのほか辛み成分のアリルイソチオシアネートなどが含まれています。代表的な成分は以下の表のとおりです。
一般成分(可食分100gあたり)
水分 | 92.7g |
エネルギー | 19kcal |
水分 | 92.7g |
たんぱく質 | 1.9g |
脂質 | 0.4g |
炭水化物 | 3.1g |
灰分 | 1.5g |
水溶性食物繊維 | 0.3g |
不溶性食物繊維 | 2.3g |
食物繊維総量 | 2.6g |
栄養①ビタミン
ルッコラには、βカロテン(ビタミンA)、ビタミンK、ビタミンB1、ビタミンCなどのビタミンが多く含まれています。ルッコラは、特にβカロテンがブロッコリーの約4倍、ビタミンCはホウレン草の約2倍と豊富です。
ビタミン(可食分100gあたり)
βカロテン | 3600μg |
ビタミンE | 1.4mg |
ビタミンK | 210μg |
ビタミンB1 | 0.06mg |
ビタミンB2 | 0.17mg |
ナイアシン | 0.5mg |
葉酸 | 170μg |
パントテン酸 | 0.55mg |
ビタミンC | 66mg |
栄養②ミネラル(無機質)
ルッコラにはマグネシウム、カリウム、亜鉛やマンガンなどミネラルが豊富に含まれています。特に鉄分はプルーンの1.5倍と多く含まれているのが特徴です。ミネラルは歯や骨など身体をつくり、細胞の働きをよくして、健康を維持する働きがあるとされています。
無機質(可食分100gあたり)
ナトリウム | 14mg |
カリウム | 480mg |
カルシウム | 170mg |
マグネシウム | 46mg |
リン | 40mg |
鉄 | 1.6mg |
亜鉛 | 0.8mg |
銅 | 0.07mg |
マンガン | 0.69mg |
栄養③アリルイソチオシアネートほか
ルッコラには抗酸化作用や強い殺菌力のある、グルコシアネートやアリルイソチオシアネートというアブラナ科の植物特有の成分が含まれています。アリルイソチオシアネートは大根や辛子、ワサビなどに代表される辛み成分で、細かく刻んだりすりつぶしたりするとより辛みが増すのが特徴です。
ルッコラの効果・効能
効果・効能①胃を健康に保つ
ルッコラは胃を健康に保つ効果があるとされています。ルッコラに含まれる辛み成分アリルイソチオシアネートは、唾液を出やすくしたり胃液の分泌をうながしたりして胃腸の働きをよくする作用があり、消化不良を防ぐとされています。
効果・効能②疲労を回復
ルッコラは、疲労回復効果が期待できる野菜です。ルッコラに含まれるビタミンCは細胞の酸化を防いで、身体の免疫力を高めるとされています。血液の流れをよくして、疲労物質を運びだすビタミンEなど、疲労回復に効果があるとされるビタミンやミネラルが豊富です。
効果・効能③デトックス
ルッコラを食べて期待される効果のひとつがデトックスです。ルッコラに含まれるカリウムは塩分を身体の外に出すはたらきがあり、同時に身体の中の不要なものを外に出します。ルッコラには腸内の環境がよくなるとされる食物繊維や強い殺菌効果のあるグルコシダーゼも含まれています。
効果・効能④美肌をサポート
ルッコラは美肌をサポートする効果が期待できる野菜です。ルッコラに含まれるアリルイソチオシアネート、βカロテン、ビタミンCやビタミンEは抗酸化作用があり、血管や肌の細胞を老化から守り、美しい肌を作るといわれています。
効果・効能⑤貧血を予防
ルッコラには貧血を予防する効果があるとされています。ルッコラには不足すると貧血になりやすい栄養素、鉄分が豊富です。その量は鉄分が多いといわれる明日葉(アシタバ)より豊富です。さらにルッコラに含まれるビタミンCや銅は、吸収しにくいとされる鉄分の吸収を助けます。
効果・効能⑥骨粗しょう症を予防
ルッコラには骨粗しょう症を予防する効果があるとされています。ルッコラには骨をつくるカルシウムが含まれるうえ、骨の中のたんぱく質を活性化させ、カルシウムを沈着させて骨をつくる作用があるとされる、ビタミンKの含有量が豊富です。
ルッコラの食べすぎについて
ルッコラは食べすぎても身体には問題ありませんか?
ルッコラを食べすぎると、胃腸や胸やけをおこす可能性があるという説があります。しかし極端に毎日大量に食べなければ心配はないでしょう。
ルッコラの食べすぎ①胃腸炎・胸やけについて
ルッコラを食べすぎると、胃腸炎や胸やけをおこすことがあるといわれています。ルッコラに含まれる辛み成分アリルイソチアネートは、胃液の分泌を促し消化を助けますが、その反面殺菌効果が強いのが特徴です。大量に食べると胃や腸に対して刺激が強すぎるといわれています。
ルッコラの食べすぎ②発がん性について
ルッコラを食べすぎると、硝酸塩が含まれていることから発がん性物質が身体に蓄積されるという説があります。
発がんの可能性があるのなら、ルッコラは食べないほうがよいですか?
