水菜とは
水菜はアブラナ科の野菜です。古くから京都を中心に栽培されてきたことから、京都の伝統野菜として親しまれてきました。寒さに強く、冬が旬の時期にあたるため、冬場に食べられる貴重な野菜としても人気があります。昔は鍋料理や漬物に、近年は料理の幅が広がり、サラダや付けあわせ、炒め物としても利用されるようになりました。
水菜は水耕栽培で育てるため、通年出回っていますが、本来の旬の時期は12月~2月頃なんですよ。
長い間京都の伝統野菜として親しまれてきた水菜だけど、現在は京都以外の地域でも栽培されているんだよ。
名前の由来
水菜の名前の由来は諸説あります。有力視されているのは「畑の畝(うね)に水を引いて育てる野菜であることから水菜と名づけた」という説と、「水分量が多く、茎が細い菜っ葉であることから水菜と呼ぶようになった」という説です。どちらも確証に乏しく、現在も名前の詳しい由来はわかっていません。
おもな生産地
水菜は昔は京都をおもな生産地としていました。そして京都を中心とした地域だけで食べられていたのです。水菜は日持ちしないため、保存や流通に関する技術が未熟だった頃は、京都近郊でしか食べられませんでした。やがてさまざまな技術の発展により、全国各地で栽培されるようになります。現在では茨城県や福岡県などで、本場の京都を超える量の水菜が生産されています。
水菜が全国に広がったのは、生でも調理しても食べられる野菜であること、葉が美しくて見栄えもよく、使い道が広いことがあげられます。
茨城県が水菜生産量一位になったのは、東京など関東地方の大消費地へのアクセスがよいことが大きいよ。
じつは緑黄色野菜
水菜は茎が細く葉の緑色も薄め、淡色野菜のような繊細さですが、緑黄色野菜です。栄養が豊富で野菜が不足しがちな冬に食べられます。食べ方も生でも火を通す料理でも大丈夫という万能ぶりです。ちなみに水菜には複数の品種があり、関東と関西では栽培している品種が少し違います。関西では、ぎざぎざのついた緑色の葉と張りのある茎が特徴の在来種が多いです。
関東で栽培されている水菜は「広茎京菜」または「茎広京菜」と呼ばれています。名前のとおり茎幅が広く、葉の緑色が濃いのが特徴の品種です。
京菜は水菜の別名だよ。水菜が古い昔から京都で栽培されてきたことからついた名前なんだ。
水菜の栄養成分
栄養成分①βカロテン
緑黄色野菜の水菜には、βカロテンが豊富に含まれています。緑黄色野菜は一般的には「色の濃い野菜」と認識されていますが、じつは「可食部100gあたりのβカロテン含有量が、600μg(マイクログラム)あるものを緑黄色野菜とする」という基準が決められているのです。水菜には100gあたり1300μgと、基準値の2倍以上のβカロテンが含まれています。
βカロテンは体内で一部がビタミンAに変換されたり、抗酸化作用や免疫力強化作用があったりと、さまざまな働きを持つ栄養成分です。
ちなみにトマトやピーマンのカロテン量は基準値未満なんだ。でも食べる回数や量が多いから、緑黄色野菜に分類されているんだよ。
栄養成分②ビタミンC
美肌効果の高さから「美肌のエース」と呼ばれるビタミンCも、水菜に多く含まれています。水菜のビタミンC含有量は、100gあたり55mgです。ビタミンCは強い抗酸化作用を持ち、有害物質の活性酸素から細胞組織を守ります。また、肌の張りや傷の治癒力の元である成分コラーゲンの生成を促進させる、重要な役目も担っています。
栄養成分③葉酸
葉酸は水溶性ビタミンの一種です。水菜には100gあたり140μgの葉酸が含まれています。葉酸は赤血球生成に欠かせない栄養成分であるため、貧血になりやすい女性には必要な栄養成分といえるでしょう。特に妊婦の場合は、お腹の子の成長のためにも積極的に摂取したい栄養成分です。
