カステルフランコとはどのような野菜?
カステルフランコは、サラダなどの彩りに使われるイタリアの高級野菜です。正式名称は「ラディッキオ・ヴァリエガート・ディ・カステルフランコ」といい、バラの花のような華やかな見た目から「冬のバラ」「オーキッドレタス」とも呼ばれます。日本ではまだ珍しい野菜ですが、北海道を中心に少しずつ生産が増えてきています。
チコリーの変形種
カステルフランコは、赤チコリーの変形種です。上品な雰囲気を感じさせる見た目から「チコリーの女王」ともいわれ、食卓を華やかに彩ります。細長い形が多いチコリーのなかでも珍しい形をした品種のため、入手が難しく高級野菜として扱われています。
原産地
カステルフランコの原産地は、イタリア北部ヴェネト州・カステルフランコヴェネトという町です。ヴェネト州は、ドロミテ山脈やポー川からの豊かな水と肥沃な台地が特徴で、夏は暑く冬は寒い寒暖差のある地域です。この自然環境がチコリーの栽培に適しており、品種名に各町村の名前がついた個性的なチコリーが数多く栽培されています。
保護指定地域表示
カステルフランコは「保護指定地域表示(IGP)」を受けた野菜です。保護指定地域表示は、産地の地理的環境や風土に由来する優れた特質をもつ産品を表すものです。カステルフランコは、EUの厳しい品質基準を満たしており、安心して食べられる野菜といえます。
イタリア野菜カステルフランコの特徴
カステルフランコは、淡いクリーム色の葉に鮮やかな紫色の模様が入っているのが特徴です。半結球(はんけっきゅう)で大輪のバラが咲いているような魅力的な形をしています。「エンダイブ」と「ラディッキオ・トレヴィーゾ」を交配して開発されたキク科の仲間で、葉は肉厚でレタスより少し重みを感じられるでしょう。
エンダイブ
エンダイブは、地中海沿岸地方原産のキク科の野菜です。収穫時期が近くなると内側に日を当てないように軟白化(なんぱくか)されます。葉に細かい切れ込みがたくさんあり、苦味が強いのが特徴です。栽培に手間がかかるため、一般のスーパーではあまり売られていません。
ラディッキオ・トレヴィーゾ
ラディッキオ・トレヴィーゾは、鮮やかな白とワイン色をしたおしゃれなイタリア野菜です。ヴェネト州原産で、まろやかな甘みとほろ苦さ、パリパリした歯ごたえがあります。
イタリア野菜カステルフランコの食べ方
カステルフランコは、生のままサラダにして食べると美味しさがよくわかるでしょう。やさしい苦味と上品な甘味を活かしたシンプルな食べ方がおすすめです。外側の緑の葉は苦みが強いため、内側の葉をちぎって冷水にさらすとシャキシャキ感が増します。加熱すると苦味が抑えられ、甘味が引き立ちますよ。
ボタニ子
イタリアではリゾットやパスタなど加熱して食べているそうですよ。いろいろな食べ方を楽しんでみましょう!