食べても大丈夫でしょう。硝酸塩は土や肥料など自然界に存在する物質で、食品添加物としてハムやソーセージにも含まれています。
硝酸塩は体内にとりこまれて亜硝酸塩(亜硝酸ナトリウム)になりますが、FAO/WHO合同食品添加物専門家会合(JECFA)は亜硝酸塩(亜硝酸ナトリウム)摂取と発がんリスクとの間に関連があるという証拠はないとしています。
生体内における硝酸塩から亜硝酸塩への転換のメカニズムは複雑です。食物に含まれる硝酸塩が転換されるばかりでなく、生体内の他の窒素含有化合物(アンモニア、ヒドロキシアミンなど)が酸化されて硝酸、亜硝酸塩が生成されることなどから、食物由来の硝酸塩のうちどのくらいの量が亜硝酸塩に転換するのかは、はっきりとしていません。また、硝酸塩の摂取と発がんについての研究も各国で実施されているところですが、FAO/WHO合同食品添加物専門家会合(JECFA)は、硝酸塩の摂取と発がんリスクとの間に関連があるという証拠にはならないと言っています。
現在さまざまな研究がされていますが、農林水産省によれば硝酸塩が含まれる野菜はまったく食べないというのではなく、数多くの種類の野菜をバランスよく食べることが重要だとされています。
多くの研究の結果、野菜はその種類や成分に様々な生理作用があり、ヒトの健康に非常に有益であることが明らかになってきました。一方、ある種の豆類の生食やある種の野菜にはアレルゲンやアルカロイドなどヒトの健康にあまり有益でない成分も含まれます。また、特殊な例ですがダイエットのため2年間かぼちゃ以外のものはほとんど摂取しないで肝臓に障害がでた報告もありますので、野菜も偏った食べ方をすると健康に負の影響を及ぼすと考えられます。したがって健康のため数多くの野菜をその生理機能を意識し、バランスよく摂取することが重要と思われます。
おすすめルッコラの食べ方
ルッコラは生でも加熱調理しても美味しく食べられる野菜です。ルッコラにはビタミンCなど、水に溶けるビタミン(水溶性ビタミン)が豊富に含まれています。水溶性ビタミンが流れ出てしまわないように、水洗いは切るなどの調理をする前に済ませましょう。
おすすめ食べ方①サラダ・トッピング
ルッコラの食べ方で一番多いのがサラダやピザなどのトッピングにして生で食べる方法です。生で食べると加熱で壊れてしまう、ビタミンCなどの水溶性ビタミンが多く摂取できます。ビタミンをより効率よく摂取するために、柑橘類といっしょに食べることをおすすめします。
おすすめ食べ方②ドレッシング
生のルッコラをみじん切りにして、オリーブオイルやチーズ、ニンニクなどとあえて、ジェノベーゼソース風ドレッシングにアレンジしてみましょう。ビタミンAなど油と相性のよい脂溶性ビタミンが効率よく摂れます。美肌効果があるといわれるビタミンCも同時に摂取できますよ。
おすすめ食べ方③おにぎりの具
生のルッコラを細かくきざみ、お好みの具とともにごはんにまぜておにぎりを作りましょう。例えば油の入ったツナとマヨネーズをあえておにぎりを作ると、水溶性ビタミン、脂溶性ビタミンの両方が摂取できます。
おすすめ食べ方④おひたし
ルッコラはおひたしにできます。辛み成分のアリルイソチオシアネートは加熱すると味がマイルドになるため、ルッコラの辛みが苦手な人におすすめです。ルッコラを熱湯で1分程度ゆでるだけで完成します。かつおぶしや醤油などをかけて和風の味が楽しめます。
おすすめ食べ方⑤炒めもの
ルッコラの風味や辛みが苦手な人には炒め物がおすすめです。油と相性のよい脂溶性ビタミンも効率よく摂取できます。ベーコン、エビ、卵、豚肉など好みの食材と一緒に炒めましょう。ニンニクなどを入れると違った風味が味わえて食べやすくなりますよ。
おすすめの食べ方⑥花を食べる
ルッコラは花も食べられます。ルッコラの花も葉と同じように、ゴマのような香りがするので、香辛料のような使い方ができます。ルッコラを家庭菜園で育てたら、花も収穫して味わいましょう。きれいに水洗いして、そのままサラダやスープなどのアクセントに使えます。
ルッコラとは
ルッコラはアブラナ科キバナスズシロ属の一年草野菜です。ワサビや大根のような刺激のある辛みがあり、香りは炒ったゴマのようだと表現されることがよくあります。ルッコラは別名、イタリア語でルーコラ、英語でロケットとも呼ばれることがあります。
基本情報
園芸部類 | 野菜、ハーブ |
形態 | 一年草 |
科名属名 | アブラナ科キバナスズシロ属 |
樹高・草丈 | 20~30cm |
花の色 | 白、クリーム色・中心から紫のスジ |
耐寒性 | やや強い |
耐暑性 | やや弱い |
特性・用途 | 食用 |
栽培の可否 | 可 |
原産地 | 地中海沿岸 |
ルッコラを食べましょう
ルッコラは栄養価の高い野菜で食べ方もたくさんあります。いろいろなアレンジに挑戦して食べましょう。ルッコラは普段の食事とともにバランスよく食べれば不安はないとされていますが、極端な食べ過ぎは注意してくださいね。