妊婦の場合、葉酸が不足すると胎児の無脳症や神経管閉鎖障害を引き起こす可能性が高まってしまいます。
もちろん、葉酸ばかりたくさん摂取してもダメだよ。ほかの栄養素もバランスよく、しっかり摂取しようね。
栄養成分④ミネラル
水菜にはカリウム、カルシウム、鉄分、リン、マグネシウムなどのミネラル分が豊富に、バランスよく含まれています。ミネラル分は体の機能の維持や調節に欠かせない成分ですが、体内で生成できません。そのため食事による摂取が重要です。ただし摂り過ぎても逆効果になる成分もあるため、食べる量には気をつけましょう。
水菜のように多くのミネラル分をバランスよく含む食品の摂取は、ミネラル分のよい効果を引き出すために重要なことです。
カルシウムは運動とビタミンDの摂取で吸収率が上がるんだ。だからミネラル分の栄養効果を上げるには、生活習慣の改善も必要になるんだよ。
栄養成分⑤食物繊維
水菜には食物繊維も豊富に含まれています。食物繊維には水溶性食物繊維と水に溶けにくい不溶性食物繊維の2種類がありますが、水菜に含まれている食物繊維のほとんどは不溶性食物繊維です。不溶性食物繊維には、腸内で水分を吸収して膨張する性質があります。この性質が腸壁を刺激して腸のぜん動活動を活発化させるため、便通を促進し便秘の改善へとつながっていきます。
水菜の効能
効能①美肌・美髪
水菜に含まれているビタミンCは、肌のハリやキメを整えるために必要な成分コラーゲンの生成を助け、シミやソバカスの元凶であるメラニン色素の生成を抑えます。さらにβカロテンには、肌や髪の健康を維持する効能があるため、肌や髪を美しくすこやかにたもつ効果が期待できるのです。
効能②免疫力強化
水菜に豊富に含まれているβカロテンには、皮膚や粘膜を強化する働きがあります。皮膚や粘膜は、雑菌やウィルスが体内へ侵入するのを防ぐバリアです。皮膚や粘膜を強くすることは、病気やケガへの抵抗力を高める効果につながります。さらにβカロテンには、強い抗酸化力で活性酸素から細胞を守る効能もあるため、さまざまな有害物質を撃退して健康を守る免疫力の強化にもなるのです。
ビタミンCも強い抗酸化作用を持っているため、免疫力強化の効果が期待できる栄養成分なんですよ。
ビタミンCには、ウイルスを除去する働きがある白血球を強化する効能もあるんだ。βカロテンとの相乗効果で、さらに免疫力が高まるよ。
効能③むくみ予防・改善
カリウムはミネラル分の一種です。水菜は野菜のなかでも、カリウムを多く含む野菜として注目されています。カリウムは体内の塩分濃度を調整する効能と利尿作用があるため、高血圧やむくみの予防・改善効果が期待できる成分です。特に妊婦はむくみやすいため、体調を整えるためにも水菜の摂取を心がけましょう。
水菜は100gあたりのエネルギー量は約23kcalと、低カロリーな野菜です。多少多めに摂取しても、カロリーオーバーになりません。
栄養豊富で低カロリーな水菜は、健康的なダイエットを行いたい方におすすめの野菜なんだよ。
効能④骨や歯の健康維持・強化
水菜はミネラル分の一種であるカルシウムも豊富に含んでいます。その含有量は牛乳の約2倍です。カルシウムは骨や歯の主成分であるため、骨や歯の健康維持および成長や強化に欠かせません。しかも水菜のカルシウムは茹でても量があまり変わらないため、カルシウム摂取が目的なら料理の選択肢も広くとれます。
効能⑤貧血予防
水菜に含まれている葉酸は、血液の重要成分である赤血球の生成に欠かせない栄養成分です。ミネラル分の一種である鉄分は貧血を予防し、疲労を回復する効能があります。この2つの栄養成分を持つ水菜は、貧血の予防・改善で高い効果が期待できるでしょう。特に女性や妊婦は貧血になりやすいため、鉄分や葉酸の積極的摂取が重要です。
次は「水菜の栄養を逃さない食べ方と調理法」です。
出典:写真AC