イタリア野菜カステルフランコの栄養と効果
カステルフランコはカロリーが低いため、ダイエット中の食事にぴったりの野菜でしょう。食物繊維やカリウム、鉄分が豊富に含まれており、栄養バランスが気になる人にもおすすめの食材です。また腸内環境を整える効果のほか、健康な体を維持するさまざまな効果が期待できます。
効果①高血圧を抑える
カリウムは塩分を摂りすぎた際、余分なナトリウムを体外へ排出し血圧を下げる働きがあるとされています。濃い味付けの料理を食べたときは積極的に摂取したい栄養素です。カステルフランコは生のまま食べられるため、熱に弱いカリウムの栄養をそのまま摂取できます。
カリウムは、体内に存在する量がもっとも多いミネラルです。細胞の浸透圧(※)を維持調整する働きがあるため、生命維持活動の上で欠かせない役割を担っています。また、体に含まれている余計な塩分を体の外に出す効果があることから、血圧を下げる代表的な栄養素といわれています。
効果②皮膚や目の健康を維持する
ビタミンAには、皮膚や目の健康を維持する働きがあるとされています。鼻やのどの粘膜を保護し、細菌やウイルスから身体を守る役割もあるといわれています。冬に旬を迎えるカステルフランコは、風邪に負けない体作りにおすすめの野菜でしょう。
ビタミンAは皮膚や粘膜、目の健康を維持するために不可欠なビタミンです。
また、抗酸化作用があることもわかっており、健康の維持・増進だけでなく美容やアンチエイジングへの効果も期待できる栄養素です。
イタリア野菜カステルフランコの栽培方法
カステルフランコは、とても強い性質で虫もつきにくいため栽培しやすい野菜です。15~20℃くらいの冷涼な環境を好みます。夏に種をまき霜が降りる頃に収穫できるように育てましょう。
栽培方法①種まき
種まきは、8月上旬~中旬に行います。寒冷地では、7月ごろを目安にまきましょう。2cm角のプラグトレイに1~2粒ずつ種をまき、土はかぶせません。光を好む種子のため発芽には日光が必要です。覆土を厚くすると発芽しないため、目の細かいバーミキュライトを薄くかぶせる程度にします。種子は25℃以上になると休眠期になり発芽しません。土壌温度が24℃を越えない環境で発芽を待ちます。
栽培方法②育苗
育苗期間は、3~4週間です。発芽までは、乾燥に注意し種を流さないように軽く水やりをします。発芽した後は、なるべく風通しのよい涼しい環境に置いて暑さから守りながら育てましょう。本葉が1枚出たところで間引きをして、1本だけ残します。
ボタニ子
細かい種子を流さないようにミストシャワーや底面給水で丁寧に水やりをしましょう!
栽培方法③植え付け
植え付けは、種まきから約4週間が経過し、苗の高さが5~7cmになったころ行います。植え付けの2~3日前から水やりの量を控え、苗を外に出して外気温に慣らします。日当たりと水はけのよい場所に、株間20cmで植え付けましょう。深植えすると株元から腐ってしまうため、やや浅めに植え付けます。
栽培方法④収穫までの管理
植え付けた後は、15~18℃くらいの環境で管理します。9月中に植え付けを終わらせ、しっかり根付いた状態で10月を迎えましょう。11月頃になると秋の涼しい風に当たり、緑色の葉に少しずつ紫色の斑点模様が入ってきます。円を描くように株が大きくなってきたら、仕上げに「軟白(なんぱく)」をしてから収穫します。
イタリア野菜カステルフランコの軟白方法
軟白とは、葉に直射日光を当てないように遮光してクロロフィル(葉緑素)を取り除くことです。カステルフランコは、クリーム色の葉に紫色の斑点模様が入るのが特徴です。このような美しい葉を収穫するためには軟白をする必要があります。栽培の終盤に軟白を行うと、緑色の葉をクリーム色に変化させ芸術的な葉色に仕上がります。
ボタニ子
緑色を多く残したり全体をクリーム色にしたり、仕上げにひと手間かけて美しい葉色を出しましょう!
軟白方法
カステルフランコは、暗い場所に移動させ遮光すると軟白できます。株を根こそぎ収穫するのがポイントです。大きな容器に水を溜め、カステルフランコの入っているカゴを置きます。株元を下にして畑に植えられている状態で、淀みのない新鮮な水を使って管理しましょう。15~20日ほど経つと葉色が変ってきます。
手順
- 収穫できる大きさに育ったら、根をつけた状態で株ごと掘り上げる
- 株元を下に向けてカゴの中に丁寧に詰める
- 日の当たらない暗い場所に移動させる
- 水を溜めた大きな容器にカゴごと入れる
- 根元の部分を水に浸す
- 毎日、新鮮な水を与える
- 理想とする葉色に変わったら暗い場所から取り出す
- 株についている汚れた外葉を取り除く
- 芯部にできた直径15cmくらいの美しい部分だけを残す
ボタニ子
暗い場所に移動できない場合は、株全体に遮光シートを被せるといいですよ!
イタリア野菜カステルフランコの魅力
カステルフランコは、収穫前の軟白栽培によって葉色を好みの色合いに調整できるのが魅力です。美しいバラの花のようなイタリア野菜で、日本でも栽培が増えてきています。家庭で育てて華やかな野菜を楽しみましょう。
出典:写真AC